タイ財務省は2019年1月、仮想通貨取引所3社と仮想通貨ブローカー1社の計4社の仮想通貨関連事業者に対して営業を許可する一方、仮想通貨取引所2社に対しては営業許可申請を却下しました。同国にはインドや中国などから仮想通貨関連のスタートアップ企業が流入しつつあり、今回の当局による事業者公認によって市場拡大がいっそう進むことが見込まれています。

仮想通貨事業者7社が許可申請

タイでは2018年から、仮想通貨取引所などの仮想通貨関連事業を営むには財務省の営業許可が必要となり、仮想通貨取引所6社と仮想通貨ブローカー1社の計7社が許可を申請していました。これらの7社は法令に基づく経過措置として、これまで営業を認められていました。

タイ証券取引委員会の2019年1月8日の報道発表によると、同国財務省は1月7日、同委員会の勧告に基づいて、仮想通貨関連事業者4社に営業許可を出しました。

営業を認められた4社は、仮想通貨取引所を運営する(1)ビットコイン・エクスチェンジ社(Bitcoin Exchange Co.,Ltd.)(2)ビットカブ・オンライン社(Bitkub Online Co.,Ltd.)(3)サタン・コーポレーション(Satang Pro)-の3社と、仮想通貨のブローカー・ディーラー業を営むコインズTH社(Coins TH Co.,Ltd.)の計4社です。

2つの仮想通貨取引所の許可申請は却下

タイ財務省は一方、仮想通貨取引所を運営しているキャッシュ・ツー・コインズ社(Cash2Coins Co Ltd)とサウスイースト・エイシア・デジタル・エクスチェンジ社(Southeast Asia Digital Exchange Co Ltd)の2社については、営業許可申請を却下しました。

証券取引委員会は却下の理由として、これら2つの仮想通貨取引所は、顧客資産の保管管理システムや顧客の身元確認手続き(KYC)などの重要な作業システムに関して、同委員会の定める基準を満たしていなかった上、両社のITセキュリティーとサイバーセキュリティーのシステムに関しても十分とは認められなかったことを挙げています。

キャッシュ・ツー・コインズとサウスイースト・エイシアの両仮想通貨取引所はこれまで、2018年に施行された「デジタル資産事業に関する緊急命令」の経過措置条項に基づいて、暫定的に営業継続を認められていましたが、今回の許可申請却下に伴い、財務省からタイ国内での事業を停止するよう命じられました。ただし、顧客からの預かり資産を返還するなどの残務処理に必要な期間として、1月14日までは営業の継続が認められました。

証券取引委員会は両取引所に対し、顧客からの預かり資産に関しては顧客の指示に従って返還・移転した上、その結果を同委員会に報告するよう求めています。

同委員会は、キャッシュ・ツー・コインズとサウスイースト・エイシアの両社については、今回の申請却下によって将来の再申請ができなくなるわけではないとしつつ、再申請に当たっては、同委員会の評価基準に合致している必要があると指摘しています。

1社の営業許可申請は審査中

タイ証券取引委員会は、7社のうちコイン・アセット社(Coin Asset Co)から出されていたタイ国内での仮想通貨取引所としての営業許可申請については、現在審査を継続中であるとしています。同委員会はコイン・アセットに対し、経営体制の不備を指摘した後で、許可申請については保留としました。

同委員会はその理由について、同社の経営陣の変更があったことを挙げた上、「これは営業許可申請について検討するに当たっての重要な情報である」とし、この重要な変更を受けてさらに許可の可否について検討を続けることになったと説明しています。財務省が最終決定を出すまでの間は、同社は法令の経過措置条項に基づいて、これまで通り営業の継続を認められます。

当局公認でタイに仮想通貨産業が集積へ

今回、タイ当局によって4社の仮想通貨事業者の営業が公認されたことで、今後は同国の仮想通貨・ブロックチェーン産業が拡大へと向かい、アジア地域のハブ市場となる可能性が高まっています。

タイは2018年に仮想通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO=仮想通貨による事業資金調達)に関する法整備を行い、同年6月には、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など7種類の仮想通貨を公認しています。

アジア地域では、中国で仮想通貨取引所の営業が禁止され、インドでも仮想通貨取引規制の動きが強まっている影響で、両国から近隣のタイへ仮想通貨・ブロックチェーン関連のスタートアップ企業が流入しつつあります。

さらに、タイ政府はブロックチェーン技術を脱税対策や国民の身分証明管理などに活用していく方針を示しています。タイの中央銀行も、ブロックチェーンを使ったデジタル通貨を発行して銀行間決済に活用することを検討しています。

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