「eToro(イートロ)」とインペリアル・カレッジ・ロンドン大学との研究報告では、仮想通貨の10年後を予測した研究報告「Cryptocurrencies: Overcoming Barriers to Trust and Adoption(仮想通貨:信頼と普及の壁を乗り越える)」で、仮想通貨が今後10年の間に決済方法の主流になる可能性があることを発表しました。

仮想通貨が支払い形態の主流になる可能性がある

仮想通貨プラットホームや市場動向の分析を提供するeToroと英国の公立研究大学で有数の理系大学であるインペリアル・カレッジ・ロンドン大学(Imperial College London, ICL)は共同研究で、「今後10年以内には、仮想通貨は支払いの形態の主流のひとつになる」という未来予測を示しています。

仮想通貨が現時点で「通貨の3つの役割」である「価値の保存」「価値の尺度」「価値の交換」のうち、「価値の保存」を満たしているというのが、その主張です。

「通貨の3つの役割」とは?

価値の保存(Store of value)

価値を変わらずに保存する機能。また個人が、自らの購買力(purchasing power)を使いたい時にいつでも使える機能。

価値の交換・支払い手段(Medium of exchange)

物々交換経済(a barter economy)における非効率を排除し、商品、サービスの交換を円滑化、促進する機能

 価値の尺度、計算単位(Unit of account)

経済システムにおいて「価値の尺度(measure of value)」としての働きをすること。
商品やサービスを誰もがわかる共通の価値として示すこと。この認識があるからこそ、取引が可能となります。

このうちの「価値の保存」については、仮想通貨は満たしているというのです。

仮想通貨の成長速度は目を見張るスピード

eToroのマネージングディレクター、Iqbal V. Gandham氏は、1971年に登場したEメールを例に挙げ、Eメールが当たり前の技術になるまでに30年という年月がかかったことに比べ、「ビットコインは初の取引から8年ちょっとでお金の役割とされる要件を満たし始めた」と成長スピードを指摘。この成長スピードからも、「今後10年以内に仮想通貨が主流になっていく」と述べています。

また法廷通貨について「国境を超えた国際送金が、多くの場合手数料が高く行うのが難しい」現状があり、仮想通貨はそれらの課題をクリアにする面からも、主要決済として使われるようになる可能性が十分にあるとしています。

仮想通貨が残り2つの「お金の役割」要件を満たすために

しかし、仮想通貨が要件を満たすとされているのは「価値の保存」のみ。残りの2つはどうすれば満たすことができるのでしょうか?

研究発表では、「価値の交換」「価値の尺度」を満たすためには、6つの課題をクリアする必要があるとしています。

1.スケーラビリティ

通貨の役割を果たすためには、膨大な量の取引が処理できなくてはなりません。
現在の仮想通貨は、膨大なトランザクションを処理する設計になっておらず、取引量の拡大のための設計が必要になってきます。

2.ユーザビリティ(使い勝手の良さ)

仮想通貨が拡大しているとはいえ、現在はある程度の専門知識が必要とされる状況です。
通貨としての役割を果たすためには、より多くの方が使いやすいユーザフレンドリーな設計にする必要があります。

3.レギュレーション(規制)

現在、仮想通貨に関する規制は国ごとに異なっています。通貨の役割を果たすためには、世界統一基準の規定が必要になってきます。

4.ボラティリティ(価格変動)

相場の不安定さを収束させること。どの通貨であっても価格変動はあるものの、「価値の保存」を確かにするためには、仮想通貨の大幅な価格変動といった不安定さは収束させる必要があるとしています。

5.インセンティブ(報酬)

新しい金融システムでは、報酬制度がユーザーの行動にどう影響を与えるのかを慎重に考える必要があります。

6. プライバシー

ブロックチェーンは、改ざんができないため透明性があり、事実証明ができる仕組みとなっています。
そのため、この魅力を守るために透明性や事実証明の維持が必要です。

まとめ

今回の研究レポートは、仮想通貨が「価値の保存」という役割を果たしているという主張により、「仮想通貨がお金の3つの役割を果たしていない」とする国際決済銀行の代表 Agustin Carstens氏に対する回答の一つと取ることもできます。

6つの課題を含め、仮想通貨がお金の役割を果たし、決済手段の主流となるまでには、まだ時間がかかりそうですが、インペリアル・カレッジ・ロンドン大学のWilliam Knottenbelt教授は、「(仮想通貨の)分散テクノロジーが、既存のあらゆる金融システムを超越する可能性がある」と述べており、仮想通貨の明るい未来を感じさせられました。

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