コインチェック流出事件で引き合いに出されることが多いマウントゴックス社の事件。2014年に発生した当時世界最大のビットコイン交換所の破たん騒動です。あれから3年、未だ全貌は明らかになっていませんが、マウントゴックス社の事件とは何だったのか、仮想通貨の認知度が大きくなった今、改めて振り返ってみましょう。

マウントゴックス破たん騒動とは

2014年2月24日、一時期には全世界のビットコイン取引量の70%を占めるほどであった東京にあるマウントゴックス交換所は、全取引を停止し数時間後にはサイトも消去されるという事態に陥りました。

このように、僅か1日の間にweb上に存在していた世界最大規模のビットコイン交換所は消滅してしまい、同月28日には同社は民事再生手続きを申請することになります。

マウントゴックス社の社長によれば、同社は不正アクセスなどで合計85万BTCと顧客資産約28億円が消失したとのことでした。

その後、顧客の多くが海外ユーザーであることなどから、民事再生案の立案・遂行が困難であると判断され、民事再生法の申請は却下され東京地裁から破産開始決定を受けることになります。

マウントゴックス社の社長が逮捕される

ハッキングによる流出事件として考えられていたこの事件は、2015年8月に急展開し同社の社長が逮捕されるという事態となります。

逮捕された理由は、様々な要因から社長による横領事件としての疑いが出てきたことですが、社長自身は無罪を主張しており、2018年2月時点で公判継続中です。

マウントゴックス破たん騒動とは、このようにマウントゴックス社の取引停止から民事再生法申請、破産開始決定、社長逮捕という一連の流れのことを言います。

メディアによるいくつかの誤報

今のようにビットコイン全盛期の少し前の話ですので、メディア報道も多少混乱している部分もあり、いくつかの誤報が発信されてしまうことになります。

その最たるものが仮想通貨という名称で、世界中でcryptocurrency(暗号通貨)と呼ばれていますが、日本でだけ仮想通貨という名称になっているのは、マウントゴックス破たん騒動の際に仮想通貨として報道されたことが要因となっています。

恐らくはデジタルマネーとしてのイメージが強すぎたのでしょうが、ブロックチェーンテクノロジーなどについては触れられることはなく、取引所(交換所)の問題というよりもビットコインに問題があるという報道が多くみられました。

この事件によりビットコインの価格は大暴落することになりましたが、マイウォレットに移行していたユーザーは被害を受けていないことなどについても報道されることはほとんどありませんでした。

マウントゴックス破たん騒動のその後

ビットコイナーの間では、「GOXする」とい言葉は、不正アクセスによるハッキングにより取引所からビットコインが盗まれてしまい、突然、自身のビットコインを失ってしまうことを言いますが、その後も世界中の取引所でGOXする事件が起きています。

さて、マウントゴックス社の負債額は約479億円ですが、破産管財人によると同社には現金約10億円と20万BTCが残っており、その後のビットコインの大暴騰により負債額をはるかに超える資産が発生してしまっています。

こんな事態は過去には例がないということで、通常の破産手続きでは配当は現金で行われますが、今回ビットコインの大暴騰により現金化した場合には、多額の残余財産が発生することになります。

この場合、残余財産はマウントゴックス社の実質上の株主であるマウントゴックス社元社長に分配されることになり、これを防ぐために債権者は民事再生法の適用を申請しました。

これにより、債権者は現金、もしくはビットコインのどちらかを選択して配当を受けることができるようになります。

マウントゴックス破たん騒動の教訓

マウントゴックス社の社長の公判は現在も続いており、未だ全貌は解明されていません。

単なる横領事件なのか、純粋なハッキング事件なのか、あるいは、その両方、もしくは世界的規模でのマネーロンダリング問題が絡んでいるのか、今後の推移を見守るしかありません。

しかし、この事件は仮想通貨を購入する際にいくつかの教訓を残してくれました。

その一つが、仮想通貨を持ち続ける際には、マイウォレットに移行しておくことで、取引所のオンラインウォレットに預けたままだと、取引所が破たんした場合やハッキングを受けた場合に自己資産が守られない可能性が高いということ。

残念ながら、この教訓はコインチェックのネム流出事件でも守られていませんでした。

歴史の浅い仮想通貨への投資では、銀行や証券会社のように一定額までは補償が受けられるというシステムが発達していません。今、仮想通貨に投資をしている方は自己責任で自分の資産を守らなければならないということを、忘れないようにしましょう。