巨額ハッキング事件で2014年に経営破綻した仮想通貨取引所マウントゴックス(MTGOX)=民事再生手続き中=が保有する仮想通貨のうち、ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)計約260億円分が、管財人によって2018年3月から6月までの間に売却されていたことが分かりました。2017年12月から18年2月にかけても両仮想通貨計約430億円分を売却しており、大量放出が市場価格に影響した可能性も指摘されています。

売却は「債権者の利益確保のため」

マウントゴックスの資産を管理する再生管財人=売却当時は破産管財人=の小林信明弁護士が2018年9月25日に発表した文書によると、売却した仮想通貨は、ビットコインが2万4658.00762BTC(225億6100万4011円相当)、ビットコインキャッシュが2万5331.00761BCH(34億1469万8341円相当)で、売却額は合わせて259億7570万2352円となります。

具体的にどのような方法で売却したかは明らかにされていません。

この売却の結果、破産管財人の口座残高は約700億5900万円となり、破産債権総額の約733億7300万円に近づきました。一方、2018年9月21日時点でマウントゴックスが保有するビットコインの残高は14万1686.35236435BTC、破産財団の管理するビットコインキャッシュは14万2846.35166254BCHとなっています。

小林管財人は、売却を行った理由について、「破産事件において全債権者が既に得ていると見込まれる利益を確保するため」と説明しています。

マウントゴックスはハッキング事件の後、東京地裁で破産手続きに入っていましたが、2017年11月に一部債権者が民事再生手続きへの移行を申し立てました。これを審理するため地裁の命令で実施された調査の結果、民事再生手続きへの移行に当たっては、それまでの破産手続きの中で全債権者が既に得ていると見込まれる利益を確保する措置が、民事再生手続き開始決定前になされていることが前提になるとの報告書が地裁に提出されました。

この調査報告を踏まえ、裁判所、調査委員、破産管財人による協議の結果、利益確保のための措置として、同社が保有する仮想通貨の一部を売却することになったとされています。この売却後の2018年6月22日、マウントゴックスは同地裁から破産手続き中止と民事再生手続き開始の決定を受けています。

2月以前にも約430億円分を売却

小林管財人は2017年12月から18年2月にかけても、ビットコイン3万5841.00701BTC(382億3138万9537円相当)とビットコインキャッシュ3万4008.00701BCH(47億5665万4806円相当)の計429億8804万4343円相当を売却しています。ちょうどビットコイン価格が最高値から急落に転じた時期であり、市場への大量放出が価格下落の一因となった可能性も指摘されていました。

この点について同管財人は2018年3月に開かれた債権者集会で、「仮想通貨取引の専門家とも協議の上、可能な限り取引のセキュリティーを確保しつつ、取引所での通常の売却ではなく、市場価格に影響を与えない工夫をして売却した」と説明。「売却が市場価格に影響を与えた事実はないと考えている」としています。

管財人「事件の全容解明は困難」

マウントゴックス社と小林管財人は9月26日付で東京地裁に提出した報告書で、事件でのビットコインなどの消失経緯については調査を進めているものの、情報が限られていることなどから全容の把握は難しいとの見方を示しています。

ただ、同報告書では、40億ドル以上のマネーロンダリングに関与したとして米国で起訴されたロシア人の仮想通貨取引所運営者、アレクサンダー・ビニク(Alexander Vinik)被告の起訴事実の中に、マウントゴックスへのハッキングにより資産を盗み取った事実が含まれていることを指摘しています。

マウントゴックスをめぐっては、ハッキング事件とは別に、同社最高経営責任者(CEO)だったフランス人のマルク・カルプレス被告が、顧客の預金を着服したとして業務上横領などの罪で起訴されていますが、同被告は無罪を主張しています。

同報告書で管財人は、世界各地にいるマウントゴックスの債権者が民事再生債権の届け出をオンラインで簡単にできるシステムを公開したことを報告。地裁が定めた届け出期間内の2018年10月22日(日本時間)までに再生債権の届け出を行うよう呼びかけています。

オンライン債権届け出システムのURLは、以下のとおり。
https://claims.mtgox.com/assets/index.html#/

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