最近の仮想通貨価格急落によるマイニングへの影響を分析した調査報告を、香港の大手仮想通貨取引所ビットメックス(BitMEX)が発表しました。ビットコイン(BTC)では利益減少に伴うマイナーの離脱により、代表的なマイニングマシン「アントマイナーS9」換算で約130万台分のハッシュパワーが失われた一方、現状でも大幅値下げされたマイニングマシンを安く調達できれば採算が見込める可能性はあるとしています。

BTCで2度の大きな難易度引き下げ

ビットメックスが2018年12月10日に公表した報告によると、2018年11月初め以降にビットコイン価格は約45%下落した一方、ビットコイン・ネットワーク上のマイニングパワーは約31%低下しました。これは、ビットメイン社製「アントマイナーS9」に換算して約130万台分がマイニングから離脱した計算となります。報告では、マイニング業界が現在、仮想通貨価格の下落によりかなりの圧迫を受けている可能性があるとしています。

ビットコインの価格下落に伴い、2度にわたる大きなディフィカルティー(マイニングの難易度)調整が起こっており、11月16日には2013年1月以来最大の7.4%、12月3日には2011年10月以来最大の15.1%、それぞれディフィカルティーが引き下げられています。

ビットコインのマイニング業界の1日あたりの総収入は、11月初め時点の約1300万ドルから、12月初めには約600万ドルへと減少しています。こうしたインセンティブの落ち込み幅は、ビットコイン価格の下落幅より大きなものとなっており、これはディフィカルティー調整が価格下落より遅れることに起因するものです。

12月3日までの6日間に、1日あたりのブロック生成数は想定されていた144よりも21.8%少なくなっています。これは、マイナーたちがディフィカルティー調整が行われる前にビットコインのネットワークから離脱したことによるものです。

ETHのマイニングにより大きな打撃

一方、イーサリアム(ETH)のハッシュレートは同じ期間に20%しか落ち込んでおらず、ビットコインに比べてはるかに小幅にとどまっています。一方でイーサリアムの価格の落ち込みはビットコインの下落幅よりはるかに大きく、54%下落しています。

このため粗利率の落ち込み幅はイーサリアムの方がビットコインより大きくなっていますが、この正確な原因はよく分かっていません。

ただ、同報告では潜在的な可能性として、イーサリアムのマイナーたちはビットコインに比べ、商業目的というより趣味的にマイニングを行う志向が強いこと、あるいはイーサリアムのマイナーたちはもともとビットコインよりも粗利率の高い位置からスタートしていることから、ネットワークをモニターして必要な時期にマイニングから離脱する傾向もそれほど強くないことが考えられると指摘しています。

イーサリアムのマイニングの粗利率は過去数日間で15%にまで落ち込み、ビットコインの約30%と比べて大幅に低くなっています。

「ハッシュ戦争」再開の兆候も

ビットコインキャッシュ(BCH)は11月15日のハードフォークビットコインABCとビットコインSVに分裂し、両陣営はそれぞれ「ハッシュ戦争」と呼ばれる経済性を無視したマイニングを行ってきた結果、ともにマイニングでは赤字を出しています。

分裂から10日後の11月25日には、ビットコインABCのマイニング収益は急激に上昇し、ビットコインと肩を並べるまでになりました。この現象は「ハッシュ戦争」の終結を示すものともみられました。しかし、同報告では、最新のデータによると、両陣営のマイニング作業量が再び接近しつつあり、収益性を無視したマイニング競争が再び始まっている可能性があると警告しています。

暴落の原因は「ハッシュ戦争」だけではない

仮想通貨暴落の原因についてはさまざまな観測がなされており、大手マイニング事業者がビットコインキャッシュの「ハッシュ戦争」につぎ込む資金を調達するためにビットコインを売却したのが原因とする説もあります。

仮想通貨情報観測プラットフォーム「ボルツマン(Boltzmann)」は、ビットコインキャッシュが分裂する数日前の11月12日に、異常なほど大規模なマイニング事業者からのビットコイン売却があったことを検知しています。

ただ、ビットメックスの調査報告では、マイニングプールが「ハッシュ戦争」での損失を埋め合わせるためにビットコインを売却したことがビットコイン価格下落に影響した可能性はあるとしつつも、その影響を過大に評価すべきではなく、これらの出来事がなかったとしても、市場は弱気で、仮想通貨価格は下落基調にあると指摘しています。

その上で報告では、アナリストの分析として、現状はマイニング業界にとって極めて厳しい状況ではあるものの、よりマイニングのコストを抑えることができれば、状況は一般の予想よりも良好となる可能性があるとしています。「もしマイナーたちがビットメイン社から出血価格で設備を調達できれば、たとえ価格下落やその他の経営上の出費を考慮しても、彼らはなお安全な状態でいられる可能性がある」と同報告は指摘しています。

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