富士通が仮想通貨プラットフォームのIOTA(アイオータ)を新しい標準プロトコルとして採用することになったと、ドイツに本拠を置くIOTA財団が2018年8月24日に発表しました。富士通はIOTAを、いわゆる第4次産業革命や自動運転などの技術開発に活用していく方針とみられています。

IOTやAIの活用による技術革新「インダストリー4.0」

このIOTA財団からの発表は、「インダストリー4.0 富士通との共同創造(Industry 4.0 co-create with Fujitsu」と題されています。

「インダストリー4.0」というのは、第4次産業革命といった意味合いで使われることの多い言葉で、主に、IOTや人工知能(AI)の活用による製造業の技術革新のことを指しています。

富士通インダストリー4.0コンピテンスセンターのプログラムマネジャー、レオポルド・スターンバーグ(Leopold Stermberg)氏は、このプロジェクトの第一の目的は共同創造であるとして、「私たちは顧客とともに革新的技術を開発、共同創造したい」と述べています。

さらにスターンバーグ氏は、IOTAについて、「私たち富士通はITサービスとIT製品製造の両方の分野でのエキスパートであり、IOTAの新しい標準プロトコルとしての公開を手助けできる」と述べています。

富士通は、このプロジェクトのコンセプトを説明した文書の中で、「製造業にとって、製品の品質は死活的に重要な成功要因だ。組み立てられた製品は何百もの部品から構成され、それらの製造は複雑なプロセスに基づいている。工業生産の環境およびサプライチェーンにおける監査の足跡をたどるために、IOTAは有効な手段を提供してくれるだろう」と指摘し、IOTAが製造環境やサプライチェーン管理に最適なプラットフォームであると強調しています。

このコンセプトを通じて、富士通は二つの主要な目標を掲げています。

1.製造環境におけるデータ蓄積媒体としてのIOTAの活用例を示すこと

2.自動車産業への活用やIOTAをベースにしたイノベーションの推進

同文書で富士通は、今回のプロジェクトでIOTAの暗号化技術を活用することによる最も重要な利点として、「透明性」「データの信頼性」「データの安全性」の3点を挙げています。

IOTA(アイオータ)とは

IOTAは、その名前からも推察できるように、IOTのデバイス間の決済に最適化された仮想通貨プラットフォームです。

IOTとは「物のインターネット(Internet of Things)」の略語で、パソコンやスマートフォンの端末だけでなく、自動車や家電をはじめ、あらゆる物がインターネットに接続され、相互に情報を送受信し合うことによって人々の暮らしを向上させるという構想です。たとえば、冷蔵庫の中で足りなくなった食品を冷蔵庫が自動検知してネット通販に注文して補充する、といった活用方法が考えられます。

IOTに最適化するため、IOTAでは他の仮想通貨のようなブロックチェーンでなく、「タングル(Tangle)」という独自の分散型システムを採用しています。タングルではネット上のブロックやチェーンを使っていないためスケーラビリティー問題が生じず、即時決済が可能で、取引手数料も無料となっています。

IOTAを運営するIOTA財団には、すでに富士通ヨーロッパのロルフ・ベルナー最高経営責任者(CEO)が加入しているほか、マイクロソフトやボッシュフォルクスワーゲン、ドイツテレコムといった世界的企業も加わっています。

IOTAは2018年8月25日、多くの人から待ち望まれていた「トリニティー・デスクトップ・ベータ・ウォレット(Trinity Desktop Beta Wallet)」を公開すると発表しました。そのIOTAのコードベースはオープンソースとなっています。

IOTAはまた、分散型台帳技術(DLT)およびIOTの分野での先導的イノベーターや主唱者のグループと、効率的でイノベーションに親和性のあるような公共政策の枠組みの作成に貢献するため、共同作業を行っていくと発表しています

IOTAは8月24、25の両日、米国のシカゴで開かれた「ブロックチェーンの声(Voice of Blockchain)」というイベントを主催しています。このイベントのテーマは、「つながった乗り物(Connected Vehicles)」「自動運転車」「E-モビリティー」「スマートシティーを含む都市のモビリティー」「モビリティーサービス」です。ここからも、IOTAを自動運転技術などの未来の交通システムや、スマートシティー化に活用しようという方向性がうかがわれます

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