コインチェックによるNEM流失騒動などを受け、「自分の仮想通貨をどう守っていくか」という考えが強まっています。bitFyerなどは三井住友海上と保険を開発していますが、それで自分のコインを守ることはできるのでしょうか?今回は、仮想通貨の保険について調査していきたいと思います。

仮想通貨の保険とは

仮想通貨は、ウォレットと呼ばれる仮想通貨専用の口座に保管されますが、このウォレットは常にハッキングの脅威にさらされています。

ハッカーは、個人用のウォレットや仮想通貨取引所のウォレットに不正アクセスし、保管された仮想通貨を別のウォレットに送金する方法で仮想通貨を盗み出しているのです。

近年では、「サイバー保険」といって、ハッキングなどのサイバー攻撃による被害を補償する、企業向けの保険が登場しています。ハッキングによる被害額を補てんしたり、復旧費用を補償したりすることが特徴ですが、仮想通貨はこの保険の対象となるのでしょうか。

仮想通貨保険の導入事例

実は、仮想通貨を補償対象とした保険は既に導入されています。

国内の仮想通貨取引所では、bitFlyerとコインチェックは早くから個人のウォレットが盗難に遭った場合の保険に着目していました。

現在、bitFlyerは、三井住友海上の保険に加入しています。

ところが、この補償内容は芳しくありません。補償の対象となるのは「二段階認証登録ユーザーのウォレットから、不正に日本円が出金にされた場合」に限定されているのです。

そのため、「仮想通貨」のまま出金されると保険の対象外となります。

また、保証額は「預かり資産が100万円以下であれば10万円まで、100万円超えであれば最高500万円まで」を補償するしくみで、全額というわけではありません。

さらに、ユーザーが個人的に加入している保険等でカバーできなかった分が補償の対象となります。もちろん、補償が全くないよりはいいのですが、安心できる内容ではありません。

取引所が被害に遭った場合は対象外

一方、コインチェックが着目していた保険は、日本円に限定されないものでしたが、今回の事件まで、実際には保険加入ができていなかったようです。

しかし、仮にコインチェックが保険加入できていたとしても、今回の事件は保険の対象外でした。bitFlyerとコインチェックが加入していた(加入を検討していた)保険は、いずれも、個人のウォレットからの出金が対象です。

ところが、コインチェックの流出事件で、被害に遭ったのは、仮想通貨取引所でした。

顧客の資産ではあったものの、個人のウォレットへのハッキングではないため、仮に保険に加入していたとしても、どのみち補償の対象外だったのです。

仮想通貨の保険で取引所は守れないのか

現在のところ、仮想通貨取引所のハッキングを補償する保険会社は見当たりません。

理由として考えられるのは、まず発生リスクです。ハッカーから狙われやすいのは、個人より仮想通貨取引所でしょう。取引所のウォレットの方が沢山の仮想通貨が保管されているため、ハッキングする側のリターンが大きいからです。

次に考えられる理由として、保険金が決めづらいという点でしょう。

保険会社は、保険事由となるリスクの発生率や発生額に関する統計をもとに、保険料を徴収して運営します。

ところが、仮想通貨の相場は激しく変動するため、被害に遭った時、一体いくら補償すればいいのか予測しづらいのです。

取引所が被害に遭い、その被害額が補てんできなければ、取引所は倒産してしまいます。

仮に銀行が破たんした場合であれば、預金保険制度といい、1人当たり1,000万円まで保護を受けられる制度もありますが、仮想通貨取引所に対する利用者保護政策は、まだまだ整備途中ですので、こうした保護制度はもちろんありません。

つまり、今のところ、取引所の倒産リスクに対する顧客保護の制度はないということです。

ユーザー側のセキュリティ対策

どれほど取引所のセキュリティを向上させ、保険会社と補償を充実させたとしても、取引所が莫大な仮想通貨を保有する以上、常に世界中のハッカーから狙われていることには変わりありません。

そのため、ユーザー自身も正しいセキュリティの知識をもつ必要があります。

例えば、仮想通貨は取引所ではなく、自分のウォレットで保管することもでき、ウォレットは、オフライン管理できるハードウェアタイプの製品も販売されています。

オフラインウォレットは利便性に欠けますが、インターネットから遮断されているためハッキングは絶対に起こりません。

仮想通貨向けの保険まとめ

仮想通貨向けの保険は、今後必要になってきます。盗まれたら終わりであれば安心して決済に使うことができないからです。

コインチェックの事件では、眠れない夜を過ごした人も大勢いるでしょう。

技術のみが進化し、利用者保護が追い付いていない仮想通貨ですが、この混沌時代を支える仮想通貨ユーザーだからこそ、自分の仮想通貨は自分で守り、仮想通貨の未来を一緒に切り拓く義務があるのかも知れません。