仮想通貨取引を行っている個人投資家の中には、春の確定申告にあたり損益計算に頭を悩ませた方も多いことでしょう。ややこしい計算をどうすれば簡単にできるか、少しでも節税につながる方法はないのか。今回はこうした点について解説します。

2017年の「億り人」は331人

2017年は、ビットコインの価格が年初の1BTC=約10万円から年末には約220万円にまで上昇するなど主要仮想通貨の価格が急騰し、億単位の利益を得た人を指す「億り人」という言葉も生まれました。

そんな「億り人」がどれだけ出たか、国税庁が調べたところ、2017年に仮想通貨取引の利益を含む「雑所得」が1億円以上あったと申告した人は331人だったそうです。国税庁は「おおむね適正な申告がなされたのではないか」とコメントしています。

仮想通貨はただ保有しているだけなら、値上がりによって含み益が出ても課税されません。しかし、円などの法定通貨に換金した場合や仮想通貨で物やサービスを購入した場合のほか、仮想通貨を別の仮想通貨と交換した場合にも、利益が確定したと見なされて課税対象となります。

仮想通貨の利益は「雑所得」

仮想通貨取引が世間に広まってきたのに伴い、その税法上の取り扱いについての議論も活発化しています。

仮想通貨による利益処理

法人の場合

法人に関しては2018年3月、改正資金決済法の施行に伴う当面の会計上の取り扱いについて企業会計基準委員会の方針が公表されています。それによると、仮想通貨について「活発な市場が存在する場合」(継続的に価格情報が提供される程度に十分な数量・頻度で取引が行われている場合)においては、仮想通貨の取得時の価格を市場価格から差し引いた額を当期利益として計上することとされています。

個人の場合

個人の場合は、仮想通貨投資で得た利益は所得税の課税対象となり、現状では一定額以上の利益(サラリーマンなら20万円以上)が出ていれば、「雑所得」として確定申告することとなっています。このため、自分で年間の損益を計算し、税務署に届け出なくてはなりません。

ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)の著者としても知られる公認会計士・税理士の山田真哉さんのところにも、2017年は仮想通貨取引の税務計算について、数多くの個人の方が相談に来たそうです。

山田税理士にとっても初めての経験で、各種の自動損益計算ソフトを試しながら悪戦苦闘しつつ損益計算方法をマスターしたとのこと。以下は、そんな山田税理士の解説による、仮想通貨取引の損益計算のポイントです。

損益計算アプリを活用しよう

山田税理士が使ってみた自動損益計算ソフトの中には、正確な数値が出ないものや、仮想通貨取引所の売買記録をうまくデータとして取り込めないものもありました。そんな中で、クリプタクト社が提供している無料のオンライン計算ソフト「tax@cryptact」が最も正確に損益を算出できたそうです。

tax@cryptact

tax@cryptact」は、仮想通貨取引の損益計算に特化したオンライン計算ソフトとして2017年12月に公開され、GMOコインなど17の仮想通貨取引所、2000種類を超える仮想通貨に対応。国税庁の指針に従った方法で計算を行い、新たな指針が発表されれば逐次アップデートする予定です。すでにユーザーは2万9000人に上っています。

このほかに使い勝手が良かったオンライン仮想通貨計算ソフトとして、以下のものがあります。

keiry

keiry」。ビットフライヤー、コインチェック、ザイフ、バイナンス、ビットレックス、チェンジリー、クラーケン、ポロニエックスの8取引所に対応しています。

Coin Tool

Coin Tool」。コインチェック、ザイフ、ビットフライヤー、ビットバンクの4取引所に対応しています。

「移動計算法」と「総平均法」どちらが得か

仮想通貨投資による利益にかかる「雑所得」の計算方法には
(1)移動平均法…売却するたびに毎回、購入時の単価から、利益を算出する方法
(2)総平均法…全体の取引の平均で利益を算出する方法
の2種類があります。

移動平均法は毎回どのぐらいの利益が出ているか分かりやすいのですが、売却のたびに毎回計算する手間がかかるのが難点です。これに対し、総平均法は1年が終了してからまとめて平均単価を計算すればいいので、計算が楽です。

所得の算出に当たっては移動平均法が原則となっていますが、総平均法でもいいというルールのため、自分にとって税率が低くなる方を選ぶことができます

2017年はビットコインをはじめとする主要仮想通貨が年末にかけて大きく値を上げ続けた時期だったため、移動平均法のほうが利益が大きくなるケースが多く、総平均法で計算したほうが節税になりました。

しかし、年によっては逆となる場合も考えられるので、こうした計算方法を理解した上で確定申告を行うようにしましょう。

まとめ

今は仮想通貨による利益については「雑所得」として確定申告が必要ですが、税制改正を提言している研究団体もあり、国会でも与党内で仮想通貨への金融商品取引法適用を目指す議員連盟が発足するなどの動きが出ており、より仮想通貨への投資がしやすいように税制が変わっていく可能性もあります。

仮想通貨が金商法の対象となる金融商品として扱われるようになれば、株取引の利益のように源泉徴収が行われて申告が不要になるかもしれません。

しかし現状では、確定申告のための仮想通貨取引の損益計算は複雑で、自動計算ソフトの力を借りない限り、とても個人の手に負えそうにはありません。国税庁はおおむね適正な申告だったとの見解を示しているものの、山田税理士は、正しく申告できている人は全体の1割程度にすぎないのではと推測しています。

このため、確定申告のことを考えると、自動計算ソフトと取引データを連動できる大手の仮想通貨取引所を利用するのが得策と言えそうです。

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