米連邦議会の超党派の議員15人が証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長に書簡を送り、仮想通貨への規制について明確な基準を開示するよう求めました。SECはこれまで、仮想通貨は有価証券に当たるとして連邦証券法に基づく規制対象とする方針を示しながら、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)については例外とする見解も表明していました。

「より明確なガイドラインの策定を」

書簡を送ったのはトム・エマー下院議員(共和党、ミネソタ州選出)、テッド・バッド下院議員(共和党、ノースカロライナ州選出)をはじめとする共和、民主両党の15人の議員。2018年9月28日付でクレイトンSEC委員長に対し、仮想通貨への規制方針がどのようなものであるか投資家に分かりやすく説明するよう求めています。

同書簡で議員たちは「この(ブロックチェーン)技術の利用は米経済の多くの部門の成長にとって重要である」との見解を表明。その上で、「デジタルトークンのうちどれが証券に当たるか、どれが当たらないかについて、より明確なガイドラインの策定に向けてすべての政策決定者が作業することが重要だ。そうした基準は、SECのより明確な表現を通じて、そして終局的には公式ガイダンスまたは立法を通じて示されるべきだ」と指摘しています。

書簡ではまた、SECで仮想通貨などを担当しているウィリアム・ヒンマン法人金融部長が2018年6月の講演で、イーサリアムは当初はイニシャル・コイン・オファリング(ICO=仮想通貨による事業資金調達)で発行されたにもかかわらず、非中央集権的ネットワークで運営され、特定の個人や団体がその価値を左右できない点を理由に、有価証券には該当しないとの見解を示した点も指摘。「当初は投資契約の中で販売されたトークンであっても有価証券とはならない場合があり得るとしたヒンマン氏の発言に同意するか」と、クレイトン委員長に問いかけています。

さらに、「私たちは政策を鮮明にするために強制的措置だけを使うことを懸念している」とした上、「法的な不安定さは米国の革新的技術を不必要に妨げる原因となりつつある」と指摘。「私たちは公式なガイダンスがこれを払拭するための適正なアプローチとなり得ると確信している」と述べ、SECが規制的措置に頼ることをけん制しています。

書簡ではSECに対して回答期限を区切ってはいませんが、「仮想通貨産業の発展のスピードを念頭に置くように」と求めています。

SECは審査基準として「ハウェイ・テスト」を適用

現時点でSECは、仮想通貨の大部分については有価証券と見なし、株式と同様に連邦証券法が適用されるとしています。ただ、一部のSECの高官は、ビットコインとイーサリアムは有価証券ではなく、商品先物取引委員会(CFTC)の統制に服するコモディティー(商品)であるとの見解を示しています。

SECは、ICOにより発行されるほとんどの仮想通貨について、それらが有価証券に当たるかどうかの判断基準として、1946年の連邦最高裁判決で示された「ハウェイ・テスト」として知られる審査基準を採用しています。

ハウェイ・テストとは、あるものが連邦証券法の定める投資契約に該当するかどうかについては、(1)発起人または第三者の努力にのみ依拠した(2)共同事業からの(3)収益を期待して行われる(4)金銭の投資-であるかどうかかを基準に審査するというものです。

クレイトンSEC委員長は、これらの基準を仮想通貨について改めるつもりはないと表明しています。SECは独立行政機関として既存の法令について解釈を示すことはできますが、法令を変更することはできません。

仮想通貨関連法案の提出も準備

今回のSECへの要請の中心となったエマー下院議員は2018年9月、3件の仮想通貨とブロックチェーンに関連する法案を提出する計画を明らかにしています。一方でウォーレン・デビッドソン下院議員(共和党、オハイオ州選出)も、同様の法案を今秋の提出に向け準備中であことを明かしていますが、まだ完成はしていないとのことです。

ブロックチェーン技術の国外流出を懸念

今回の書簡は、仮想通貨に対する規制基準の不明確さが革新的企業の海外逃避を招くのではないかとの仮想通貨業界の懸念を反映したものです。

書簡では「デジタルトークンの勧誘や販売の取り扱いをめぐる現状の不安定さは米国の革新的企業の妨げとなっており、究極的には産業を他国に流出させることになるだろう」と指摘しています。

議会と仮想通貨業界が会合

今回のSECへの要請に先立って、米連邦議会では2018年9月、仮想通貨規制に関する4時間にわたる会合が開かれ、フィデリティー(Fidelity)、ナスダック(Nasdaq)、ステート・ストリート(State Street)、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、全米商工会議所など、証券業界やベンチャーキャピタル、仮想通貨関連企業などの代表約50人が出席しています。

この会合で、大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)のマイク・レンプレス(Mike Lempres)最高政策責任者(CPO)は、「私たちはすべて公正で秩序ある市場を求めており、それは規制当局が求めているものと同じだ」と述べた上、「それは過去と同じ方法で行われるべきではなく、私たちはそれがオープンに行われることを必要としている」と主張しました。

SECは、ビットコイン価格が最高値を記録した2017年末以降、ICOでの詐欺行為を厳しく取り締まっています。一方、金融調査会社オートノマス・ネクスト(Autonomous Next)の集計によると、ICOにより集められた事業資金は2018年に入ってからだけで120億ドルに上っています。

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