世界第3位の取引量を持つ仮想通貨取引所フオビ(Huobi)を運営するフオビ・グループが、社内に共産党支部委員会を開設しました。中国国内の仮想通貨・ブロックチェーン関連産業で企業内に共産党支部を設けたのは、同社グループが初めてとなります。

当局との関係強化が目的か

フオビが交流サイト(SNS)の微博(ウェイボー)に投稿した声明によると、北京に本拠を置くフオビの子会社「Beijing Lianhuo Information Service」は2018年11月16日、中国共産党支部委員会を開設しました。

フオビは2013年に設立された世界第3位の仮想通貨取引所で、コインマーケットキャップの集計によると、1日の取引額は5億6000万ドルに上ります。創設者で最高経営責任者(CEO)の李林氏が同社の株式の99%を所有しています。

中国共産党の規定では、中国国内のいかなる企業も、従業員に3人以上の共産党員がいる場合には、共産党の公式路線を促進するための共産党支部委員会を設置することとされてます。このような支部委員会は長い間、中国の国営企業に設置されて重要な役割を果たしてきた一方、同国内の民間企業が党支部委員会を設立し始めたのはここ数年のことです。

中国のテクノロジー産業で既に党支部委員会を設置している著名企業には、ゲーム大手のテンセント・ホールディングス(Tencent Holdings)、検索エンジンの百度(Baidu)、ネット通販大手のアリババ・グループ・ホールディング(Alibaba Group Holding)などがあります。

しかし、中国の仮想通貨・ブロックチェーン関連企業で社内に共産党支部を設置したのは、今回のフオビが初めてとなります。フオビは仮想通貨取引所部門をシンガポールに移転するなど「脱中国」の動きも見せていましたが、今回の共産党支部の開設は、中国当局とのより緊密な関係を築こうとする姿勢の表れとみられています。

共産党支部設置は「一里塚」と李林CEO

フオビの報道発表によると、李林CEOは今回の共産党支部委員会の設置を、同社にとっての「一里塚」であると述べた上、フオビが成功したのは、ブロックチェーン産業を促進するという中国共産党の方針によるところが大きいと強調しています。

フオビの共産党支部委員会の設立式典には、李林CEOや同社内の50人を超える共産党員が出席したとのことです。

フオビが本社を置く北京市海淀区の共産党当局者Cao Zhou氏は「われわれは党の政治的リーダーシップを高め、共産党の綱領や方針を民間企業で実行しなくてはならない」と述べています。

2017年9月、中国の中央政府は本土のすべての仮想通貨取引所を閉鎖させ、これによりフオビやバイナンス、OKコインなどの企業は仮想通貨交換事業を海外に移転させています。

フオビは現在、主要な仮想通貨交換サービスをシンガポールで運営していますが、その他のベンチャーファンドから仮想通貨マイニングプールの運営に至るまでほとんどの事業分野は、中国本土で事業を継続しています。

同社は2018年に入って、その研究部門を北京から海南島に移転させています。これは、 習近平国家主席が、観光地である海南島を自由貿易特区にすることを公約したのを受けてのことです。

中国当局はブロックチェーン活用を積極推進

中国当局はイニシャル・コイン・オファリング(ICO=仮想通貨による事業資金調達)など多くの仮想通貨関連の活動を禁止している一方で、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーン技術につ会計やサプライチェーンからデータ管理までのさまざまな分野に活用する方策を打ち出しています。こうした方針を受けて、中国共産党は2018年8月に、当局者や党員向けにブロックチェーンの入門書を刊行しています。

共産党の機関紙である人民日報の出版部門から刊行されたこの本は、「ブロックチェーン-当局者向けのガイド」と題され、ブロックチェーンの起源やその特徴などを解説する内容で、ブロックチェーン技術がビジネスや法律の世界にもたらす影響や課題などに触れています。

この入門書を刊行した目標は、ブロックチェーン技術の開発と採用を促進するための方策の一環として、政府当局者のブロックチェーンの概念をより良く理解するのを助けることにあるとされています。この本では「ブロックチェーンの最大の影響はそのオペレーションのメカニズムにある。それはコミュニティーを統治する方法としてコンセンサスの実現を求める。それは、さまざまな問題について考え、そして解決するための新たな視点を、私たちに提示するものだ」と指摘しています。

こうした方策は、習近平国家主席が公の演説でブロックチェーンの潜在的な可能性を認めた直後に打ち出されました。この演説の中で習主席は、ブロックチェーン技術が世界経済を変革するいくつかのブレークスルーのうちのひとつであると指摘しています。

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