仮想通貨の価値は発行枚数によって大きく左右されます。発行枚数が少なければ少ないほど、その通貨の希少性が増して価値が高まるからです。このため、多くの仮想通貨では発行枚数に上限を設けています。今回はこの仮想通貨の発行枚数について解説します。

発行枚数が少ないほど仮想通貨の単価が上がる

円やドルなどの法定通貨は、国や中央銀行が発行しており、その時々の情勢によって発行枚数が調整されているので、発行枚数の上限はありません。しかし仮想通貨の場合は、発行枚数上限が設けられていることがほとんどです。

ある仮想通貨にどれだけ人気があるかは、その通貨の単価を見ただけでは分かりません。特定の仮想通貨にどれだけの資金が流れ込んでいるか、つまり人気度を示す指標となるのは「時価総額」です。この時価総額は、仮想通貨の単価に発行枚数をかけて算出されます。

時価総額=仮想通貨の単価×発行枚数

したがって、時価総額が同じであれば、発行枚数が少ないほど、その仮想通貨の単価が高くなります

2018年8月時点での時価総額1〜3位の仮想通貨

まず1位のビットコイン(BTC)の場合、単価は約77万円、発行枚数は約1700万枚、時価総額は約13兆3000億円です。

2位のイーサリアム(ETH)では、単価は約4万5000円、発行枚数は約1億枚、時価総額は4兆5000億円

3位のリップル(XRP)では、単価は約48円、発行枚数は1000億枚、時価総額は1兆8500億円となります。

この中で見ると、リップルは単価が48円と極めて安い一方、発行枚数が1000億枚と突出して多いのが目立ちます。逆にビットコインは単価が77万円と高額な一方で、発行枚数が約1700万枚と、他の仮想通貨に比べて少なくなっています。このことから、発行枚数が少ないほど、その仮想通貨の単価が高くなる傾向があることが分かります。

ビットコインの発行枚数上限は2100万枚

仮想通貨の中で時価総額が1位のビットコインは、マイニングの報酬という形で日々発行枚数が増え続けていますが、発行枚数の上限が2100万枚に設定されています。すでにその8割以上に当たる約1700万枚が発行済みなので、あと400万枚で打ち止めということになります。

上限に向かって追加発行枚数を次第に減らしていくため、ビットコインではマイニング報酬がほぼ4年ごとに半減する仕組みとなっています。このため、今後追加発行される枚数はどんどん減っていき、最終的には2141年ごろに上限の2100万枚に達する見通しです。

イーサリアムも発行枚数上限設定か

時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、これまでに約1億枚が発行されており、今もマイニングによって発行枚数が増え続けていますが、これまで上限は設定されていませんでした

ところが、イーサリアム考案者のビタリック・ブテリン氏は2018年4月1日、同通貨に約1億2000万枚または約1億4400万枚の発行枚数上限(hard cap)を設定するよう提案し、注目を集めました(ブテリン氏は「これはエイプリルフールのジョークではない」と付け加えています)。

ブテリン氏は発行枚数に上限を設ける理由について、

  1. 今後起こり得る大きな環境変化の下で、イーサリアム・プラットフォームの経済的な持続可能性を確実なものにするため
  2. 新たなコインをプルーフ・オブ・ワーク(POW)のマイナーたちに発行することが、もはや平等なコイン配布といった重要目標を推進するために効果的な方法とは言えなくなったため

としています。

その上で同氏は、発行枚数上限の設定を、近く予定されるイーサリアムの次のバージョンアップ「キャスパー」の一環として行うよう提案。上限枚数については、イーサリアムのスタート時の発行枚数の2倍に当たる1億2020万4432枚にすることが望ましいが、「キャスパー」実施時点で既に発行枚数がこれを超過している可能性もあるため、その場合には上限を1億4405万2828枚に設定するよう求めています

「キャスパー」は2018年中にも実施される見通しで、発行枚数上限がそこで設定された場合、イーサリアムの希少価値が高まって単価の上昇につながることが予想されます。

リップルは流通枚数が減っていく仕組み

リップル(XRP)の場合はちょっと特殊な仕組みで、スタート時に発行上限枚数の1000億枚がすべて発行されています。このため今後発行枚数が増えることはなく、それどころか逆に流通量がどんどん減っていくシステムとなっています。

リップルの仮想通貨XRPは国際送金などのためのブリッジ通貨用に開発されたのですが、利用者が送金などでリップルのシステムを利用する際にXRPで手数料を支払うと、その分のXRPは誰も使えなくなって消滅しまうのです。

なお、XRPの発行枚数は1000億枚ですが、そのすべてが市場に出回っているわけではありません。発行元のリップル社は総発行枚数の63%、つまり630億XRPを保有しているのですが、同社はこのうち550億XRPについて、当面は市場に売りに出さないという約束(ロックアップ)をしています。XRPの市場価値を高めるために供給量を抑制しているわけです。

主な仮想通貨の発行枚数上限(2018年8月時点)

  • ビットコイン(BTC)…2100万枚
  • イーサリアム(ETH)…上限なし
  • リップル(XRP)…1000億枚
  • ビットコインキャッシュ(BCH)…2100万枚
  • ライトコイン(LTC)…8400万枚
  • ネオ(NEO)…1億枚
  • カルダノエイダコイン(ADA)…450億枚
  • ステラ(XLM)…上限なし
  • イオス(EOS)…10億枚

仮想通貨の消失枚数

仮想通貨は新たに発行されて増えるだけでなく、どんどん減り続けてもいます。

リップルの場合はシステム上、使われるたびに減っていく仕組みとなっていますが、それ以外の仮想通貨でも、所有者の死亡やパスワード紛失、送金ミス、取引所のトラブルなどが原因で使用不能となり、日々消失しているのです。

ビットコインの場合、これらの原因で278万〜379万枚が既に消失したとの推計もあります。これが本当なら、現在の発行枚数約1700万枚のうち約2割が事故により不意に消滅してしまったことになります。仮想通貨を資産として持つことの危うさも実感させられる話ですが、こうした消失量の多さによってビットコインの希少性がさらに高まっているとの見方もできます。

 

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