仮想通貨プラットフォーム「イーサリアム(ETH)」の次のアップデートに向けた作業が現在行われています。このアップデートは「コンスタンティノープル(Constantinople)」のコードネームで呼ばれており、2018年10月下旬までに実施される見通しですが、当初の計画よりは大幅に遅れています。

すでに実装が決まったEIP(イーサリアム改善案)

今回のアップデート「コンスタンティノープル」は、イーサリアムのシステム効率化などを目的としており、開発者会議で討議された幾つかのイーサリアム改善提案(Ethereum Improvement Proposals、EIP)のうち、以下の4件についてはすでに実装のためのプログラミング作業が行われています

  • EIP145…イーサリアムのバーチャルマシン(EVM)での計算速度の高速化
  • EIP210…ブロックハッシュのイーサリアム上での格納方法の再編成
  • EIP1014…イーサリアム・ステータスチャンネルの追加
  • EIP1052…スマートコントラクトの相互作用方法の変更

ディフィカルティーボム問題はまだ討議中

「コンスタンティノープル」では、これ以外にも注目すべきEIPが2件あり、それらを実装するかどうかについてはまだ議論が続いているとのことです。

そのうち1件は、「ディフィカルティーボム」を遅らせる仕様変更に関するEIPです。「ディフィカルティーボム」とは、イーサリアムのマイニングが時間が経つにつれてむずかしくなり、最終的にはマイニングできなくなるように設定されたプログラムのことです。

これは、イーサリアムの取引承認アルゴリズムが現在の「プルーフ・オブ・ワーク(POW)」から、最終的には「プルーフ・オブ・ステーク(POS)」に移行する予定であることから、スムーズな移行を促すためにイーサリアムのシステムに組み込まれているものです。

POS移行の大幅な遅れによりディフィカルティーボムで取引承認作業に支障

ところが、当初は2018年中に予定されていたPOSへの移行が大幅に遅れていることに伴い、ディフィカルティーボムが作動して取引承認作業に支障が出る事態となっていました。

このため、ディフィカルティーボムの作動を遅らせて取引承認の遅延をなくすべきだとの提案が出ているのです。しかし、これを実施するかどうかについては、まだ結論は出ていません。

ディフィカルティーボムについては、すでに2017年10月にも発動を1年半近く遅らせる仕様変更が行われています。

もう1件の協議中のEIPは、イーサリアムの取引手数料である「ガス(Gas)」の価格設定方式の変更に関するものです。

8月からテストネット始動予定

「コンスタンティノープル」の今後の大まかなロードマップについて、2018年7月時点では、8月初めからテストネットの立ち上げを含む2カ月間にわたるテストを行った上で、10月中に実施する予定とされていました。

しかし、まだ採否について結論の出ていないEIPも残っていることから、実施時期がいつになるかは、まだ予断を許さない状況です。

ただ、2018年10月30日から11月2日にかけて、チェコの首都プラハでイーサリアム開発者会議「Devcon4」が開催されるため、開発者たちは同会議までに「コンスタンティノープル」を完了させたい意向のようです。

POSへの移行にも大幅な遅れ

今回の「コンスタンティノープル」は、イーサリアムで4段階に分けて行われる大規模アップデート(「フロンティア」「ホームステッド」「メトロポリス」「セレニティー」)のうち、3段階目の「メトロポリス(Metropolis)」の後半部分に当たります。

「メトロポリス」は当初は2017年6月末に実施される予定でしたが、開発者会議で議論が難航した結果、「ビザンティウム(Byzantium)」と「コンスタンティノープル」の2回に分けて実施することとなりました

「メトロポリス」の前半に当たる「ビザンティウム」は、取引承認アルゴリズムをPOSに移行するための準備を主な目的に、2017年10月16日に実施されました。そこでは、「zk-SNARKs」という匿名性を高める技術が導入されてプライバシー保護が強化されたほか、ディフィカルティーボムの発動を1年半近く遅らせる措置がとられ、取引承認に要する時間が当初の15秒に戻った一方で、マイニング報酬は引き下げられています。また、「マスキング」と呼ばれるセキュリティ改善技術も導入されています。

その後、2018年夏になり、ようやく「コンスタンティノープル」の実施に向けた作業に入ったわけですが、完了は早くても2018年10月ごろと、当初予定より1年半近くも遅れています。この結果、当初は2018年中に実施予定だった最後のアップデート「セレニティー(Serenity)」についても、まだ実施時期の見通しは立っていない状況です。

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