大手企業による仮想通貨テクノロジーの利用が増えてきています。モバイル大手のソフトバンクがブロックチェーンテクノロジーを利用してCO2削減価値の売買ビジネスへの参入を発表しています。ソフトバンクといえば、太陽光発電から新電力と電力ビジネスへ参入していますが、今回のCO2削減効果価値の売買とはどういうものなのか、分かりやすく解説します。

環境省のモデル事業

ソフトバンクがブロックチェーンを採用といっても、ソフトバンク独自の仮想通貨を発行するわけではなく、今回発表されたのは、再生可能エネルギーによって削減できたCO2排出量削減分を個人間で容易に売買する仕組みを開発するというものです。

ソフトバンク公式HPのプレスリリースによると、環境省が公募した「平成30年度ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業」に株式会社電力シェアリングが採択されたことを受け、ソフトバンクがこの事業に技術供与します。

電力シェアリングのモデル事業は、「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業」というもので、ソフトバンクの他、株式会社LIXIL TEPCOスマートパートナーズなど9つの企業・団体が参加します。

ブロックチェーン技術を活用したCtoC取引

CO2排出取引とは、20年前に行われた第3回気候変動枠組条約締結国会議で採択された京都議定書の第17条に規定されているものです。

各国や企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、排出枠以上の温室効果ガスを排出してしまった国や企業が排出枠を余った国や企業と排出枠を取引するという仕組みで、簡単に言うと、CO2を削減した分だけ利益を受け取ることができるという仕組みのことです。

ソフトバンクによると、従来の温室効果ガス排出量取引の仕組みは手続きが煩雑であり、そのため普及しにくいという課題がありました。

また、法人と比べて一般家庭における再生可能エネルギーの消費量が少ないためにCO2削減量を適切に評価することが困難であり、CO2排出取引は一定規模以上の法人に限定されるという傾向がありました。

そこで、再生可能エネルギー利用量を個人に紐づけて把握しデータ収集するソリューションをブロックチェーン技術と連携させることで、各家庭による再生可能エネルギーによるCO2削減量を低コストで、容易にかつ自由に取引できるようするというものです。

この仕組みが利用できるようになると、各家庭でもCO2削減効果を実現させることで利益を得ることが可能となり、これまで関心を持たれることがあまりなかった家庭での再生可能エネルギー利用に関心が集まることになります。

ソフトバンクの狙いとは

パソコンソフト卸業から今日に至る大成功を築き上げたソフトバンクの狙いはどこにあるのでしょう。

通信の自由化で大成功を収めたソフトバンクは、今や日本を代表する高収益企業となり、モバイル大手の一角として、多くの利用者にモバイルサービスを提供しています。

金融の自由化で失敗も経験していますが、次なる目標として電力の自由化に新規事業の糸口を求めて、既に太陽光発電や新電力事業、あるいは再生可能エネルギー分野に参入しています。

ソフトバンクが電力の自由化に参入するのは、官民一体となったインフラビジネスであり、同社がすでに一定のシェアを確保しているモバイルビジネスとのセット販売などにも活用できるからです。

つまり、平成30年度の環境省の事業モデルの公募は、まさにソフトバンクの目指している方向性と非常に親和性のあるものであったわけです。

今後の動向

今回の再生エネルギーを利用したCO2排出取引については、そもそも地球温暖化問題が計算間違いをしている可能性について多くの科学者から指摘されているところで、ビジネスとして拡大していくかどうかは、今後の動向を注視するしかない状況です。

むしろ、ソフトバンクのような大企業が仮想通貨テクノロジーを採用したという事実が、様々な分野で世の中に影響を及ぼしていくことになる可能があります。

過去に、日本版Nasdaqからの撤退、あるいは、SBIグループとの決別など、ソフトバンクと金融ビジネスなどの相性の問題もあるでしょうが、同社と仮想通貨テクノロジーの融合は新たなビジネスの予感も感じさせます。

まとめ

ソフトバンクがブロックチェーン技術を採用といっても、仮想通貨事業分野への進出ではなく、既に参入している電力の自由化におけるCO2排出取引の仕組みを開発するのにブロックチェーン技術を採用します。

今後も大手企業による仮想通貨テクノロジーの採用が急増することが予想されます。

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