仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)の価格が2018年11月2日から週末にかけて連日高騰を続け、取引高も爆発的に急増しています。BCHをめぐっては、今後の方向性に関して主要クライアントやマイニングプールの対立が続いており、11月15日に予定されるハードフォークで分裂して新たな仮想通貨「ビットコインSV」が誕生しそうな情勢となっています。ここ数日の価格高騰は、こうした事態を好感したものとみられます。

3日間で取引量が5倍に

BCHの価格は11月1日までの数週間はほぼ安定していましたが、11月2日に突然10%以上上昇。週末の同3日には12%、4日には20%近くも上昇しており、11月1日時点で420ドル台だった対米ドル価格は14日には564ドルにまで高騰しています。

同時に1日の取引量も、11月1日には2億ドル以下だったのが4日には9億9000万ドルと、3日間で約5倍に増えており、仮想通貨の中で3位のリップル(XRP)に迫る勢いとなっています。

11月15日のハードフォークめぐり対立

このBCHの価格急騰は、11月15日に予定されるハードフォークでBCHの分裂が不可避な情勢となったことを反映したものとみられます。

BCHの最大のクライアントであるビットコインABC(Bitcoin ABC)は2018年8月20日、ハードフォーク(従来のシステムと互換性のないアップデート)を11月15日に実施すると発表するとともに、そのためのソフトウェアをリリースしました。その内容は、BCHのブロックチェーンの外部からのメッセージを検証するスクリプト言語の改善や、将来のスケーラビリティー改善の基礎となる技術的ブロック構築、その他いくつかの軽微な技術的修正などとされています。

このハードフォークに反対を表明したのが、ブロックチェーン開発企業エヌチェーン(Nchain)社や、BCHのネットワークで約35%のハッシュレートを持つ最大のマイニング事業者コインギーク(Coingeek)でした。

エヌチェーン社を率いるクレイグ・ライト(Craig Wright)氏は、ビットコインABCの主導するハードフォークについて、「ビットコインのホワイトペーパーの精神に反する」と猛反発し、原点への回帰を掲げて「ビットコインSV(Bitcoin Satoshi Vision)」という新たな仮想通貨のプロトコルを発表しています。「ビットコインSV」では、ブロックサイズの上限をBCHの4倍の128MBに拡張するとしています。

ちなみに、このクレイグ・ライト氏は、2008年に発表されて仮想通貨の原点となったビットコイン論文の執筆者「サトシ・ナカモト」の正体が自分であると公言し、話題を集めたことのある人物です。

ビットコインABC側と「ビットコインSV」の側には、それぞれ大手マイニングプールがついており、両陣営の対立によって、11月15日のハードフォークでのBCH分裂は避けられない情勢となっています。

分裂ならBCH保有者は新通貨を無料で入手

これまで、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主な仮想通貨がハードフォークで分裂して新通貨が誕生した場合には、元の仮想通貨の保有者は、自動的にそれと同価格分の新通貨が配布されていました。

たとえば、2017年8月にビットコインがハードフォークで分裂してBCHが誕生した際には、BTCの保有者は、それと同量のBCHを受け取っています。

このため、今回のBCHの価格高騰の背景には、BCHの分裂によって、その保有者は新通貨「ビットコインSV」を無料で手に入れることができ、実質的に資産が倍増することへの期待感があるとみられます。

コインベースやビットメインはビットコインABC側を支持

この分裂の動きについて、米大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は11月3日に声明を発表。、ビットコインABCの当初のロードマップを支持すると表明。ハードフォーク実施までの今後2週間を通じ、BCHを支援するために適切なステップを取っていくとしています。

イーサリアムの考案者であるビタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は「BCHのコミュニティーは、『分裂を回避』しようとしてクレイグ・ライトと妥協すべきではなく、この機会を使って、断固として彼を追放し、拒絶すべきである」と、ビットコインABC側への支持を表明しています。

また、マイニングマシン製造の世界最大手である中国のビットメイン(Bitmain)社の共同設立者ジハン・ウー(Jihan Wu)氏も、ライト氏の主張について「ばかげている。この人物は偽サトシであることは疑いない」と非難しています。

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