ブロックチェーン技術を使って、旅行者とホテルやレストランなどの事業者をマッチングさせる、これまでにない旅行プラットフォーム「Triip Protocol」が、2018年7月からサービスを開始しました。大手旅行サイトによる寡占や莫大な広告費といった旅行業界の課題を解決できる新たな試みとして注目されます。

旅行をマッチングする「Triip Protocol」

「Triip Protocol」は、シンガポールの旅行会社Triip社(Triip Pte.Ltd)が運用を開始した、ブロックチェーンをベースとする旅行プラットフォームです。

Triip社は2014年に設立された新興企業で、日本のガイアックスの子会社などベンチャーキャピタル3社が出資しています。「旅行業界の破壊者(a disruptor in the travel industry)を標ぼうし、すでに4年にわたり旅行会社として営業を続けてきました。その中で蓄積してきた情報やノウハウも活用して構築したのが旅行プランのマッチングサービス「Triip Protocol」です。

業者も旅行者もうれしい「Triip Protocol」の仕組み

「Triip Protocol」では、ある旅行者が飛行機の予約をすると、その飛行機の目的地にあるレストランや現地旅行会社、ホテルなどの観光業者は、その旅行者に向けて直接メッセージを送ることができます

ただし、「Triip Protocol」は分散型ネットワークを使っているため、合意がない限り旅行者の個人情報が観光業者の手に渡ることがありません。旅行者も安心できる仕組みになっているわけです。

業者側にとっては、サービス申し込み確度の高い人だけに絞って費用対効果の高い広告を送ることができるので、広告費が節約できます。

さらに、従来は大手業者に比べて競争力がなかった零細事業者や観光地の住民などが、旅行者に直接メッセージを送ってアピールできる点も、特色の一つです。

一方、旅行者側は、レビューを投稿することで、「Triip Protocol」からレビューの利用料を受け取ることができます。そして、旅行協会や政府などの第三者機関も「Triip Protocol」を通じて利用料を払うことで、貴重な情報である旅行レビューを個人が特定されない情報として参照でき、研究に役立てることができるのです。

「Triip Protocol」の特徴

・ブロックチェーンの専門知識がなくても利用可能
・旅行者の情報が常に更新され続けた最新の状態となっている
・合意がなければ個人情報を渡すことのない、非中央集権的ネットワーク
・旅行者と旅行業者との間に立つ中間業者が不要となり、中間業者への手数料支払い分が割安となる
・従来競争力のなかった零細事業者や現地住民が、旅行者へ直接アピールすることが可能に(CtoC、シェアリングエコノミー)
・Triipの扱っていたサービス、物件がすでにTriip Protocol内で利用可能(約2886万件)

旅行者と観光業者が中間業者を通さず直接やりとりできる

「Triip Protocol」は、旅行者と観光業者が直接やりとりできるので、従来は間に入っていた仲介業者が不要となり、中間マージンがなくなる点も、旅行者、観光業者双方にとってメリットとなります。

大手旅行会社や旅行サイトの運営には莫大な運営費、人件費がかかっていますが、「Triip Protocol」は中央管理者のいない分散型ネットワークなので、そうしたコストもかかりません。

なお、「Triip Protocol」内の決済には、仮想通貨のビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)のほか、Triip社がICO(仮想通貨による事業資金調達)で発行したトークン「TriipMiles(TIIM)」が使われます。

「Triip Protocol」は、大手旅行サイトの寡占状態を打破できるか

「Triip Protocol」は、大手旅行会社や一部旅行専門サイトの寡占状態にあるこれまでの旅行業界のあり方に一石を投じそうです。

旅行や出張で宿泊先などを探す場合、たいていの人はインターネットで旅行サイトを検索します。しかし、グーグルをはじめとする主な検索エンジンでは、そのシステム上、「Expedia」や「楽天トラベル」などの大手旅行専門サイトや旅行会社のサイトが上位に表示されやすく、零細事業者や個人から発信される旅行情報が旅行者に届くことは、なかなかありません。

しかも大手旅行サイトは、旅行を申し込んだ個人の情報を蓄積してマーケティングにも活用しているため、寡占状態はさらに強固なものとなる一方でした。

ネットから店頭での旅行相談へ。若い世代に旅行サイト離れの傾向も

ところがこうした状況の中、最近では若い世代の旅行者を中心に、ネットの旅行サイトを使わなくなる傾向が出てきています。

JTB総合研究所の「海外観光旅行の現状 2018」によると、アンケート調査で旅行商品の購入・申し込み先を聞いたところ、「オンライン専門の宿泊・旅行予約サイト」が22.0%で最も高く、次いで「旅行会社のウェブサイト」が20.3%で 2 位となっています。

しかし、これを年代別で見ると、29歳以下の男女では旅行会社の店舗を利用する割合が最も高く、若い世代で旅行サイト離れが進んでいることが見て取れます。

旅行会社のウェブサイトを利用しているのは60 代以上の男女が最も多く、シニア層に旅行サイトが広く浸透していることが分かりますが、団塊世代の約5割、それより上の「キネマ世代」の7割は、体調不良や体力の衰えなどを理由に、もう海外旅行から卒業しようと考えています

こうして旅行者の世代交代が進めば、今後は旅行サイト離れにますます拍車がかかりそうです。そうした状況だからこそ、ブロックチェーン活用による新しい旅行プラットフォームが登場してきたといえるでしょう。

まとめ

ブロックチェーンを活用した新しい形の旅行プラットフォーム「Triip Protocol」では、旅行者と観光事業者や観光地の住民などが直接情報交流できるだけでなく、仲介業者の中間マージンも排除でき、旅行業界に確信をもたらす可能性があります。

これまで情報を独占し、市場を支配してきた一部の旅行サイトや大手旅行会社にとっても、自らのあり方を見直す契機となりそうです。

 

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