経済産業省は、プログラマーたちがブロックチェーン技術関連のアイデアや成果を競い合う「ブロックチェーン・ハッカソン」を2019年2月に東京都内で開催します。同省はこのイベントを、学位・履修・職歴証明、研究データの記録・保存の領域でブロックチェーン技術による社会実装を進めていく上での端緒と位置づけています。

学びや働き方めぐるブロックチェーンの可能性を創出

ハッカソン(Hackathon)」とは、ハッキングとマラソンを掛け合わせた言葉で、プログラマーなどから成る複数の参加チームが、与えられた時間内でプログラミングのアイデアや成果を競い合う開発イベントのことです。

2018年12月27日の経産省の発表によると、「ブロックチェーン・ハッカソン」は、2019年2月9日と同16、17日の3日間にわたり行われます。開催場所は、Lifull社のコワーキングスペースであるLifull Hub(東京都千代田区麹町1-4-4)。

2月9日には、基調講演やチーム編成、パネルディスカッション、協力企業3、4社によるワークショップなどが予定されています。ハッカソンのワークは16、17日の2日間行われ、製作物の提出期限は17日12時半。その後同日中に審査と結果発表、懇親会が行われる予定です。

テーマは「著しく変貌していく学びや働き方、そして研究データの信頼性を高めるためのデータ管理基盤構築におけるブロックチェーン技術の可能性を創出すること」。具体的な開発トピック例として、以下のようなものが挙げられています。

【教育・就労環境】
  1. 半永久性な(例えば大学や会社が消滅しても可能な)学歴・職務履歴の証明
  2. e-Learningなどにおける証明書発行
  3. 海外の大学との単位互換
  4. 分散化ID(DID)を活用した学位・職務履歴管理
  5. ブロックチェーン技術を活用した長期証明
  6. 学歴・経歴検証におけるコスト削減
【研究データ管理】
  1. 研究データ不正がシステム上不可能なデータ管理基盤
  2. Open Data構想を導入した研究データ管理
  3. IPFSなどのデータ管理用のプロトコルを活用したデータ管理基盤
  4. 臨床試験のデータ管理におけるブロックチェーン技術の活用
  5. データの量が拡大していくときのブロックチェーン技術の活用
  6. プライバシーを担保するデータ管理基盤
  7. 被験者(データプロバイダー)や研究者に対するインセンティブ設計

2~5名のチームでハッカソンに挑戦

参加対象として想定されているのは、ブロックチェーン技術に興味のあるエンジニア等(学生・社会人)で、70名程度を予定しています。ハッカソンの参加には参加規約への同意ならびに応募フォームの記入が必須となりますが、規約に同意できる人であれば、誰でも参加できます。応募受付は2019年1月中旬ごろに開始する予定です。

ただし、参加希望者が多数となった場合には、申し込みの際の書類を参考として抽選を行う場合があります。参加可否については事務局よりメールで連絡があります。

参加者は、2~5名で各自チームを組んで、ハッカソンに挑戦することになります。あらかじめ各自で組んだチームで参加を申し込むことができるだけでなく、1人で申し込んだ上で、2月9日に開催されるミートアップの際にチームを組むことも可能です。チーム最大5名となります。

参加に当たっては、開発用のPC、電源アダプターなどは各自による持ち込みとなります。食事やネット環境、電源および休憩スペースは会場に用意があります。

本ハッカソンでは、新しいトークンを作成して利用することが可能です。既存のトークンを利用する場合は、日本の資金決済法に基づく登録を受けた仮想通貨交換業者が国内で取り扱う仮想通貨およびトークンのみが利用できます。

審査委員による選考の結果、優秀者には賞が授与される予定です(ただし賞金はなし)。ハッカソンの場では、さまざまなサポート企業によるブロックチェーン技術に関するワークショップも開催され、技術者たちにとっての学習の場ともなります。

背景に産業動向の変化や研究データ不正の横行

主催者である経済産業省は、このイベントを開催することになった背景として、2つの社会動向の変化を挙げています。

  1. 産業構造の劇的な変化
    人工知能(AI)をはじめとした技術革新により、産業構造が迅速かつ劇的に変化する時代となっています。こうした産業構造の変化に伴い、転職や副業・兼業といった多様な働き方が普及し始めています。また、少子高齢化を背景として、学校間の連携や統合が今後加速していく見込みです。今後人材の流動化も進み、多様な学び方・働き方が普及する中、従来の枠組みのみでは個人の学位や職務履歴の信頼性が担保されなくなる可能性もあります。
  2. 研究データ不正の横行
    国内の研究機関や企業におけるデータ不正は年々増加傾向にあります。学術界における研究活動における不正も2017年は前年比で倍増し、かつ日本企業においてもデータ不正が頻発するなど、学術界・産業界双方において、データ改ざん等が問題となっています。

こうした中で、平成30年度産業技術調査事業(国内外の人材流動化促進や研究成果の信頼性確保等に向けた大学・研究機関へのブロックチェーン技術の適用及びその標準獲得に関する調査)において、ブロックチェーン技術における「学位・履修・職歴証明」ならびに「研究データ管理」について適応可能性を検討してきました。その結果、検討会の議論を踏まえ、ブロックチェーン技術の社会実装をより一層進めるため、経済産業省主催でハッカソンを開催することになったものです。

近年では日本でも企業などの主催によりさまざまなハッカソンが行われていますが、ブロックチェーン技術について国の主催で開催されるのは初めてで、仮想通貨・ブロックチェーンへの社会的認知度を高める一助となりそうです。

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