シンガポール政府は、セキュリティ面を重要視したブロックチェーンの活用を積極的に進め、将来的にも金融立国としての立場を確固たるものとしているように見えます。2018年6月に開催された歴史的な米朝首脳会談でも、セキュリティ面ではシンガポールは非常に信頼のおける国であることを内外に証明しました。金融立国を目指す同国としては、今後もコスト負担以上の十分なセキュリティを追及していくことでしょう。

金融立国から仮想通貨立国へ

人口わずか560万人足らずの島国シンガポールは、大英帝国の植民地時代を経て、現在では世界有数の金融立国としての存在感を放っています。

植民地から独立後にシンガポールが目指したのは、同じ島国である旧宗主国のイギリス、あるいは同じアジアの日本、最近ではイギリスより中国に返還された香港などをお手本としている感もあります。

また、ヨーロッパの金融立国スイスにのようにも思えます。実は、シンガポールは最近では世界でも減りつつある徴兵制が実施されており、男性には2年間の兵役が義務付けられています。この点でも、同じく先進国としては数少なくなった徴兵制を実施するスイスと同じであり、両国ともに観光地としても栄えています。

観光立国としてだけでなく金融立国としてアジアで確固たる地位を築いた感のあるシンガポールですが、次なるターゲットとして見据えている可能性を感じられるのが仮想通貨の世界であり、金融立国から仮想通貨立国への転換をうかがっているようです。

シンガポール金融管理局(MAS)がブロックチェーンの採用を先導

金融立国を目指していたシンガポールでは、税制優遇策をとるなどして国を挙げて金融ビジネスの導入を進めてきました。

昨今も同様に、シンガポールの中央銀行にあたるシンガポール金融管理局(MAS:Monetary Authority of Singapore)がブロックチェーン採用を先導しています。

すでに、シンガポールでは50以上のスタートアップ企業がありますが、直近でも大型のスタートアップ企業が登場しています。

プロジェクト・ウビンについて

プロジェクト・ウビンとは、シンガポール金融管理局が開発している分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)や自国通貨トークンを用いた銀行間の大口資金即時送金システムのことです。

プロジェクト・ウビンは、分散型台帳技術(DLT)を使用した金融活動の代替手段の可能性を模索するために、2016年にフィンテック企業のR3と提携し、金融取引の処理と費用対効果を増すことを目指しています。

現在、このプロジェクトのコンソーシアムには、クレディスイス、シンガポール証券取引所、メリル・リンチ、DBS Bankなどが参加しています。

シンガポールは金融立国として、税制、技術革新、中小企業に有利な環境などで知られていますが、ブロックチェーンや仮想通貨業界に対しても、スタートアップ企業・ICOに関連する状況についても、国家としての支援体制が整っています。

シンガポール証券取引所(SGX)も証券取引に共同利用を検討

2018年8月、シンガポール証券取引所(SGX:Singapore Exchange Limited)は、シンガポール金融管理局と連携して、ナスダック、デロイトと提携し、DVP(Delivery Versus Payment)のプラットフォームを構築する計画であることが報じられました。

DVPとは、Delivery Versus Paymentの略で、証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を同時に行うことで、代金支払いをしたにもかかわらず、証券を受け取れないというリスクを回避するものです。

このDVPプラットフォームに、ブロックチェーン技術を導入したプロジェクト・ウビンが活用され、実証実験を経た後、2018年11月にはその結果が発表されるとしています。

今後のシンガポールは?

こうして、国を挙げての仮想通貨立国を目指すシンガポールでは、クオリティの高いスタートアップ企業が多く登場するなど、明るい話題を提供してくれています。

誰からも中央集権的に管理されない仮想通貨は、国家による規制という負の問題を多く抱えていますが、シンガポール政府は現実的な対応を取り、逆にブロックチェーン企業を先導しているのです。

そうして、金融立国としてのシンガポールは、現状の法定通貨だけではなく、将来、日常生活に浸透するであろう仮想通貨取引においても、その立場を揺るぎないものにしているように見えます。

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