アメリカでは現在、個人投資家ではなく、プロの投資家を対象にICOを実施する動きが広がっています。その背景には、SEC(米証券取引委員会)によるICOの締め付けなどが要因として挙げられます。ICOには個人から資金を募りやすいという利点がある一方で、ポンジスキーム(詐欺)のリスクがあるなどのデメリットがあるためです。

ICOとは?

ICOとは、IPOの仮想通貨版のようなものです。Initial Coin Offeringの頭文字を取ってICOと呼びます。

ICOでは、企業や組織、団体などが独自トークンを発行し、それを投資家に販売することで資金を調達することになります。このようなトークンを販売する行為のことをトークンセールと呼びます。

企業が資金を調達するだけであれば、IPOでも可能です。ただ、ICOには証券会社のような企業と投資家を仲介する存在がなく、審査もないため、IPOよりも簡単に資金を調達することができます。

株主総会がなく、事業計画書などを提出する義務もなく、お手軽に資金調達ができるというメリットがICOにはあります。

ICOが規制される理由

ICOを規制しているのは米証券取引委員会だけではありません。日本でも、金融庁を主導に規制する動きがあります。なぜICOは規制の対象になりやすいのかといえば、資金調達が容易すぎて、詐欺が横行しやすいという問題点があるからです。

現在、ICOの案件は増加の一途を辿っています。しかし、その大半はポンジスキーム、いわゆる詐欺であると言われています。

たとえ詐欺でなかったとしても、現実的に不可能な事業であったり、明らかに失敗するとしか思えない事業計画書などが多く、投資をしても失敗する可能性の方が高いくらいです。

なぜICOには詐欺や劣悪な案件が多いのかというと、それは第三者による審査が無いからです。ICOはやろうと思えば企業どころか、個人でも簡単に資金を調達できます。

匿名であってもICOに参加することは可能です。そのため、審査のあるIPOと違い、ICOには詐欺が蔓延しやすくなっているのです。

そのような事情があるだけに、ICOの対象を個人投資家からプロの投資家へ移行するというアメリカの動きは、非常に理に適っています。

ベンチャーキャピタルとは?

アメリカでは現在、個人投資家からベンチャーキャピタルへと移行する動きがあるのですが、このベンチャーキャピタルとはどのような存在なのでしょう?

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業などに投資をするプロの投資家集団のことです。

個人投資家と違い、ベンチャーキャピタルはプロの投資家集団ということもあり、経験豊富なプロたちが戦略的に投資を行います。

投資先を選ぶ際にも、厳しく審査をし、優良な案件に投資をするように努めています。そのため、ポンジスキームに引っかかるリスクが非常に低く、ICOの世界であっても成果を出せる見込みが非常に高いです。

ベンチャーキャピタルが行うことは投資だけではありません。時にはベンチャー企業に対して育成を支援したり、有益な情報を提供するなどして、企業の成長を促します。

資金のみならず、経営のノウハウなども学べるなど、ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリットは非常に大きいです。

ベンチャーキャピタルに移行するデメリット

ICOの対象を個人投資家からベンチャーキャピタルに移行すると、確かに様々な恩恵を受けられるようになります。

ただ、今後ICOへの参加の窓口がベンチャーキャピタルに絞られてしまうため、個人が直接ICOに参加することが出来なくなるなどの弊害があります。

そうなると、今までであれば個人でも参加が可能だったICOへの投資ができなくなるリスクがあります。

例えば、ICOに投資をするためには、ベンチャーキャピタルが設けている厳しい審査をクリアできた一部の優良なICOに限定されるなどの展開が考えられます。

確かに、その方法ならばポンジスキームを排除することができるというメリットがあります。しかし、その一方で審査をクリアできないICOは資金を調達できなくなるなどの弊害が生まれるでしょう。

ICOには非常に多種多様な案件があります。一見すると、リターンよりもリスクの方が大きい案件もあるでしょう。

しかし、そういったハイリスクハイリターンな案件が成功をおさめると、通常の投資では得られないような大きな利益を個人投資家は得られるようになります。

ICOをベンチャーキャピタルなどのプロ投資家が独占してしまうと、ハイリスクハイリターンな投資に個人投資家が参加できるチャンスが無くなるでしょう。

もちろん、その代わりに成功率が高い低リスクな案件が増えるでしょうが、低リスクな案件というのはリターンも低くなる傾向があります。

他にも、いくら画期的な案件であってもベンチャーキャピタルの審査が厳しいせいで資金調達が受けられないなどのデメリットが生じる可能性があります。これでは、ICOの本来のメリットである、資金調達が容易になるという恩恵が無くなってしまいます。

まとめ

ICOの対象を個人投資家からプロ投資家へと移行すると、今後は資金調達が難しくなってしまう恐れがあります。

しかし、ICOにはポンジスキームが大量にあるのもまた事実です。詐欺的な案件から個人投資家を守るためには、ある程度の規制は必要です。

ICOを健全な環境にできない限り、プロ投資家へと移行するという流れに歯止めをかけることはできないでしょう。今後いかにICOの環境を健全にするかが、今のICOに問われている課題です。

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