2018年4月にニューヨーク株式市場への上場を果たした世界最大の音楽ストリーミングサービスSpotify。直接上場というこれまでに類を見ない上場であったことも話題になりました。著作権問題で衰退したナップスターとは打って変わってSpotifyが成功した一因にはブロックチェーンも関係しています。

音楽ストリーミングサービスの王者Spotify

定額ストリーミングサービスで音楽を聴くという方法は、すでに日本でも一般的なものとなりました。世界最大の音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、2016年11月に日本でもサービスをスタートさせました。世界でのユーザーは1億4,000万人以上。有料会員も7,000万人を超えています。

スウェーデンに本拠を置くSpotifyは、米国時間4月3日にニューヨーク株式市場に上場し、前日に設定した参考価格132ドルを上回る149ドルで取引を終了し、時価総額は266億ドル(約2兆9,000億円)に達しました。

Spotifyによるこれまでに類を見ない直接上場とは、資金調達を目的としない上場ということで、今回の上場により新規に発行される株式はなく、上場目的は、株主や従業員らに持ち株の現金化の機会を作ることでした。

通常のIPOとは資金調達を目的とし、幹事証券会社には多額の手数料が支払われることになりますが、直接上場ではそのようなことは発生せず、上場セレモニーなどが行われることもありません。

証券会社にとってはあまり歓迎すべきものではありませんが、今回のSpotify直接上場の成功は、他の直接上場検討企業にも大きな影響を与えることになっています。

Spotifyのビジネスモデルとは

さて、そんな資金調達を目的としないような直接上場でも成功を収められるということは、言うまでもなく、Spotifyのビジネスモデルが優れており大きな関心を持たれているからにほかなりません。

Spotifyは世界最大の音楽ストリーミングサービス会社ですが、現在、音楽ストリーミング業界は、Apple Music、Googleplay MUSIC、Amazonprime MUSICなど多くのサービスが人気を博しています。

音楽配信サービスといえば思いだされるのは、結局は著作権問題で行き詰ってしまうナップスターですが、著作権問題からCDの売り上げ減を引き起こし、アーティストの収入が減少してしまうことが問題視されてきました。

ところが、1か月1,000円前後という定額サービスと広告付きでは無料というフリーミアムモデルは、ふたを開けてみたら単価は下がったものの、利用者が大幅に増えることにより、結局はアーティストの収入増をもたらす結果となっているのです。

Spotifyは著作権問題をブロックチェーンで解決

それでは、ナップスター衰退の大きな要因となった著作権問題はどうなったのでしょうか。ここで登場するのが、仮想通貨テクノロジーであるブロックチェーンです。

現在でも、アーティストは自分の作った曲の著作権を正確には持っていないという問題を抱えており、これは現時点では音楽ストリーミングサービスについても同様で、サーバに保存したデータの著作権、再生回数権限はサーバの管理者である中央集権に依存しています。

これでは、将来的にはナップスターと同様の結果を招いてしまうことになりかねませんが、ブロックチェーンを利用すれば、アーティストが曲に著作権を組み込む仕組みを作ることができます。

曲を購入したら、その曲の著作権を誰が所有しているのかという情報をブロックチェーンに記録して、音楽データの中に含まれることになります。

MP3ファイルとブロックチェーンの融合がアーティストの著作権を証明することになるのです。

これが実現できれば、違法コピーや複製からアーティストの収益を守ることができるようになり、さらにスマートコントラクトを実装すれば、メディアなどで利用した履歴に応じてアーティストのウォレットに課金できるような仕組みも実現可能となります。

SpotifyがMediachainを買収

Spotifyの上場をきっかけにブロックチェーンの話まで出てきているには、この話が音楽ストリーミングサービスの将来性に大いに関係すると考えられているからであり、実際に、SpotifyはブロックチェーンスタートアップのMediachainを買収しているのです。

そもそも音楽ストリーミングサービスとは、音楽配信のプラットフォームを提供することですから、Spotifyがやらなければ、他の仮想通貨プロジェクトが同様のプロジェクトを提供することになるでしょう。(実際にいくつかのプロジェクトはスタートしています。)

まとめ

4月上旬にニューヨーク株式市場に直接上場という他に類を見ない上場を果たしたSpotifyの株価は、6月上旬の時点でも順調に高値水準をキープしており、最高値を付けるかどうかというところにあります。

今後は、業績もさることながら、ブロックチェーンテクノロジーをどのように活かしていくのか注目されますし、成功事例となれば、株式の価値にも大きく影響していくことになるかもしれません。

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