アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにある中東最大の仮想通貨取引所ビットオアシス(BitOasis)が、湾岸協力会議(GCC)加盟各国の金融規制当局と、中東地域の仮想通貨産業に対する規制の枠組み作りで共同作業していくことになりました。これは、GCC加盟国であるサウジアラビアで仮想通貨取引が全面禁止されていることなども踏まえたものです。

「仮想通貨産業のために規制が不可欠」=ビットオアシスCEO

ビットオアシスは中東および北アフリカ地域では最大の仮想通貨取引所です。同社のオラ・ドウディン(Ola Doudin)最高経営責任者(CEO)は、まだ初期段階にある中東地域の仮想通貨産業にとって、規制は不可欠であるとの見解を表明しています。

GCC(湾岸協力会議)は、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国で構成する地域協力機構です。

このうちサウジアラビアは最近、仮想通貨取引について、それが法規制の枠外にあることなどを理由に全面禁止する措置を発動しています。ビットオアシスなどによる規制の枠組み作りには、同国の禁止措置への対応としての側面もあります。

ビットオアシスのドウディンCEOは、サウジアラビアが仮想通貨を禁止したことに関連して、「デジタル資産およびブロックチェーン技術は実体のある物であり、お金の未来である」と指摘した上で、「この急成長している産業は、まだ初期段階にあり、規制はこの地域を含めて世界の至る所で現在協議され、発展しつつある」としています。

さらにドウディン氏は、「規制は仮想通貨産業を定型化するとともに、顧客へのリスクを最小化するために不可欠のものである」としており、「私たちが仮想通貨産業のパイオニアとして、GCC諸国の数多くの重要市場の規制当局と、必要な規制の枠組みを開発し、それに従うために緊密に共同作業をするのは、そうした理由によるものだ」と述べて、規制に反対しているわけではない点を強調。GCC諸国の規制当局とともに、必要な規制の枠組み作りのために緊密に共同作業していくとしています。

ドウディン氏は「全体として私たちの地域は進歩的であり、効率性や競争力を向上させたり、経済をよりスマートなものにしたりする新技術には素早く適合する」と述べた上、「規制の枠組みは、今日の世界におけるデジタル資産の地位を確実なものとするだろう」としています。

「幻影に惑わされて一攫千金を夢見るな」=サウジ中銀が警告

2018年8月、サウジアラビアの中央銀行の常設委員会は、ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨が同国では違法であることを改めて確認する声明を発表し、国民および企業が仮想通貨に投資しないよう警告を発しました

声明では禁止の理由として、そうした仮想通貨への投資には損失を被る高いリスクがあることや、規制のための枠組みができていない点を挙げています。

常設委員会は声明の中で、「委員会はすべての市民および居住者に対し、幻影に惑わされて一攫千金を夢見ることのないよう警告する」として、仮想通貨にはセキュリティ面などでも問題があると説明した上、仮想通貨産業が政府の統制の外にあることを理由に、ビットコインをはじめとする仮想通貨への投資の危険性を訴えています。

この中央銀行の常設委員会は、外国為替や仮想通貨への投資や取引を抑制する目的で国王命令により設立されたもので、同国中央銀行の下部機関である「サウジアラビア金融局(SAMA)」の傘下にあります。同委員会は、資本市場局(CMA)やメディア省、商業投資省などからの委員で構成されています。

ただ、SAMAは一方で、仮想通貨やその基盤技術であるブロックチェーンに対して異なったアプローチも取っています。2018年に入って、サウジアラビアの中央銀行は米リップル社と、分散型台帳技術(DLT)を基盤とした決済のテストを行うために作業チームを作っています

DLTを使ったブロックチェーンは、取引手数料を安くしたり、取引のすべてを追跡可能にすることで透明性を高めたりすることができる技術として、世界中のさまざまな金融機関が活用しようとしています。サウジの中央銀行もその例外ではありません。

湾岸諸国の仮想通貨への対応はさまざま

湾岸諸国は仮想通貨に関してはこれまで、それぞれ異なった態度を取ってきました。バーレーンはサウジに近い同盟国の一つですが、仮想通貨投資の誘致に関しては極めて積極的です。同国中央銀行は仮想通貨ステラ(XLM)を開発しているステラ財団に対し、イスラム法に基づく特別な決済と資産トークン化の認可を与えています。

アラブ首長国連邦(UAE)もサウジアラビアの同盟国ですが、2件の仮想通貨プロジェクトの本拠地となっています。そのプロジェクトのひとつである「ドバイコイン」は、アラブ世界にまたがる初の仮想通貨を目指すものです。もうひとつの仮想通貨プロジェクト「アリババコイン」は、「アリババ」の名称を使っていることで投資家に誤解を与えかねないとして、中国の大手Eコマース企業、アリババ・グループから訴えられています

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