2018年5月、中央・東ヨーロッパ最大の信用情報機関であるPolish Credit Officeは顧客の機密情報のストレージと、その安全なアクセスのためにブロックチェーンを使用すると発表しました。ブロックチェーンを使用することで、銀行記録やローン契約、保険金の請求、電話請求、取引の諸条件などの顧客に関する情報の可視化、履歴の追跡、そしてデータの統合などが可能になるとのことです。

Billonとは?

今回、Polish Credit Officeは銀行記録の処理にブロックチェーンを使用するという世界初の試みをすることになりました。

このブロックチェーンによる銀行処理をするにあたり、Billonブロックチェーンを使用するとのことなのですが、Billonとは何者なのでしょう?

Billonはポーロンドのフィンテック企業で、ブロックチェーンの独自開発などを行っています。日本の三井情報株式会社と日本国内のマーケティングに関して協業するなど、日本とも縁のある企業です。

Billonのブロックチェーン技術であれば、優れたセキュリティとデータの統合、そしてデータの不変性を実現することがきます。信用情報機関にとって、それらの機能は大きな利益をもたらすことでしょう。

Billonの拡張性があるブロックチェーンならば、1ヶ月で1億5千万枚もの大量の文書を発行できるため、ペーパーレスの顧客サービスにも移行できるだろうとされています。

Billonブロックチェーンを採用し、Polish Credit Officeからの承認を得ることで、世界で最初のレグテック対応ブロックチェーン・ソリューションになるとされており、それがひいては「個人データを消去する権利」の実現を可能にするともされています。

レグテックとは?

レグテックとは、規制を意味するRegulationと技術を意味するTechnologyを組み合わせた造語で、Regtechと書きます。

グローバル化が進んでいる昨今、国内のみならず、世界を相手に取引をする企業が増えています。ただ、国によって文化や価値観が異なるように、法律や規制も国によって異なります。

特に、近年は社会が複雑になっていることから、ますます規制が厳しく、さらには複雑化しています。

レグテックとは、この複雑化している金融規制を、金融機関が新しい技術を用いて刷新することを目指すという考え方のことを指します。

ちょうど、CEE最大の信用情報機関であるPolish Credit Officeがブロックチェーンの技術を用いて、銀行情報を処理するというこの試みが、まさにレグテックに該当します。

国や地域を跨ぐような取引のことをクロスボーダー取引と呼ぶのですが、近年ではこのクロスボーダー取引に対する規制が厳しくなっており、金融機関は規制に対して膨大な量のデータを管理する必要に迫られています。

金融機関の規制に対するコストは非常に高く、さらに専門性が求められる分野なだけに、人手不足も深刻化しています。

これらの課題は海外だけでなく、日本にも同じことが言えます。日本の銀行も、規制当局への対応に日々追われており、その量は減ることばかりか増えていく一方です。

取引のデータ量が増えすぎてしまった昨今、人の力だけでは限界があります。そこで出番となるのが新しいテクノロジーであり、ブロックチェーンはまさにその最たる例です。

ブロックチェーンを導入するレグテックのメリット

銀行記録をブロックチェーンで処理するメリットとして、まずデータを統合できるという点があります。

世の中には非常に多くの金融機関が存在しており、それぞれの機関は全くの別組織です。当然ですが、金融機関同士でデータの共有などなされていません。

今までであればそれでも問題は無かったのですが、現代のような複雑化した社会では、金融機関同士のデータの共有が不可欠です。

例えば、マネーロンダリングのような金融犯罪に適切に対処するには、金融機関同士が連携し、データを共有する必要があるのですが、銀行のデータは膨大で、とても人力で共有することは不可能に近いです。そこで出番になるのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンによって全てのデータが管理されることで、本来であれば時間とコストがかかるデータの追跡を高速で、それも低コストで実現することが可能です。

マネーロンダリングのような金融犯罪への対処はもちろん、さらにはKYCオペレーションの効率化なども、ブロックチェーンを導入することで解決することができます。

ブロックチェーンの導入は、世界中の金融機関が現在抱えている様々な課題、特に規制への対処に対して効果を発揮します。

まとめ

今回、ポーランドがブロックチェーンで銀行記録を処理するというニュースがネット上で話題になりました。

なぜブロックチェーンで情報を管理するだけのことがニュースになるのかといえば、それは世界中の銀行が抱えているレグテックの課題を解決する最初の試みとなるからです。

グローバル化が進み、ますます複雑化する金融の世界において、レグテックは大きな課題の一つであり、それは日本も同じです。

日本は金融の規制が非常に厳しい国です。それだけに、金融機関の規制に対する取り組みにかかるコストは膨大です。

しかし、ブロックチェーンが銀行記録の処理に使えるとわかれば、ゆくゆくは日本の銀行業にもブロックチェーンが導入されるようにもなるでしょう。

ポーランドの試みがキッカケとなり、今後ますますブロックチェーンへの注目度が高まることでしょう。

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