北朝鮮は公式サイトで、2019年4月にブロックチェーン技術と仮想通貨に関する国際会議を、世界各国から専門家を招いて開催すると発表しました。同サイトでは、北朝鮮でこうした会議が開かれるのは初めてだとしています。

10月開催予定だった会議が延期か

北朝鮮は2018年8月にも、同様の仮想通貨・ブロックチェーン国際会議を10月に開催すると発表していました。しかし、なぜか9月になって告知ページがネットから消されたまま、その後の動向が伝えられず、実際に10月に会議が開かれたかどうかは確認されていませんでした。

今回、北朝鮮の公式サイト上に掲載された新たな告知は、「平壌ブロックチェーン・仮想通貨会議」が2019年4月18~25日に首都平壌で開催されるとした上で、「ブロックチェーンおよび仮想通貨の国際的な専門家たちが初めて平壌に集結し、彼らの知識やビジョンを共有し、つながりを確立し、ビジネスの機会について討議することになるだろう」と記載しています。こうした記載から、10月に予定していた国際会議が何らかの理由で開かれず、半年先に延期となった可能性があります。

公式サイトによると、8日間の日程のうち、実際に会議が開かれるのは4月22、23日の2日間で、会議場は平壌の科学技術センターとされています。それ以外の日には朝鮮戦争博物館や平壌外国語大学、板門店の38度線、チュチェ思想塔、ビール工場などの見学ツアーや、スケート、ボウリング、射撃などのレクリエーション、ショッピングなどが予定されています。

参加費用は3300ユーロで、この中には平壌-北京間の航空運賃や7泊分のホテル代、朝鮮語と英語の間の翻訳費などが含まれています。

主催者は変わり者?のスペイン貴族

会議の主催者として、北朝鮮側からは朝鮮友好協会(KFA)会長のアレハンドロ・カオ・デベノス(Alejandro Cao de Benos)氏、技術者側からはブロックチェーン・仮想通貨専門家クリス・エムズ(Chris Emms)氏の名前が挙げられています。

このデベノス氏は10月の会議開催が告知された際にも主催者となっていた人物です。スペインの貴族出身ですが、自らの出自に対する反発から北朝鮮のチュチェ(主体)思想に傾倒するようになり、「チョ・ソンイル」(「朝鮮は一つ」という意味)という朝鮮名を名乗ったり、フェイスブックページに北朝鮮の軍服を着て登場したりしており、スペインでは変わり者として知られているようです。

一方、エムズ氏はマルタに拠点を置く仮想通貨関連企業トークンキー(Token Key)の最高経営責任者(CEO)で、10月に予定されていた会議でも登壇者となっていました。リンクドイン(LinkedIn)のプロフィールによると、アンドラ国籍で、英国の「ブロックチェーンに関する全党派議会グループ」の専門家証人を務めていると記載されています。

日本からは参加不可

公式サイトによると、この会議には韓国、日本、イスラエルのパスポートの保持者とジャーナリストを除き、関心のある人であれば誰でも参加できるとされています。

米政府は米国民の北朝鮮渡航を原則として禁止していますが、同サイトでは米国のパスポート保持者についても「参加申し込みを歓迎する」としています。

「世界で最も安全な国」

FAQ(よくある質問)の項目では、「安全ですか?」という質問への回答として、「朝鮮民主主義人民共和国は世界で最も安全な国であると考えることができます。あなたが基本的な常識を持ち、他国の文化や信念を尊重する限り、常に歓迎され、われわれが過去28年間にわたり歓待してきた何千人もの友人たちと同様に扱われ、文化、スポーツ、科学、またはビジネスにおける関係を築けるでしょう」としています。

ただし、公式サイトでは注意事項として、ノートパソコンやスマートフォン、タブレット端末の持ち込みは認められるものの、「共和国の尊厳に反するような大量印刷されたプロパガンダ、またはそのようなデジタルおよび印刷の素材は認められないことに注意してください」と警告しています。

ブロックチェーン技術の誇示が狙いか

北朝鮮と仮想通貨の関わりをめぐって、米国のアナリストらは、北朝鮮が米国による経済制裁の影響を回避するために仮想通貨を活用しようとしていると指摘しています。

サイバーセキュリティー団体「グループーIB」は2018年10月、北朝鮮のハッカーグループ「ラザルス(Lazarus)」が2017年以降に世界各国の仮想通貨取引所へのハッキングにより5億7100万ドル相当の仮想通貨を盗み出したとする調査報告を発表しています。この中では、2018年1月に日本の仮想通貨取引所コインチェックで発生した580億円相当の仮想通貨不正流出事件も「ラザルス」の犯行とされています。

また、米情報セキュリティー会社レコーデッド・フューチャー(Recorded Future)が2018年10月に発表した調査報告では、北朝鮮が仮想通貨ビットコインとモネロの小規模なマイニングを行っているほか、2種類の詐欺的な仮想通貨の発行に関与していた疑いがあると指摘されています。

さらに、北朝鮮の平壌科学技術大学が学生たちにブロックチェーン技術について学ばせるため、国外から専門家を招へいしたとも伝えられています。

こうした中で北朝鮮が仮想通貨・ブロックチェーン国際会議を開催する背景には、自国のブロックチェーン技術を世界に誇示するとともに、最新の技術を吸収したい思惑があるとみられますが、世界からどれだけの専門家が集まるのか注目されます。

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