GMOインターネットグループ(東京都渋谷区、熊谷正寿グループ代表)が2018年12月25日、仮想通貨マイニングマシンの開発・製造・販売からの撤退を発表しました。また、海外で行っている自社マイニングでも、収益悪化に伴い、スイスの現地法人から撤退した上、事業を再構築する方針で、マイニング事業全体で約355億円の特別損失を計上しています。

需要減と価格低下で採算取れず

GMOインターネットグループは12月25日の取締役会で、マイニングマシンの開発・製造・販売事業を中止するとともに、2018年12月期第4四半期決算(2018年10月1日~12月31日)に仮想通貨マイニング事業に係る特別損失を計上することを決議しました。今後はマイニングマシンの開発・製造・販売は行わないとしています。

同グループは2017年9月に新事業として仮想通貨マイニングマシンの開発・製造・販売事業を開始すると発表。自社開発による半導体チップのデザイン、製造、組み立てと製造プロセスを進め、2018年6月には、世界で初めて最先端7nmプロセスのマイニング用ASICを搭載したビットコイン向けマイニングマシン「GMO miner B2」を発売したばかりでした。同機は中国のライバルメーカーにも対抗できる高性能の国産マシンとして海外からも注目を集めていました。

撤退の理由について同グループは、足元の仮想通貨価格の下落を受けたマイニングマシン需要の減少や販売価格の下落により競争環境の厳しさが増しており、こうした事業環境の変化を踏まえ、同事業に関連する資産を外部販売により回収することは困難と判断したためと説明しています。

マイニング機器撤退で240億円の特別損失

撤退に伴い、連結・個別決算において、債権譲渡損約175億円、貸し倒れ引当金繰入約35億円を含む、合計約240億円を特別損失として計上。マイニングマシンの製造資金を開発会社に支払っており、債権譲渡等の主な内容はその前渡金になるとしています。

なお、債権の譲渡先については、谷電機工業株式会社が保有する特別目的会社(SPC)の合同会社MP18に譲渡するとしています。譲渡価額については、相手先との守秘義務に基づき非開示としています。

自社マイニングで約115億円の特別損失

GMOインターネットグループはまた、海外で行っている自社マイニング事業についても、収益悪化に伴い、約115億円の特別損失を計上したと発表。また、マイニングを統括するスイスの現地法人からは撤退するとしています。

同グループは2017年12月から、GMOインターネットの100%子会社でスイスに本社を置く統括法人のGMO-Z.com Switzerland AGと、その傘下の外国法人2社(いずれもGMOインターネットの100%孫会社)で自社マイニング事業を開始。これまで設備を増強してハッシュレートを上昇させてきました。

特別損失計上の理由として、同グループは、足元の仮想通貨価格の下落、想定を上回るグローバルハッシュレートの上昇により、想定通りのマイニングシェアが得られなかったこともあり、自社マイニング事業の収益性は悪化していたと説明。こうした事業環境の変化を踏まえ、当該事業に関連する事業用資産の簿価の全額を回収することは困難と判断したとしています。

連結決算では、外国法人2社が保有する事業用資産につき、見積もり将来キャッシュフローの現在価値の算定結果を踏まえ、減損損失など約115億円を計上。また個別決算では、スイス法人撤退に伴う子会社株式売却損など約140億円を計上しました。

スイスの現地統括法人から撤退

同グループは、自社マイニング事業に関する今後の方針について、収益構造を再構築した上で、GMOインターネットを統括法人として継続するとしています。また、営業費用のうち大きな割合を占める電力料金について、現在よりも安価な電力調達が可能な地域への移転を検討中としています。

主力事業の先行きに暗雲

GMOインターネットグループでは仮想通貨事業を主力事業のひとつとして位置づけており、マイニング機器の開発・製造・販売や自社マイニングだけでなく、2017年5月からは仮想通貨売買・FX事業も展開しています。こうした中で満を持して参入したばかりのマイニング機器からの撤退は、今後の同グループの経営にとって大きな打撃となりそうです。

マイニングマシン業界が苦境に陥っているのは日本だけではありません。中国では2018年に入って、ビットメイン(Bitmain)、カナーン・クリエイティブ(Canaan Creative)、エバング(Ebang)の三大メーカーが相次いで香港証券取引所に新規株式公開(IPO)を申請しましたが、このうちカナーンとエバングの両社は、申請から6カ月の審査期間が経過しても上場承認が得られず、事実上、上場を拒否された形となっています。これは証取側がマイニング機器業界の将来性に疑問を抱いているためとみられます。

世界最大のマイニング機器メーカーであるビットメインをめぐっては、ビットコインキャッシュのクライアント開発チーム全員が解雇されたとか、従業員の半数が解雇されると言ったうわさが中国の交流サイトで流れ、仮想通貨価格の下落要因にもなっています。ビットメイン社は12月25日、声明を発表し、「長期的に持続可能な事業を構築するため、スタッフに対する一定の調整が行われている」として人員調整の事実を認めています。

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