仮想通貨ビットコインキャッシュの分裂で勃発した「ハッシュ戦争」と呼ばれる対立抗争で、「ビットコインSV」陣営の中心となっている大手マイニングプールのコインギーク・マイニング(CoinGeek Mining)が2018年11月26日、戦争終結を宣言しました。同社創設者のカルビン・エア(Calvin Ayre)氏は「もはやビットコインキャッシュのブランドには関心がなくなった」と述べ、これ以上戦いを続けるより、市場でABC陣営を打ち負かすとしています。

「BCHの恒久的な分裂を支持」

仮想通貨ビットコインキャッシュは2018年11月15日のハードフォークで、「ABC」と「SV」の2つのチェーンに分裂。どちらが正統なビットコインキャッシュの座を継承するかをめぐって、双方のハッシュパワーを駆使した争いを繰り広げてきました。

この「ハッシュ戦争」と呼ばれる争いの影響は、ビットコインをはじめとする他の仮想通貨にも及び、仮想通貨市場全体の暴落を招いていました。

こうした中、コインギーク社は2018年11月26日、公式サイトで、「コインギークは今後、ビットコインキャッシュ(BCH)の恒久的な分裂を支持し、ビットコインSVのマイニングを続け、そしてSVコインの活気に満ちたエコシステムを確立するために、世界の他の人たちと作業していく」と表明しました。

その上で同社は「これは、2018年11月15日のビットコインキャッシュ・ネットワークのアップグレードにより引き起こされ、現在進行中のハッシュ戦争を終結させるものとなる」と宣言しています。

「戦闘続けるより市場で打ち負かす」

コインギーク社創設者のカルビン・エア氏もまた、同社公式サイトで、「ビットコイン・コアが昨年、セグウィット(SegWit)のコインとなった後、私たちの使命は常に、本来のビットコインの生き残りと継承を確実にすることだった」と、2017年にビットコインから分裂してビットコインキャッシュが誕生した経緯に触れた上で、「ABC陣営のビットコインキャッシュは、先週の一連の過激で一方的なコード変更により、本来のビットコインから遠くかけ離れてしまっており、それは今やひとつのアルトコインの開発者の試みとなっている」と批判しました。

その上で、エア氏は「私たちはもはや、ビットコインキャッシュにも、その汚されたブランドにも関心がない」として、「ビットコインキャッシュ」の名称とティッカーシンボル「BCH」を獲得しようとするつもりがなくなったと表明。さらに、「私たちはこれ以上のチェーンの戦いを続けるよりも、市場においてBCHを(そしてBTCを)打ち負かすことを楽しみにしている」と述べ、今後はABC陣営と市場での競争を行っていく考えを示しています。

多くの仮想通貨取引所が両方の通貨を上場

ビットコインキャッシュが「ABC」と「SV」の2つに分裂した後、既に多くの仮想通貨取引所が両方の仮想通貨の取り扱いを始めています。ABC側の通貨については、「ビットコインABC」としているところとABCを「ビットコインキャッシュ」として扱うところに分かれている一方、ビットコインSVについては「BSV]あるいは「BCH-SV」のティッカーシンボルが使われています。

仮想通貨の価格情報サイト「コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)」では、「ABC」側の通貨が「ビットコインキャッシュ」として、「SV」側は「ビットコインSV」の名称で、ともにリストに掲載されています。ちなみに11月27日時点の時価総額ランキングでは、ビットコインキャッシュが4位、ビットコインSVが9位と、ともにベスト10入りしています。

ビットコインキャッシュ用のウォレットやアプリの多くも、ABC側とSVの両方の通貨のサポートを始めており、仮想通貨市場では両方の通貨が共存する流れが強まっていました。

SVにリプレイプロテクションを実装へ

両通貨の市場での共存に向けた今後の課題として、リプレイプロテクションをいつ実装するかという問題があります。リプレイプロテクションとは、ある仮想通貨がハードフォークで2つに分裂した場合に、一方の陣営から他方のブロックチェーンに攻撃が行われるのを防ぐ機能のことです。

ビットコインSVプロジェクトの技術部門責任者、スティーブ・シャダーズ(Steve Shadders)氏は「(ABCとSVの)両方のチェーンに対するユーザーや企業の信頼を回復するために、ビットコインSVは通貨の安定性を最優先する」と述べ、その一環としてSVにリプレイプロテクションを実装する方針を表明。「この変更にあたっては、ビットコインSVのチームがビットコインのエコシステムとともに作業する必要があり、日程は十分なエコシステムの用意が調った段階で発表する」としています。

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