仮想通貨の原点となったサトシ・ナカモト論文が発表されてから2018年10月で10周年。これを記念してスイスの高級腕時計メーカー、ウブロ(Hublot)が、ビットコインのみで購入できる限定モデル「ビッグ・バン・ブロックチェーン」を発売すると発表しました。同社とパートナー契約を結んでいる仮想通貨取引会社OSLを通じて販売されます。

ブロックチェーンを「金融システムの革命」と絶賛

ビットコイン誕生のきっかけとなったサトシ・ナカモトの論文「ビットコイン:ピア・トゥー・ピアの電子的通貨システム」がネット上に発表されたのは2008年10月31日のことで、仮想通貨コミュニティーではこの日が仮想通貨の出発点とされています。2009年1月3日には、実際のビットコイン・ブロックチェーンの最初のブロック(ジェネシス・ブロック)が生成されました。

それから10周年を迎えるのを記念して、ウブロでは高級腕時計のニューモデル「ビッグ・バン・ブロックチェーン(Big Bang Blockchain)」を発売します。価格は現時点では公表されていませんが、代金支払い通貨はビットコインに限定されており、同社は「時計メーカーからビットコインで直接購入できる業界初の腕時計」であるとしています。

製造本数は210本限定で、これはビットコインの発行枚数上限である2100万枚にちなんだものということです。

「ビッグ・バン・ブロックチェーン」の宣伝・販売業務を担当するのは、アジア地域で仮想通貨の相対取引事業を展開するオクタゴン・ストラテジー社(Octagon Strategy Ltd.,OSL)。ウブロは2018年6月、OSLとパートナー契約を締結し、OSLの公式タイムキーパーとなっています。

ウブロ社は今回の発表で、仮想通貨の根幹を成すブロックチェーン技術について、デジタル分散型台帳システムとして幅広く使われている「金融システムの革命」であると強調。ブロックチェーンを使った非中央集権化の重要性について、「デジタル情報の分散化を認めることにより、ブロックチェーン技術は新しい類型のインターネットのバックボーンを生み出す。ブロックチェーン技術はその独自性を広く認められており、各種産業に種々の面で規範と取引に革命をもたらす無限の可能性を秘めているのはもちろん、最も強力で急発展する取引ツールの一つになるとみられている」と、その有用性を高く評価しています。

ウブロはまた、提携先のOSLについて、「アジア地域の先導的なデジタル資産取引会社であり、ウブロとはその革新的、革命的ビジョンを共有している」とした上で、「それぞれの業界の一流企業であるウブロとOSLの提携により、両社は時計産業と先端技術産業の双方に道を切り開くだろう。両社連合は顧客に対し、デジタル資産を使った最も心地よく安全なショッピング体験を保証することになる」と、仮想通貨の活用に積極姿勢を見せています。

ジェネシス・ブロック生成の10年後に発送

「ビッグ・バン・ブロックチェーン」の購入申し込みの受け付けは2018年10月29日まで、専用ウェブサイト(https://www.hublot.com/blockchain-presale/)で行われています。

購入申し込みに当たっては、氏名や連絡先のほか、顔写真やパスポート、居住地を証明する書面の画像データを添付ファイルとして送る必要があります。登録データはOSLによって処理され、OSLは登録した購入希望者に対して確認メールを送った上、確認済みの申込者に売買契約書を送ります。売買契約の日付は、サトシ・ナカモト論文発表からちょうど10年後の2018年10月31日です。代金支払いはOSLを通じてビットコインで行うこととなっていますが、代金相当額の米ドルを同日時点のレートによりOSLで換金して支払うことも可能です。

その後、ウブロ社から「ビッグ・バン・ブロックチェーン」を各購入者に発送します。出荷開始予定日は、ビットコインのジェネシス・ブロックが生成されてから10周年に当たる2019年1月3日とされています。

「ブロックチェーン参入」を宣言

ウブロ社は1979年創業。2005年から販売する「ビッグ・バン」シリーズが主力商品となっています。2008年からは、ルイ・ヴィトンやモエ・ヘネシー、クリスチャン・ディオール、ブルガリなど数々の高級ブランドを持つ仏LVMH社の傘下に入っています。

ウブロは公式サイトで、2018年に入ってニューヨークの5番街にある旗艦店に「デジタルブティック」を初導入したり、米国での腕時計バンドのインターネット通販開始を発表したりと、デジタル分野進出の取り組みを積極的に進めてきた点を挙げ、「そして今、ウブロはブロックチェーン技術に参入する」と宣言しています。

「ビッグ・バン」シリーズは熟練の職人による手作りを売り物とする機械式腕時計で、仮想通貨やブロックチェーンとは対極のイメージ。今回のビットコイン10周年記念モデルについて、価格を公表しないまま購入予約を募っている点は空恐ろしい感じもしますが、アジアで仮想通貨取引サービスを展開するOSLを通じた販売である点を考えると、中国の富裕層や日本などのごく一部のビットコイン長者の需要を当て込んでいるのかもしれません。

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