毎年年末の風物詩となっているユーキャン新語・流行語大賞に、2018年は「仮想通貨/ダークウェブ」がノミネートされました。仮想通貨が候補に選ばれたのは初めてで、2017年後半からのブームで一躍世間の注目を集めたことの反映と言えます。ただ、非合法取引などのイメージも強い「ダークウェブ」とワンセットで選出されたことには、仮想通貨コミュニティーから疑問の声も挙がっています。大賞は12月3日に発表の予定です。

新語・流行語大賞候補の30語に選出

2018年11月7日に発表された第35回ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート語30語は、以下の通りです(五十音順)

No.01 あおり運転
No.02 悪質タックル
No.03 eスポーツ
No.04 (大迫)半端ないって
No.05 おっさんずラブ
No.06 GAFA(ガーファ)
No.07 仮想通貨/ダークウェブ
No.08 金足農旋風
No.09 カメ止め
No.10 君たちはどう生きるか
No.11 筋肉は裏切らない
No.12 グレイヘア
No.13 計画運休
No.14 高プロ(高度プロフェッショナル制度)
No.15 ご飯論法
No.16 災害級の暑さ
No.17 時短ハラスメント(ジタハラ)
No.18 首相案件
No.19 翔タイム
No.20 スーパーボランティア
No.21 そだねー
No.22 ダサかっこいい/U.S.A.
No.23 TikTok
No.24 なおみ節
No.25 奈良判定
No.26 ひょっこりはん
No.27 ブラックアウト
No.28 ボーっと生きてんじゃねえよ!
No.29 #MeToo
No.30 もぐもぐタイム。

1984年から毎年発表されている新語・流行語大賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」の中で、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するものとされています。

ノミネート語は「現代用語の基礎知識」(自由国民社)収録の用語をベースに、自由国民社および大賞事務局が選出。。選考委員会によって年間大賞語とトップ10が選ばれます。

選考委員会は、姜尚中(東京大学名誉教授)、金田一秀穂(杏林大学教授)、辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)、俵万智(歌人)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、清水均(「現代用語の基礎知識」編集部長)の各氏で構成されています。

仮想通貨とダークウェブの関係は

「仮想通貨」がノミネートされた理由や、なぜ「ブロックチェーン」ではなく「ダークウェブ」とセットになっているのかについて、主催者は今のところ明らかにしていませんが、例年、大賞およびトップ10と選考委員特別賞に選ばれた語については授賞理由が公表されています。

大賞などの発表は12月3日に行われる予定で、「仮想通貨/ダークウェブ」が入賞するかどうかは、主催者がこの2つの語をワンセットにした意図を知る上でも注目されます。また、入賞した場合、受賞者として誰が登壇するかも気になるところです。

仮想通貨とダークウェブの関連では、2018年1月に日本の仮想通貨取引所コインチェックで仮想通貨NEM約580億円相当が不正流出した事件で、盗まれたNEMがダークウェブを通じて売却されたと伝えられています。また、ダークウェブでの銃器や違法ドラッグ、児童ポルノなどの取引決済に仮想通貨が使われていることも、両者を結びつけて考える要因になった可能性があります。

ダークウェブとは

ダークウェブとは、匿名性が強く保たれたサイバー空間のことで、その代表的なものとして「Tor」がよく知られています。通常のインターネットブラウザーでは閲覧できず、アクセスするには「Torブラウザー」などの専用ブラウザーを使う必要があります。

ダークウェブは、アクセスしたユーザーの匿名性が守られるという特性から、イランや中国などで民主活動家が当局の監視の目をかいくぐって連絡を取り合うのに使われています。中東で2010~12年に起こった「アラブの春」と呼ばれる民主化の動きでも、「Tor」を使って運動が広がっていったといわれています。

「Tor」とは「The Onion Router」の略語で、その名が示す通り、タマネギのように幾重もの層を設けることでユーザーの匿名性を確保する仕組みとなっています。もともとは米海軍研究試験所(NRL)が1995年から開発を始めたもので、運営が民間に移されてからも大手IT企業や米政府などが資金提供を行ってきました。

「Tor」などのダークウェブ自体は違法なものではなく、独裁国家などでは言論の自由に向けた活動に役立ってきた面もあるのですが、現在の実態としては、その匿名性が悪用されて銃器や麻薬から個人情報の売買までさまざまな非合法取引の温床となっています。そのダークウェブと仮想通貨を一体視するような認識が世間に広まった場合、仮想通貨自体がネガティブなイメージを持たれかねないという懸念もあります。

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