世界のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)による資金調達額が、2018年第3四半期(7~9月)には第2四半期(4~6月)に比べて4分の1以下へと大幅に減ったことが、仮想通貨市場分析会社ICORatingの調査報告で明らかになりました。

調達額は前期の4分の1に減少

調査報告によると、第3四半期に実施されたICOは597件でした。資金調達額の合計は18億1958万5090ドルで、第2四半期の83億5997万6282ドルと比べると、4分の1以下の金額となっています。

第3四半期の597件のICOのうち、10万ドルを超える資金を調達できたものは254件でした。全体の57%はこの水準に達しなかったことになります。

597件のICOのうち、発行されたトークン仮想通貨取引所に上場されたものは24件と、わずか4%にとどまっており、第2四半期の7%を下回っています。

ICOプロジェクトの約2割がネット上から消滅

調査報告は、第3四半期にネット上などで事前告知された上で実施されたICOプロジェクトのうち、既にソーシャルネットワーク上のアカウントやウェブサイトが削除されているものの割合が19%に上っており、第2四半期の9%から倍増している点を指摘しています。これらの消滅したICOプロジェクトによる資金調達額は6219万3795ドルに上り、第3四半期のICOによる資金調達額全体の3%を占めています。

第3四半期のICOのうち、ICO実施段階で既に事業が稼働していたものの割合は5%で、第2四半期に比べ10%減少しています。一方、まだ単なる構想の段階でICOが実施されたものは全体の76.15%と4分の3以上を占めており、このような単なる構想段階で実施されたICOのうち72%は、50万ドル以上の資金を調達できませんでした。

597件のICOで発行されたトークンからの収益の中央値は、出資額を22%下回る水準でした。ICOで発行されたトークンの79%は、上場後はICO価格を下回る水準で取引されています。

ICOの目的別で見ると、サードパーティーのブロックチェーン上で分散型アプリ(Dapp)を開発する目的で行われたものが87%と圧倒的な割合を占めています。これらのDapp開発目的のICOのうち67%は不成功に終わっています。

ICOに使われた仮想通貨プラットフォーム別で見ると、イーサリアム(ETH)が全体の83.75%と、ほぼ独占状態にあり、これ以外の仮想通貨プラットフォームは、Wavesが1.68%、NEOが1.34%、Stellarが1.17%など、ごくわずかの割合にとどまっています。

第3四半期の調達額最高はロンドンサッカー取引所

同年第1四半期(1~3月)や第2四半期(4~6月)には、ユニコーン企業であるブロック・ワン(EOS)やテレグラムによる超大型のICOが実施されており、それぞれ数十億ドル単位の資金を調達しています。しかし、第3四半期にはこうした大型案件はあまり見当たりませんでした。

ケイマン諸島に本拠を置くブロックチェーン開発のスタートアップ企業ブロック・ワン(Block.one)は、2018年5月にブロックチェーンプラットフォーム「EOS」の1年間にわたるICOを完了。資金調達額は40億ドルを超え、2018年で最大規模となっています。

また、仮想通貨関連のコミュニティーが集まっていることで知られるメッセンジャーアプリの「テレグラム(Telegram)は、「第3世代のブロックチェーン」と称する「テレグラム・オープン・ネットワーク(TON)」の構築計画を発表しており、TONで使われるトークン「グラム(Gram)」を2018年2月から3月にかけて売り出しており、2月には16億ドル、3月には17億ドルの資金を調達したと伝えられています。

これに対し、第3四半期に個別のICOプロジェクトにより調達された資金の最高額は、ロンドンサッカー取引所(London Football Exchange)プロジェクトの約7000万ドルでした。同プロジェクトは、世界のサッカーファンを対象に、試合のチケットや関連グッズなどの取引をトークンを使って行うプラットフォームを構築するというもので、2018年第1~第3四半期のICOによる資金調達額のランキングでは10位に入っています。

市場は全般的に失望的

ICORatingの調査報告は、第3四半期のICOの市場動向について、「市場はベンチャー企業の資金調達手段としての伝統的なICOにおいては、全般に失望的なサインを示している」と指摘しています。

その上で、ICOによる資金調達額が急減した背景として、

  • ICOへの参加者に対するリターンの大幅な減少
  • プロジェクトの不透明さの増大
  • 全般的な市場の下落傾向
  • 投資家が経験を積んだ結果、ICOへの投資に対して慎重さを増していること
  • 当局による規制の動き
  • プロジェクトチームからの新たなアイデアの欠如

・・・など、さまざまな要因が挙げられるとしています。

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