中国当局が2018年5月から主な仮想通貨・ブロックチェーンの格付けを始めました。仮想通貨への公的な格付けは世界初の試みで、今後毎月公表していく方針です。第1回の格付けではイーサリアム(ETH)、第2回ではイオス(EOS)がそれぞれ総合評価で1位となりました。一方、ビットコイン(BTC)は第1回では13位、第2回では17位と低評価にとどまっています。

中国による仮想通貨の格付け、スティームやモネロに高評価

中国工業情報化省が公表を始めた仮想通貨の格付けは、世界の主要なパブリック・ブロックチェーンを、同省直属の情報産業発展センター(CCID)が「基礎技術」「応用性」「革新性」の3つの評価基準に基づいて採点し、ランキングしたものです。公的な仮想通貨の格付けは世界でも初めてのもので、今後毎月1回発表していくとのことです。

2018年5月17日に公表された第1回の格付けは28種のブロックチェーンが対象となり、総合評価ではイーサリアムが1位に。6月20日公表の第2回格付けは30種が対象で、イオスが1位となりました。

第2回の格付けで1位になった仮想通貨 イオス(EOS)とは?

イーサリアムは時価総額がビットコインに次いで2位のメジャーな仮想通貨ですが、イオス(EOS)については日本ではまだあまりなじみがないかもしれません。

イオスは企業の業務サポートを目的とするプラットフォームで、1秒間に何百万件もの高速な取引処理が可能な上、取引手数料がかからないのが特徴です。そのソフトウエア開発資金調達のため仮想通貨EOSが2017年6月に発行されました。日本の仮想通貨取引所では取り扱っていませんが、時価総額ランキングでは5位となっており、将来性が注目されています。

格付けでは、仮想通貨 スティーム(Steam)に高評価

これまで2回の格付けで特に意外だったのは、交流サイト(SNS)専用の特殊なブロックチェーンであるスティーム(Steem)が総合評価で、第1回が2位、第2回が7位と、極めて高い評価を受けている点です。

特に「基礎技術」に関しては、第1回格付けでイーサリアムをしのぐ最高点を獲得しています。スティームはフェイスブックなどの他のSNSと違ってブロックチェーンにデータを記録するため、システム障害などによってデータが消失する恐れがないのが特徴で、時価総額ランキングは2018年7月上旬現在31位ですが、日本の仮想通貨取引所では購入できません。

仮想通貨 モネロ(XMR)の高評価に見る格付けの評価の基準

もう一つ、注目されたのは、匿名通貨として知られるモネロ(XMR)が第1回で9位、第2回で13位にランクインしていることです。仮想通貨モネロは、誰が取引しているか特定されない特殊な仕組みを採用しており、マネーロンダリングや脱税などに悪用される恐れもあるため、政府当局からは目の敵にされることも多く、特に日本で金融庁が規制に乗り出していると言われています。

そんなモネロに高い点数が付けられている点からも、中国の格付けは政治的な思惑より技術的な評価に力点を置いていることがうかがえます。

仮想通貨の格付け、ビットコインの低評価に批判も

仮想通貨の代名詞とも言えるビットコイン(BTC)は、第1回格付けでは28種中13位、第2回格付けでは30種中17位という低評価にとどまりました。基礎技術、応用性について低い点数が付けられたためです。

世界のビットコインのコミュニティーからはこの格付けの妥当性について批判も出ています。匿名性を向上させる「コンフィデンシャル・トランザクションズ(Confidential Transactions)」や「ビュレットプルーフス(Bulletproofs)」、取引処理を速くする「ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)」など、ビットコインの性能を改善できる革新的技術が次々と開発されている点が考慮されていないというものです。

プライベート・ブロックチェーンは仮想通貨格付けの対象外

今回の中国当局の格付けは、対象を世界の主要なパブリック・ブロックチェーンに限っています。

ここで「パブリック・ブロックチェーン」とは、取引の承認作業をそのブロックチェーンに参加している不特定多数の人々が行う自立分散型で非中央集権的なブロックチェーンのことです。この不特定多数による取引承認作業が取引の正当性を証明する根拠となり、取引履歴の改ざんが難しくなります。ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨はこのパブリック・ブロックチェーンを使っています。

これに対し、「プライベート・ブロックチェーン」というものもあります。これは、あらかじめ管理者に指定された一部の人しか取引承認を行えないもので、中央集権的な要素も残しているため、企業や銀行が採用しやすくなっています。主な仮想通貨の中でもリップル(XRP)はプライベート・ブロックチェーンに分類されることもありますが、今回の格付け対象にはリップルも含まれています。

中国当局がブロックチェーンの格付けを行うことは事前に報道されており、仮想通貨コミュニティーでは、当局の監視や統制がしやすいプライベート・ブロックチェーンも評価対象になるとの見方が支配的でしたが、結局はパブリック・ブロックチェーンのみの評価・格付けとなりました。

仮想通貨規制の一方でブロックチェーン産業振興

中国はなぜブロックチェーンの格付けを世界に先駆けて始めたのでしょうか。

中国の仮想通貨取引高はかつては世界一と言われていました。しかし、中国政府は2017年9月、イニシャル・コイン・オファリング(ICO=仮想通貨による事業資金調達)の大部分は詐欺だとして全面禁止。また国外への資産流出を防ぐ観点から、仮想通貨取引も禁じました。その後、国内での仮想通貨のマイニングも禁止。外国の仮想通貨取引サイトへのアクセスもブロックするなど、強硬な仮想通貨規制を行っています。

こうした規制の一方で、習近平国家主席は2018年5月29日、中国科学院での演説で、ブロックチェーン技術を「新世代の産業革命」と肯定的に評価しています。最高行政機関である中国国務院も同月、金融機関や政府系研究機関に対し、ブロックチェーン技術の発展および商業化を加速させるよう命じています。

すでに、2017年の世界のブロックチェーン技術関連の特許申請数を国別で見ると、1位は中国の225件で、2位の米国(91件)を大きく引き離している状況です。

このように、中国は仮想通貨取引については資産流出防止のため規制を続けつつ、ブロックチェーン技術開発に関しては国を挙げて推進しようとしているのです。このほど始まった格付けも、ブロックチェーン産業振興への中国政府の積極姿勢の表れと言えます。

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