金融庁は2018年10月24日、仮想通貨交換業の新規登録審査のプロセスと、審査長期化の要因となっている参考事例を公開しました。多数の業者が登録申請を行っているにもかかわらず、2018年に入ってから登録が認められた業者はまだありません。同庁は仮想通貨交換業への新規参入を希望する業者に対し、これらの参考事例を踏まえて登録要件を十分整えてから申請を行うよう促しています。

2018年1月以降、仮想通貨交換業の登録承認はゼロ

2017年4月の改正資金決済法施行で、日本で仮想通貨取引を行うには金融庁への仮想通貨交換業の登録が義務づけられました。これに伴い、金融庁は、登録申請を行った事業者に対し、書面と現場訪問による審査を行い、2017年9月に11社、同年12月に5社の登録を承認しました。

ところが2018年1月、登録申請中で「みなし仮想通貨交換業者」のコインチェック社がハッキングに遭い、580億円相当の仮想通貨が不正流出する事件が発生。この影響で金融庁の審査内容はかなり厳格化されており、1月以降は新規登録が認められた業者はまだ1社もなく、登録審査が長期化している状況です。

9月には、今度は登録業者であるテックビューロが運営する仮想通貨取引所Zaifで70億円相当の仮想通貨が不正流出する事件も発生しており、これが追い打ちをかける形で、金融庁の審査はさらに厳しさを増していきそうです。

登録審査は4段階のプロセス

こうした中で金融庁は2019年10月24日、仮想通貨交換業の登録審査のプロセスを公表しました。それによると、登録審査は以下の4段階のプロセスで実施されることになっています。

  1. 最初に役員ヒアリングで事業内容、事業計画(システム計画を含む)を確認し、ビジネスプランが明確かどうかなどを審査します。
  2. 次に、役員ヒアリングおよび書面審査で、リスク管理の基本的な考え方を確認し、ビジネスプランに応じたリスクの洗い出しや評価を行った上で、リスクに応じた内部管理態勢を整備しているかどうかなどをチェックします。
  3. 続いて、書面審査で、具体的な管理方法・態勢について、書面やエビデンスに基づき検証。仮想通貨の取り扱いに関するリスク管理や、経営管理、利用者保護措置、利用者財産の分別管理、利用者情報管理、外部委託先管理、システムリスク管理、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の有無などをチェックします。
  4. 最後に訪問審査で、書面審査の内容を踏まえ、規程の運用状況や管理態勢について、現場での実効性を検証します。

審査の主な論点と長期化の原因事例も紹介

金融庁ではまた、仮想通貨交換業の登録審査で業者に説明を求める主な論点を公表しました。

仮想通貨交換業者の登録審査における主な論点等
https://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/20181024-3.pdf

さらに、審査が長期化する要因として、以下の10項目の参考事例を紹介しています。

  • 申請関係書類の内容について、形式的不備(無回答、内容の矛盾)が多数認められるなど、適切な経営管理(ガバナンス)が発揮されていないケース
  • 外部専門家に申請関係書類の作成を依頼しており、その外部専門家が作成した雛形に依拠するだけで、自社の事業内容・計画等を踏まえた社内検討を行っていないケース
  • 規程の整備が十分でなく、審査や補正に時間を要するケース
  • 事業計画の妥当性について、合理的に説明できないケース
  • 事業計画の実行にあたり直面しうるリスクの検討を行っておらず、適時・適確に業務を遂行するための態勢整備について、合理的に説明できないケース(例えば、将来の業容拡大を見据えたシステムの拡張性の確保など)
  • 適時・適確に業務を遂行するため法令等で求められている人材・体制が確保できない(又は確保が図られていることが疎明できない)ケース
  • システムの安全性について、システム構成の考え方やウォレット運用管理の具体的な事務手続など、仮想通貨の不正流出等に係るリスクを低減させるための方策を示していないケース
  • マネロン・テロ資金供与対策について、定型的な回答にとどまり、リスク評価書に自社が提供する商品・サービスや、取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証した形跡が見受けられないほか、具体的な取引時確認の手続や疑わしい取引の検知・判断・届出の手法等を示していないケース
  • 分別管理において、自己の固有財産である金銭・仮想通貨と、利用者が預託した金銭・仮想通貨の混蔵するリスクの洗い出しが十分でないほか、日次の照合作業等について、具体的な事務手続を示していないケース
  • 相談者から提示されたスキームに係る法令上の業への該当性について、相談者と当局間での認識共有まで、時間がかかるケース(例えば、仮想通貨交換業の該当性の判断だけでなく、資金移動業等の登録の必要性など各事業者によって提供されるサービスの内容は様々であり、該当性を一義的に画することが困難であるため、相談者と当局との間で認識が一致するのに時間を要する場合など)

友だち追加