インターネットブラウザ「Opera(オペラ)」に仮想通貨のウォレットを標準搭載した新バージョンが近くリリースされることになりました。リリース時期は未定で、Android OSのスマートフォン用のみに搭載される予定です。

Operaへの仮想通貨ウォレット標準搭載、まずはAndroid版スマホへ

インターネットブラウザ「Opera(オペラ)」の開発元であるノルウェーのオペラ・ソフトウエア社(Opera Software ASA)は2018年7月11日、仮想通貨のウォレット機能を標準搭載した新バージョン「Opera for Android with Crypto Wallet」をリリースする方針を発表しました。

今のところウォレット機能を搭載するのはAndroid OSのスマートフォン用のみで、具体的なリリース時期は明らかにされていません。発表時点で非公開ベータ版の利用希望者を募集していましたが、現在は募集は締め切っているようです。

PINコードやパスワード作成が不要。決済も簡易に

これまでは仮想通貨で買い物をするには端末にウォレットアプリをインストールする必要があり、ウォレットを使うには新しいPINコードやパスワードを作成して入力しなくてはなりませんでした。

この点、ウォレット搭載のOpera(オペラ)では、セキュリティー機能をOS(基本ソフト)に依存しているため、ユーザーがウォレットを使い始めるに際して新しいPINコードやパスワードを覚えておく必要がなくなります。

また、ブラウザとウォレットが一体化しているので、仮想通貨に対応した通販サイトで買い物をする場合には、サイト上の支払いボタンをタップするだけで簡単に決済することができます。

ウォレットに入金する場合は、オペラのメニューから「Crypto Wallet」を選んでタップすると、ウォレット画面に切り替わります。画面上の「RECEIVE(受け取り)」ボタンをタップすればウォレットアドレスのQRコードが表示されるので、別のウォレットでこのQRコードを読み取って簡単に入金することができます。

なお、ウォレットに対応する仮想通貨は、イーサリアム(ETH)のプラットフォームを使ったもののみとなります。

オペラ社はこのウォレット搭載ブラウザを開発した目的について、「よりアクセスしやすい未来のインターネットの構築に貢献することで、仮想通貨が投機や投資の対象から、日常生活での現実の決済や取引に使われるものへ変わっていくのを加速させたい」としています。

インターネットブラウザ「Opera(オペラ)」とは?

オペラは、一つの画面上でタブを切り替えることによって複数のウェブサイトを閲覧できるタブブラウザの先駆けとして、一時は人気がありました。また、他のブラウザに比べて動作が軽いため、マシンパワーの弱い旧式のPCを使っている人の間では今でも重宝されているようです。

日本では2004年に、「京ポン」の愛称で親しまれた京セラ製PHS端末「AH-K3001V」に組み込まれ、まだ携帯電話ではi-modeなどの専用サイトしか閲覧できなかった時代に、PCと同じサイトを閲覧できるフルブラウザ機能を備えていた点が話題になりました。

初のクリプトジャッキング防止機能を搭載

仮想通貨との関連では、Opera(オペラ)はインターネットブラウザとしては初のクリプトジャッキング防止機能を、PC版のオペラが2017年12月、スマートフォン用では2018年1月に搭載しています。

クリプトジャッキングとは、悪質なサイトに仕込まれたスクリプトによって、閲覧した端末のユーザーに無断で仮想通貨のマイニングを行う行為のことです。クリプトジャックされた端末は高負荷がかかるため、電池の減りが早くなったり発熱したりすることがあります。

2017年には米国の動画閲覧サイト「Showtime」が、「コインハイブ」と呼ばれるスクリプトを使ってクリプトジャックを行っていたことが分かり、物議を醸しました。クリプトジャックを行っているサイトは300万、被害者は10億人を超えるとの推計もあり、大きな問題となっていました。

このようなクリプトジャッキングに、いち早く対策を講じたことで、オペラは久々に注目の的となりました。

しかし近年ではPC版ではWindows標準搭載のMicrosoft Edge(マイクロソフト エッジ)やInternet Explorer (インターネット エクスプローラー / IE)、スマートフォン用ではGoogle Chrome(グーグル クローム)などの勢いに押され、スマートフォン用ブラウザとしてのシェアは5%未満にまで低迷していました。

こうしたジリ貧と言っていい状況の中で、今回発表されたウォレット搭載ブラウザが、オペラにとって起死回生の策となるかどうか注目されます。

Operaが目指すのはWeb3.0への架け橋

オペラ社は今回発表したウォレット搭載ブラウザについて、「Web 3.0へと道を開く最初の主要なブラウザになる」としており、「Web3.0」を強く指向している点が注目されます。

Web3.0とは、インターネットの商業利用が進んで日常生活に浸透した今の状況(Web2.0)の次に来るべき、未来のインターネット像として語られている概念です。

現在のインターネット(Web2.0)では、それより前のWeb1.0の時代と比べて、光回線などのブロードバンド環境が整ったことで動画の送受信などさまざまな用途にネットが使われるようになり、商業化が進む一方、facebook(フェイスブック)やYoutube(ユーチューブ)などのソーシャルメディアも登場しました。

その一方で、Amazon(アマゾン)やGoogle(グーグル)などの巨大IT企業に膨大な情報が集中するようになりました。

インターネットはもともとは、冷戦時代に1カ所を核攻撃されてもシステムが存続できるように構築された軍事用の分散型技術でした。それが民間に開放されてからは、初めは大学や研究機関を中心に利用が広がっていきました。その段階でインターネットに携わった人々の中には、国家の枠にとらわれずつながっていこうという反体制的、ヒッピー的な思想もあったのですが、すっかり商業利用が進んだ今では、インターネットは巨大IT企業に情報を支配された中央集権的なシステムとなってしまいました。

Web3.0は、そうした中央集権的な状況から脱して、再びインターネットを分散型・非中央集権的なシステムに戻し、情報を本来の所有者に戻そうという考え方です。それがブロックチェーン技術の登場によって現実味を帯びることになりました。

オペラ社は新しいブラウザではウォレットだけでなく、Web3.0で中心的役割を果たすとみられているDapps(分散型アプリ)を幅広くサポートしていく方針を表明しています。同社は、ウォレットで使える仮想通貨プラットフォームにイーサリアムを選んだ理由として、「Dappsを構築する開発者たちの最大のコミュニティーを持っている」ことを挙げています。

Operaを通じて新しい分散型インターネットの世界がどのように広がっていくかが注目されます。

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