地中海のマルタに本拠を置く世界最大級の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は2018年8月16日、リヒテンシュタインに法定通貨と仮想通貨の交換が可能な取引所「バイナンスLCX(Binance LCX)」を設立すると発表しました。バイナンスはこれを欧州事業展開の足がかりとしていく方針です。

「バイナンスLCX」スイスフラン、ユーロと仮想通貨の取引が可能に

「Binance LCX」は、バイナンスとリヒテンシュタインのプロフェッショナル投資家向け仮想通貨取引所「リヒテンシュタイン暗号資産取引所(Liechtenstein Cryptoassets Exchange、LCX)」の提携により設立されました。

バイナンス側が技術プラットフォームの供給・メンテナンスを担当する一方、LCX側がカスタマーサポートや法律面の処理、デューデリジェンス(投資対象の価値やリスクなどの調査)、KYC/AML(本人確認・マネーロンダリング対策)手続き、政府当局との連絡調整を担当します。

バイナンスLCXでは、スイスの法定通貨スイスフランおよび欧州連合(EU)の共通通貨ユーロと主要な仮想通貨との間の取引が可能となります。今後さらに、他の法定通貨についても規制当局の承認を受けた上で取り扱いを拡大していく方針です。

バイナンスLCXのスタッフとして10〜15人の人員がリヒテンシュタインのオフィスに配置される予定で、同社は早急に雇用手続きを始めるとしています。

バイナンスの創設者で最高経営責任者(CEO)のCZ氏は「私はバイナンスLCXが、プロの投資家および一般投資家のいずれにとっても持続可能で信頼できるような、法定通貨・仮想通貨の入り口を構築できると確信している。私はバイナンスLCXがブロックチェーン産業にとっての有用性と法令順守の新たな基準をもたらすことを望んでおり、私たちはこのリヒテンシュタインのチームの成長のために実際的な経験と最良の実務能力をもたらせることに興奮している」と述べています。

また、LCXのモンティ・C・M・メルツガーCEOは「プロの投資家は、仮想資産への投資に当たり、信頼できる法定通貨のチャンネルを必要としている。私たちは今回のバイナンスとのジョイントベンチャーの発足により、ブロックチェーン産業のための新たな基準を確立できることに興奮している」と話しています。

仮想通貨に積極的なリヒテンシュタイン

バイナンスは、リヒテンシュタインが欧州の心臓部に位置しているうえ、EUの単一市場に自由にアクセスできる欧州経済領域(EEA)の加盟国である点でも、理想的なロケーションだとしています。

バイナンスは2018年に入って本拠地を中国からマルタに移していますが、今後はリヒテンシュタインを足がかりに欧州市場での事業展開を促進していく方針です。

リヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに挟まれた人口4万人の小国ですが、税率が低く、無記名預金が可能なタックス・ヘイヴン(租税回避地)として、金融機関の一大集積地となっており、人口を上回る数の法人が同国に登記されています。そのうえ、リヒテンシュタインは仮想通貨産業に積極的な国でもあります。

国を挙げて仮想通貨、ブロックチェーン産業を支援

アロイス皇太子は、“リヒテンシュタインが仮想通貨ビジネスの中心地になるべきである”との考えを示しており、同国の銀行バンク・フリックは、隣国スイスで取引を断られた仮想通貨関連業者を積極的に受け入れています。また、イーサリアムの開発に携わっていたヤニスラフ・マラホフ氏が、仮想通貨「エターニティー(Aeternity、AE)」の開発をリヒテンシュタインで行っています。

同国では近く、完全なトークンエコノミーに向けての包括的な法的枠組みとなる「リヒテンシュタイン・ブロックチェーン法」が制定される予定で、国を挙げてのブロックチェーン産業への支援がさらに強化される見通しです。

今回のバイナンスLCXの受け入れも、このような同国の仮想通貨産業に対する積極姿勢の表れといえます。

同国のアドリアン・ハスラー首相も「私たちはバイナンスLCXのリヒテンシュタインでの設立を歓迎する。ブロックチェーン技術は完全に新しい産業のための基礎となる。私たちはリヒテンシュタインの既存の、そして将来の法的枠組みおよび実践が、バイナンスLCXをはじめとするブロックチェーン企業に、ここリヒテンシュタインで特別なサービスを提供するための強固な基礎を供給できると確信している」と話しています。

あわせて読みたい

「仮想通貨取引所」と「仮想通貨販売所」はどう違う? 両者の特徴と使い分け方を解説
LINEの仮想通貨取引「BITBOX」開業

友だち追加