2018年秋に予定されていたイーサリアムの次期大型アップデート「コンスタンティノープル(Constantinople)」の実施が、2019年1月末から2月ごろに延期されることが、10月19日の開発者会議で決まりました。試験稼働で幾つかのバグが見つかったことが理由です。この実施時期の大幅な変更に伴い、新型ASICマイニングマシンへの対策となる「ProgPoW」というシステム変更が、コンスタンティノープルで実装される可能性が出てきました。

試験運用で幾つかのバグ発見

コンスタンティノープルの実施は当初は2018年11月を目標にしていました。しかし、10月14日に始まったテストネット「ロプステン(Ropsten)」での試験運用では初日から、ブロックを生成できず、取引が記録されなくなるトラブルが発生。当初はマイナーの不足が原因と説明されていましたが、システムを点検した結果、コード内に幾つかのバグが発見されました。これらのバグ修正のため、開発陣はコンスタンティノープルのメインネットでの稼働開始を2019年1月末から2月ごろに遅らせることで合意しました。

ライブ配信された会議で、開発者のアフリ・ショーデン(Afri Schoeden)氏は、「私たちは性急になりすぎていると思う。一呼吸置いて、何が起きているかを解明すべきだ」と述べています。

ASIC対策を実装する可能性も

コンスタンティノープルでは、これまでのシステムとの互換性を持たない5項目のシステム変更が予定されています。この中には小規模なコードの最適化から、イーサリアムマイニング報酬を現行の1ブロックあたり3ETHから2ETHに減額するという、議論を呼んだシステム変更までが含まれています。

コンスタンティノープルの実施が来年に延期されたことに伴い、これらの5項目の変更に加えて、いったんは見送りになっていた別のシステム変更が実施される可能性が出てきました。それはイーサリアムのマイニングへの新型ASICマシンの参入を妨害するための「ProgPoW」と呼ばれるものです。

「ProgPoW」とは

「ProgPoW」は、近く発売されるイーサリアム対応ASICマシンによるマイニングをやりにくくすることを目的としたシステム変更です。具体的には、グラフィックボード(GPU)を積んだパソコンのマイニング効率を最大化する一方で、専用ASICマシンのマイニング効率を最小化するものとなっています。

このシステム変更が提案された背景には、2018年に入ってマイニングマシンメーカーが相次いでイーサリアム対応のASICマシンを開発中であることが分かり、イーサリアムのコミュニティー内で対策を求める声が強まっていたことがあります。

イーサリアム用の新型ASICが相次ぎ発表

2018年4月には、マイニングマシン製造最大手である中国のビットメイン(Bitmain)社が、イーサリアムのマイニングに特化した新型のASICチップ「アントマイナーE3」を搭載した新製品を近く発売予定であることを明らかにしました。

また同年9月には、マイニングマシン製造のベンチャー企業、リンジ(Linzhi)社が最初の製品として、イーサリアムとイーサリアムクラシックに使われているイースハッシュ(ethhash)アルゴリズムに対応したASICマシンを2019年中に発売すると発表しています。この新製品は従来のマイニングマシンに比べて8分の1の消費電力で稼働し、7倍以上の計算速度を備えており、1日あたりのマイニング報酬は従来のマシンの3ドルをはるかに上回る約20ドルになるとされています。

このようなASICマシンがイーサリアムのマイニングに参入することになれば、パソコンにグラフィックボードを装着してイーサリアムのマイニングを行っている個人などの小規模のマイナーが排除され、少数の大規模マイニング事業者がネットワークの支配権を握って、イーサリアムが中央集権化しかねないとの懸念が強まっていました。

「ProgPoW」をコンスタンティノープルで実装するかどうかは、コア開発者の会議で以前に協議されましたが、いったんは見送った上で、合意が得られれば、その次の大型アップデートで実装することで一致していました。

しかし、イーサリアム財団のセキュリティー問題担当リーダーであるマーティン・ホルステ・スウェンデ(Martin Holste Swende)氏は、今回のコンスタンティノープル実施延期により、いったんは見送られた「ProgPoW」をシステムに実装できる時間ができたと指摘。「私たちがコンスタンティノープルを1月か2月に延期する決断をするのであれば、私はコンスタンティノープルにProgPoWの実装を含めることを支持することになるだろう」と述べています。

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