韓国の首都ソウル特別市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長が、ブロックチェーン産業の促進に向けた5カ年計画を公表しました。市内に2カ所の仮想通貨・ブロックチェーン関連産業のビジネスセンターを建設して多数の企業を集積させ、ソウルがブロックチェーン産業の一大拠点となることを目指しています。ブロックチェーン関連のスタートアップ企業への支援や、民間部門との協力強化なども掲げています。

「ソウルをブロックチェーンのエコシステムの中心に」

この5カ年計画は、欧州歴訪中の朴市長が2018年10月4日にスイスのツークで明らかにしたものです。朴市長はソウル市をブロックチェーン産業の一大拠点とする構想の実現に向け、30人の代表団とともに、多数の仮想通貨産業が集積するエストニアや、スイスの「クリプトバレー」と呼ばれるツーク州を訪れ、現地の実状を視察していました。

朴市長は「ブロックチェーンが未来のIT産業を形づくる第4次産業革命の中核的な技術であることは疑いがない」と述べた上、「私はソウルがブロックチェーン産業のエコシステムの中心となることを支援するため努力していく」と表明。ソウル市内2カ所にブロックチェーン産業の拠点を設け、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)のほか、約200社のブロックチェーン関連のベンチャー企業を誘致するとしています。

市内2カ所にブロックチェーン産業拠点を構築

朴市長の公表した計画では、まず、2019年までに603億ウォンを投じて、南東部の開浦(ガエポ)地区と西部の麻浦(マポ)地区にある2棟の建物(延べ床面積はそれぞれ600平方メートルと2325平方メートル)をブロックチェーン産業のビジネス拠点とし、73社のブロックチェーン関連企業を入居させるとしています。

さらに、開浦地区では2021年までに、延べ床面積1万3000平方メートルの「ソウル・グローバル・ブロック・センター」を建設し、120社を入居させる計画です。

両地区のブロックチェーン拠点にはそれぞれ、ブロックチェーン技術者のトレーニングセンターも設けられる予定で、今後5カ年で730人の専門家を育成することを目標としています。

基金設立でスタートアップ企業を支援

ソウル市はまた、2022年までに1000億ウォン(約8800万ドル)の基金を設立し、この基金を通じてブロックチェーン関連のスタートアップ企業を資金面で支援していく方針です。さらに、ブロックチェーン関連の会議開催やツアーなど、同産業推進のためのイベントも支援していくとしています。

市政の全業務にもブロックチェーン活用へ

現在3期目となる朴市長は、弁護士や市民運動家としての活動を経て、2011年にソウル市長に初当選した人物です。

これまでも「ソウルは第4次産業革命を主導する都市の一つであり、ブロックチェーンのような新技術を学習し、それらに投資するのは自然なことだ」と述べるなど、ブロックチェーン技術活用の強力な推進派として知られています。ソウル市をブロックチェーン産業の一大拠点とする構想だけでなく、市政のさまざまな業務へのブロックチェーン技術の導入にも向けても積極的な取り組みを進めてきました。

2017年11月には、市民の利便性や市政の透明性を向上させることを目的に、ブロックチェーンに市民の個人情報を集積し、行政事務に活用する計画を策定。2022年までに、公共交通や社会保障をはじめとする市の全業務にブロックチェーン技術を取り入れるとしています。

同市はこの計画を推進するため、ITサービスプロバイダーのサムスンSDS社に、ブロックチェーンの行政への活用に向けたロードマップの策定などを発注しています。

市独自の仮想通貨「Sコイン」発行も計画

朴市長は2018年4月には、ソウル市独自の仮想通貨「S-coin」(仮称)を発行する構想も明らかにしています。これは若年層の求職者などを対象とした公共福祉プログラムや環境保護施策のための資金調達に活用するほか、ソウル市発注の建設事業での支払いに仮想通貨を使うことも検討しているとのことです。

朴市長はこの「S-coin」構想について、ソウル市の新たな「ブロックチェーン・マスタープラン」の中核を成すものだと述べています。市長はさらに、仮想通貨に関する市の明確なガイドラインを策定する方針も表明しています。

2018年6月には、同市のデジタル財団が韓国のメッセンジャーアプリ大手、カカオの関連企業であるシンクタンクとの間で、公共部門などでのブロックチェーン技術の活用に向けたプロジェクトを共同開発する内容のパートナー契約を結んでいます。

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