英国のロンドンに本拠を置く国際的金融グループのバークレイズが、米国の特許商標庁(USPTO)に、仮想通貨・ブロックチェーンに関する3件の特許申請を行っていたことが分かりました。うち1件は、金融機関などがブロックチェーン上で簡単に仮想通貨を追加したり消去したりすることができる技術。残り2件は、ブロックチェーン技術を使って取引相手の身元確認を簡単かつ安全に行えるようにする技術です。

仮想通貨の生成・破壊技術

バークレイズがこれら3件の特許を申請したのは2016年7月のこと。それらの内容がUSPTOから2018年7月に公開されました。

申請されたうちの1件は、ネットワーク上で特定のユーザーがブロックチェーン・ネットワーク上に仮想通貨を生成したり破壊したりできるようにする技術です。この技術を使うユーザーとして、中央銀行や市中銀行などの金融機関が想定されています。

仮想通貨の供給量調整が簡単にできる

この技術を使えば、金融機関などのユーザーは「通貨発行者の秘密鍵」を使ってネットワーク上の公開台帳に仮想通貨を追加することもできるし、「通貨破壊者の秘密鍵」を使って公開台帳から特定の仮想通貨を除去することもできます。つまり、金融機関などが仮想通貨の供給量を自由に変えることができるようになるわけです。

この技術の発案者は、こうしたシステムができれば、「仮想通貨ユニットを、米ドル、ユーロ、ポンドのような法定通貨をはじめとするいかなる形態の通貨ユニットとも連動させることができるようになり、仮想通貨が法定通貨の維持や支出の代替的手段となり得る」としており、「このシステムの下では仮想通貨の法定通貨に対する価値が変動しない」点を強調しています。

こうしたことから、バークレイズは自社のブロックチェーン・ネットワークの基盤として、法定通貨と連動したステーブル(安定)コインの創設を考えていることもうかがえます。

仮想通貨の破壊機能は犯罪対策にも活用できる

一方、仮想通貨の破壊機能を使えば、分散型台帳から使われていない古いブロックを消去して、ノードの運営に必要なストレージの容量を減らせるようになるかもしれません。

さらに、この破壊機能を使えば、ハッキングで不正に取得された仮想通貨を金融機関が簡単に消去できるようになるため、犯罪やマネーロンダリングへの対策としての活用も想定されています。

本人確認情報を共有できる技術

残る二つの技術は一体となって機能するもので、ある取引に際して当事者が取得したKYC/AML(本人確認・マネーロンダリング対策)の認証情報を、ブロックチェーン上に記録することによって、別の当事者による他の取引でも使えるようにするシステムです。こうしたシステムを使えば、身元確認のようなプライバシー保持を要する手続きの安全性と効率性が向上すると説明されています。

認証情報をブロックチェーンに暗号化して記録

たとえば、法令の規制で、ある商品やサービスの購入対象年齢が18歳以上などと限定されていることがよくありますが、ネットワーク上の取引で年齢を確認するには時間がかかるだけでなく、プライバシーに関する情報がハッカーの手に落ちる危険性もありました

この点、バークレイズが提案しているシステムを使えば、Aさんがネットワーク上で「18歳以上」の年齢制限のある商品やサービスをB社から購入しようとしている場合、Aさんは自分が購入可能年齢に達しているという「主張」ができます

もし、Aさんが過去に別の事業者C社と取引をした際に、自分の年齢を証明する書類を提出するなどして年齢確認の認証を受けていれば、その認証情報はブロックチェーン上の「主張ツリー(claims tree)」に記録されています。このため、今取引を行っているB社は、Aさんの「主張」に基づいて「主張ツリー」を参照することで簡単に年齢確認ができ、改めてAさんに証明書類の提出を求める必要がなくなります。

ブロックチェーン上の「主張ツリー」に記録された認証情報は、プライバシー保持のため暗号化されており、取引の際に「主張」を受けた当事者しか参照することができません。

こうしたシステムを使えば、商品やサービスを購入する消費者にとっては、一度取引の際にKYC/AMLの認証を受けていれば、その認証情報を他の取引にも流用できるため、本人確認書類を取引のたびに提出する手間がなくなります

法令順守に要するコストを節減できる

一方、銀行や商店などの事業者側にとっても、KYC/AMLの法令順守に要する時間と経費を節減でき、社内オペレーションを合理化できることになります。しかも、個別の事業者が社内で蓄積する個人情報の量が現在よりはるかに少なくなるので、データの管理がしやすくなり、セキュリティーを改善することもできます。

バークレイズは、このようなシステムを、IoT(身の回りのさまざまな物がインターネットにつながっている仕組み)を使った本人確認情報の照会などに活用しようと考えているようです。

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