ブロックチェーン技術を使って、ある銀行口座から別の銀行の口座へ、いつでも即時・無料で送金できるスマートフォン用の個人間送金アプリ「マネータップ(Money Tap)」が、2018年10月4日に日本でリリースされ、サービスを開始しました。今のところ対応する銀行は3行のみですが、今後、国内の多くの銀行に広がっていく予定です。

相手の携帯電話番号が分かれば送金可能

マネータップ」は、国内の61の金融機関が加盟している「内外為替一元化コンソーシアム」が提供する新しい個人間送金アプリです。24時間いつでも即座に送金を行うことができ、相手方口座へもすぐに着金します。振込手数料は無料で、サービスに対応する銀行の口座を持っていれば誰でも始めることができます。

送金するのに相手の銀行口座番号を知っている必要はなく、携帯電話番号やQRコードで相手先を選んで送金できます。

携帯電話番号などを使って決済を行うスマートフォンアプリは世界的な潮流となっており、日本でもフィンテック企業などによるサービスが既に行われていますが、複数の銀行が主体的に提供するサービスとしては、この「マネータップ」が日本で初めてとなります。

生体認証に対応

「マネータップ」は、iOS用とAndroid用のスマートフォンアプリが用意されており、それぞれApp StoreとGoogle Playからダウンロード可能です。アプリの起動時や送金時の認証は指紋認証などの生体認証に対応しており、簡単かつ安全に送金することができます。

利用に当たっては、対応金融機関の口座と、ショートメッセージ(SMS)が利用できる電話番号、電子メールアドレスが必要になります。

セキュリティー確保の観点から、同一口座を複数の端末でサービスに使用することはできません。また、同一の携帯電話番号を使って複数の端末でアプリを利用することもできません。

多くの国内金融機関にサービス拡大予定

送金にあたっては、送金先口座の金融機関が「マネータップ」にサービス対応している必要があり、今のところ対応しているのは住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行のみとなっています。この3行は2018年春からこのシステムの試験運用を行ってきたことから、先行してサービス開始となったものです。

ただ、このサービスを提供している「内外為替一元化コンソーシアム」には、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループの三大メガバンクをはじめとする61の金融機関が参加していることから、サービスへの対応はこれらの金融機関に順次広がっていく予定です。

なお、振込先が「マネータップ」のアプリを使っていなくても送金は可能です。

プラットフォームにリップル社の「xCurrent」を実装

「内外為替一元化コンソーシアム」では、2016年10月の発足以来、分散化台帳技術(DLT)を活用し、外国為替に加えて内国為替も一元的に扱う次世代金融基盤を共同で構築してきました。2017年12月には、米リップル社の最新ソリューションである「xCurrent」を実装した商用版のプラットフォーム「RCクラウド2.0」を完成させています。

このリップル社の「xCurrent」ネットワークは、分散型台帳技術を使って構築されたシステムで、世界各国でこのシステムを採用する金融機関が増えつつあります。最近では、2018年4月に、スペインに本拠を置く大手銀行のサンタンデル(Santander)が、xCurrentを使った国際決済アプリを公開し、スペイン、英国、ブラジル、ポーランドの4カ国でサービスを開始しています。

2018年春から実証実験

日本では「内外為替一元化コンソーシアム」が2018年4月から、「RCクラウド2.0」に接続するアプリである「マネータップ」の実証実験を、住信SBIネット、スルガ、りそなの3行で続けてきました。そして9月26日には、「マネータップ」のサービス開始に当たって最後の関門となっていた金融庁への電子決済業者としての登録が完了したと、同コンソーシアムの事務局を務めるSBI Ripple Asiaが発表していました。

「マネータップ」の開発は、野村総合研究所の協力の下で行われました。「マネータップ」と「RCクラウド2.0」の接続にあたっては、参加金融機関の開発負荷を軽減するために、オープンAPIを活用した接続を可能とする「共通ゲートウェー」を使っています。

今回の「マネータップ」のスタートは、日本の大手金融機関が初めて本格的にブロックチェーン技術をサービスに活用した事例と言えるかもしれません。送金先の口座番号を知らなくても電話番号で手軽に送金できる上、即座に着金し、しかも他行宛て送金でも手数料がかからない点など、利用者に多くの恩恵をもたらすものとなります。

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