米リップル社の仮想通貨XRPを2020年東京オリンピックの公式仮想通貨に指定するよう国際オリンピック委員会(IOC)に求めるオンライン署名運動が行われています。賛同者は2018年10月に入って急増し、10月9日時点では1万1000人を超えています。

ネット上で呼びかけ

この署名運動は、オンライン署名運動サイト「change.org」上で「Ken Takahashi」と名乗る人物が呼びかけているものです。

呼びかけ文では、オリンピック大会について「この世界的なイベントは大きな文化的、経済的機会をもたらす」としつつ、「開催国はインフラストラクチャーや交通、そして決済システムに関する多くの課題に直面している」と指摘。なかでも、「開催国に旅行客が押し寄せることに伴い、現地通貨への需要が急増し、これにより通貨交換所に長蛇の列ができることは、2008年の北京大会や2016年のリオデジャネイロ大会などの過去のオリンピックを見ても分かる通りだ」とした上、為替レートの混乱や言語の障壁がこの問題をいっそう悪化させると警告しています。

その上で、この問題の解決に当たっては、米リップル社の仮想通貨XRPの迅速な取引処理速度と安全性が大いに役立つだろうと強調。IOCに対し、XRPを2020年夏季オリンピック東京大会の公式仮想通貨とするよう求める内容となっています。

「タカハシ」氏の誓願は、XRPを円に代わる東京オリンピックの事実上の通貨として使うことで、世界中から訪れた選手や観戦客は大会期間中、仮想通貨の決済システムを使うだけで買い物ができるようになるというものです。署名運動に一定の賛同者が集まれば、実際にICOにこの誓願が持ち込まれる見通しです。

実現すればXRPの価格高騰も

誓願内容が実現して、東京オリンピックでXRPが決済手段として使われるようになれば、現在は仮想通貨の時価総額ランキングで第3位となっているXRPの価値が飛躍的に高まり、XRPを保有している投資家やリップル社に大きな利益をもたらすことも予想されます。

このオンライン署名運動が始まったのは2017年11月ごろとみられますが、賛同者の数は2018年10月に入って急増しており、10月8日には1万人を突破しています。

change.orgとは

この署名運動が行われているchange.orgは、米サンフランシスコに本社を置くChange.org.Incが運営する国際的なオンライン署名運動プラットフォームです。誰でもキャンペーンに使うことができ、地方自治体から国レベル、企業向け、さらに国際的な問題を扱うものまで、幅広いテーマでのキャンペーンに利用されています。

Change.org上で行われた2020年東京オリンピック関連の署名運動としては、新国立競技場の建設計画に疑問を投げかけたキャンペーンが8万7310名の署名を集めた例があります。

最近になって賛同者が急増した背景は

署名運動は10カ月以上前に始まったにもかかわらず、最近になって賛同者が急増している理由について、仮想通貨ニュースサイト「ビットコイニスト(Bitcoinist)」は、日本で個人間送金サービス「マネータップ(MoneyTap)」が10月から始まったこととの関連性を指摘しています。

「マネータップ」は、日本国内の61の金融機関が加盟する「内外為替一元化コンソーシアム」が運営するもので、ブロックチェーン技術の活用により、24時間いつでも即座に送金ができ、相手方口座にもすぐに着金できるというサービスです。このプラットフォームには、リップル社の「xCurrent」という分散型台帳技術を使ったシステムが使われています。

もっとも、「マネータップ」は法定通貨の円を送金するためのサービスで、XRPの送金や決済には対応していません。

ネット上には疑問の声も

XRPを東京五輪の公式仮想通貨に指定するよう求める署名運動に対して、ネット上では、取引処理が迅速で安全性の高い仮想通貨はほかにもビットコインキャッシュ(BCH)などがあるにもかかわらず、なぜXRPだけを後押しするのかについて疑問の声も挙がっています。

「タカハシ」氏の呼びかけ文では、取引処理の迅速性と安全性を備えた仮想通貨がほかにもある中で、XRPが「東京五輪大会の公式仮想通貨」として最適とする理由について、具体的には触れられていません。

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめ、ほとんどの仮想通貨には中央管理者がいないのに対し、XRPは米リップル社が発行、管理しており、中央集権的な性格を持っているという点で大きな違いがあります。発行済みの1000億XRPのうち、約半数をリップル社が保有しています。

また、XRPは本来、国際送金を容易にするための「ブリッジ通貨」として使用する目的で開発された仮想通貨である点から、これを決済に使うことを疑問視する声も挙がっています。

ただ、XRPで支払いができるスマートフォン用決済アプリとしては、日本では2018年8月22日に「CanPayment」がリリースされています。

この署名運動について、リップル社は今のところ公式な態度を表明していません。

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