米中貿易戦争の激化に伴い、米国が新たに中国製の仮想通貨マイニングマシンに高率の関税を課したことで、北京に本拠を置く世界最大手のマイニングマシンメーカー、ビットメイン(Bitmain)も打撃を受けそうだと、香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが伝えています。

主力製品のマイニングマシンの関税率ががいきなり27.6%に

米国は2018年8月23日から、中国製マイニングマシンに新たな追加的関税を課しています。米国の新たな関税は、対米輸出を行っている中国の仮想通貨マイニングマシンメーカーすべてに影響を与えるものですが、製品の多くを輸出しているビットメイン社も打撃を受ける見通しとなっています。

米通商代表部(USTR)は2018年6月、ビットメイン社の主力製品であるマイニングマシンの商品分類を、それまでの「データ処理マシン」から「電気機械装置」へと変更しました。これにより、それまで対米輸出が非課税だった同製品に2.6%の関税がかけられることになりました。

さらに、これらのマイニングマシンは、米トランプ政権が2018年8月に発動した中国製品に対する25%の追加的関税の対象となりました。その結果、かつては非課税だった対米輸出の中国製マイニングマシンには現在、27.6%の関税が課税されています。

ビットメイン社は2018年9月、香港証券取引所に上場申請しており、新規株式公開(IPO)により30億ドルの資金調達を計画していると伝えられていますが、米中貿易戦争に伴う対米輸出への深刻な悪影響は避けられない見通しで、IPOの計画にも影響が出てくるのではとの見方も出ています。

収益の多くを輸出に依存

ビットコイン用マイニングマシン開発会社ルーテック(Lu Tech)の共同創設者ベン・ギャノン(Ben Gagnon)氏は「中国に本拠を置くマイニングマシン製造業者はすべて、米国のこの関税対象の分類変更の影響を受け、次々と米国の追加的関税の対象となっていく公算が大きい」と指摘しています。

中国の他のマイニングマシン製造業者であるカナーン(Canaan)とエバン・インターナショナル(Ebang International)の両社も、共に香港証券取引所でのIPOで、それぞれ4億ドルと10億ドルの資金調達を計画していると伝えられています。

しかし、海外輸出への依存度が高いビットメイン社に対する米国の関税の影響は、ライバル2社よりは大きなものとなりそうです。

ビットメインのIPOの目論見書によると、同社の総収益に占める海外向け販売額の割合は、2016年には51%、17年には51.8%を占めています。これに対し、カナーンとエバン・インターナショナルの両社の2017年の総収益に占める海外向け販売の割合は、それぞれ8.5%と3.8%にすぎません。

サンフォード・C・バーンスタイン社(Sanford C. Bernsterin)の上級アナリスト、マーク・リー(Mark Li)氏は8月に出した調査報告で、2016年に発売されたビットメイン社の主力製品の売り上げが、2017年の同社の総収益25億ドルの半分以上を占めていると指摘。米国の関税によって同製品の競争力は低下することになるだろうとしています。

収益が第2四半期に半減

リー氏は10月の報告では、ビットメイン社の収益が低下していることにも触れ、これまでの驚くほどの急成長にはブレーキかかる恐れがあるとしています。同社のマイニングマシン販売による収益は、2018年第1四半期には18億ドルだったのが、第2四半期には8億5000万ドルと半分以下に減っています。

バーンスタイン社の見積もりによると、総収益も、第1四半期の19億ドルから第2四半期には9億5000万ドルへと半減したもようだとも伝えています。ビットメイン社の総収益に占めるマイニングマシン販売額の割合は94%とほとんどを占めており、米国の関税率引き上げの影響は少なからず出てくるのではとの見通しを示しています。

ライバル企業の新製品も新たな脅威に

リー氏の報告ではまた、ビットメイン社が日本などの強力なライバル企業の出現により、技術的優位性を損なう可能性も出てきていると警告しています。

リー氏は「米国の関税は今はおそらく経営陣の心配事のトップにはないだろう」と述べ、ビットメインの経営陣がより懸念を深めているのは、技術開発競争で他社が追随してきていることだと指摘しています。

日本のGMOインターネットグループや中国のカナーンなどのライバル企業は、ビットメインの主力製品よりも高速で省電力な最新型のチップやマイニングマシンを発表しています。GMOが2018年7月に発表した「GMOマイナー B3」は、7nmプロセスのマイニング用ASICを搭載した最新型マイニングマシンで、11月から出荷開始の予定です。

まとめ

米国トランプ政権は、中国からの輸入製品に対して、大幅な関税の引き上げを実施し、それによるマイニングマシンの商品分類の変更とともに、合計で27.6%の関税引き上げとなり、マイニングマシンのメーカーとしての収益構造にも影響が出始めることとなりました。

米国トランプ政権と中国との貿易摩擦の問題には、今後も注目する必要がありそうです。

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