ブロックチェーンの技術が貿易取引に導入されたということで、今世界から注目が集まっています。イギリスHSBC銀行の発表によると、米穀物メジャーの一つであるカーギルが世界初となるブロックチェーン技術を用いた貿易金融取引を行いました。単一のブロックチェーンプラットフォームによる貿易金融取引はこれが初めての事例となります。ブロックチェーン技術を活用することで、貿易取引にかかる取引時間を大幅にカットすることができます。

ブロックチェーンで初めて処理された貿易の信用状とは?

カーギルとは、アメリカのミソネタ州に本社を置いている穀物メジャーの一つ。穀物以外にも、精肉や製塩などの食品や、金融商品、工業品など、広範囲のビジネスを展開しています。

今回、カーギルは信用状を利用した貿易取引を行う際に、「コルダ」と呼ばれるブロックチェーンのプラットフォームを利用しました。

信用状(Letter of Credit、L/C)とは、貿易取引に付きもののリスクを回避するために用いられるものです。

貿易取引には、リスクが多く存在します。なにしろ国境を越えて、言語も文化も価値観も違う人達を相手に商売をするわけですから、国内のビジネス以上のリスクがあるのは当然です。

信頼関係がまだ築けていない相手との貿易取引の場合、前払いした場合、受け取り側は商品が届かないリスクを背負うことになり、後払いにすれば販売側が料金を回収できないリスクを背負うことになります。

このリスクを回避したいときに用いるのが信用状です。信用状とは、銀行が代金の支払いを輸入者に代わって保証するものです。この信用状があるからこそ、遠い異国の地にいる相手とも、リスクを心配せずに取引することができるのです。

ただし、この信用状を用いるためには、煩雑な手続きが必要ですし、なによりも時間がかかります。かといって、信用状なしでは、リスクが大きすぎて貿易取引もままなりません。

そこで出番となるが、ブロックチェーンの技術なのです。

コルダとは?

今回の貿易取引では、R3社が提供するプラットフォームである「コルダ」が使用されたのですが、このコルダとは一体何なのでしょう?

コルダには、リップルのシステムが導入されているため、コルダとリップルはお互いに協力関係にあります。コルダとは、送金やデータの送信などをするためのプラットフォームのことです。コルダを使用すると、銀行のような第三者を介さずとも、直接送金などができるようになります。

さらに、コルダ内で取引された情報は外部には漏れず、匿名性が確保されるため、プライバシーを保護できます。このコルダを使用して貿易取引をすると、24時間以内という短い時間で取引を完結でき、大幅な時間短縮ができるのです。

R3コンソーシアムとは?

R3コンソーシアムとは、ブロックチェーン技術を導入することで、既存の金融機関を介するためにかかるコストを削減するためのシステムを作ろうという、R3社が主催している団体のことです。

その活動は主に、コルダのプロダクトを作ることです。このコルダを活用することで、銀行間送金やデータ管理のコストの削減、さらには時間の短縮などをR3コンソーシアムは目指すとのことです。

貿易取引の課題

貿易取引は国内の取引と比べ、規模が大きく、課題が多いです。まず、貿易取引の現場では書類のやり取りがほとんどです。

情報を紙媒体中心でやり取りをするとなると、手間がかかりますし、なによりも時間がかかります。

貿易取引の場合、売り手から買い手に書類が届くまでに一週間以上の時間がかかるなんてことはザラにあります。

時間がかかればかかるほど、貨物を保管するための費用が発生します。

貿易取引には信用状以外にも、船荷証券やインボイスなど、数多くの書類のやり取りが行われており、この書類のやり取りだけで膨大な時間が消費され、それに比例してコストも嵩みます。

これらの書類のやり取りを高速化し、時間を短縮するためにはどうしたら良いのか、それこそが貿易取引が抱えている課題となります。

ブロックチェーンを貿易で用いるメリット

ブロックチェーンを貿易取引の世界に用いることで、書類のやり取りにかかる時間を一気に短縮することができます。

ブロックチェーンを用いることで、世界中の貿易関係組織は同一のデータを共有することが可能になります。

これまで、情報というのは個別に保有されていたのですが、ブロックチェーンによって一元的に管理されることで、取引にかかる様々な手間を簡略化することができるのです。

今回のブロックチェーンを用いた貿易取引の成功を受け、今後ますますブロックチェーンの技術は貿易取引の世界に導入されるようになるでしょう。

まとめ

貿易取引を完結させるためには本来、膨大な時間が必要になります。しかし、ブロックチェーンの技術を導入すれば、貿易取引にかかる時間を大幅に削減することができます。

今回、カーギルがブロックチェーンを利用した貿易取引を行い、取引にかかる時間の短縮に成功したことで、今後は貿易取引にブロックチェーンが本格的に導入されることでしょう。

ブロックチェーンの技術は、貿易取引の未来を大きく変えようとしているのです。