ベネズエラ政府は、2019年3月から同国産原油の販売に当たり、同国が発行する仮想通貨ペトロ(petro)を決済通貨としていく計画を発表しました。米ドル経済圏の支配から脱却するのが目的だとしています。さらに同国は石油輸出国機構(OPEC)に対しても、ペトロを世界的な石油取引の基軸通貨にするよう呼びかけていく方針です。

ドル支配からの脱却目指す

ベネズエラ国営メディア「teleSUR」によると、同国政府は仮想通貨ペトロで同国産原油を販売するため、ペトロと他の複数の仮想通貨との通貨バスケットを創設する方針です。仮想通貨ペトロを決済に使った原油販売が始まるのは、2019年3月からの予定とされています。

同国のニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は2018年12月6日に声明を発表し、こうした方策の目的が、経済協定を締結している他の同盟諸国との間で仮想通貨を使った決済システムを構築するなどして、国際石油市場を多角化し、米ドルへの依存から脱却することにあると指摘。「私たちは2019年にペトロで原油を販売する計画を有しており、この方法により私たちはワシントンのエリートが使っているひとつの通貨から脱することができるだろう」と述べています。

仮想通貨による対外取引拡大も目的

同大統領はまた、今回の構想では、通貨バスケットの創設と6年間の財政計画を通じて、ベネズエラが被ってきた米国の経済制裁の影響を緩和するだけでなく、仮想通貨ペトロでの外国との取引を拡大することも目指していると指摘。「均衡の取れた公正で多角的な金融システム、また、ドルが交換通貨として参加することはあっても政治的メカニズムとしては使われないような金融システムを推進していくことが必要だ」と強調しています。

この計画の発表に先立ち、マドゥロ大統領はロシアのプーチン大統領とモスクワで会談し、鉱山採掘や石油、通信、兵器、食料に関する新たな二国間協力協定を締結しています。

マドゥロ大統領は、ロシアが既に原油その他の製品を中国の人民元で取引していることを引き合いに出し、ベネズエラもその例に追随することになるとした上、「漸進的に」同国産の石油をペトロでの販売へ移行していくと述べています。

OPECに石油取引用の通貨として提案へ

ベネズエラは次回の石油輸出国機構(OPEC)石油相会議で議長を務めることになっています。同会議でマドゥロ大統領は、産油国の利益を守るという同国の立場を表明した上、ペトロを世界的な石油取引の基軸通貨として使うことを提案する方針です。

同国の石油相で国営石油会社PDVSAの社長であるマヌエル・ケベド(Manuel Quevedo)氏も2018年11月、同国政府が2019年にペトロを、石油輸出国機構(OPEC)に「原油に裏付けられた主要なデジタル通貨」として提供する予定だと発表していました。同石油相は「ペトロは世界的な石油取引のデジタル通貨になるだろう。私たちはこれをOPECに提供する。これはペトロを国際化する方策の一つである」と述べています。

経済危機打開のためにペトロを発行

ベネズエラでは米国の経済制裁などの影響で、ハイパーインフレなどの社会・経済危機が続いていました。マドゥロ大統領は2017年12月、こうした危機から脱するための方策として、同国産石油などにより価値を裏付けられた仮想通貨ペトロの発行計画を発表。これを外国に対する支払い手段とすることで、経済制裁の影響で発生している支払い遅延を解消できるとの考えを表明しました。

キューバ国営プレンサ・ラティーナ通信などの報道によると、ベネズエラ産の石油に関心を持つ航空会社や海運会社などの各国企業が、ケベド石油相から、このペトロのプラットフォームに参加し、仮想通貨ウォレットの登録をするよう要請されました。ケベド石油相はこれらの企業に対し、「航空機や船舶のための燃料を、私たちはペトロで販売することになる。これはベネズエラの通貨である」と語ったと伝えられています。

ペトロは2018年2月にプレセールが行われ、10月29日からは一般市民に対するペトロの販売が政府の公式サイトを通じて開始されました。政府はペトロがパスポートの取得にも必要になると説明しています。ペトロは2018年7月からは、ハイパーインフレ対策で発行された同国の新法定通貨ボリバル・ソベラノ(bolival soberano)ともペッグされています。

しかし、ペトロの発行をめぐっては、野党が多数を占める議会から批判が起きていました。ある野党議員は「これは仮想通貨ではない。ベネズエラ産原油の前売りである」として、議会の承認を得ない借り入れに該当すると指摘。「これは違法であり、憲法違反である」と批判しています。

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