日本企業が最近相次いでモンゴルに進出し、仮想通貨マイニング事業に乗り出しています。仮想通貨価格の低迷により世界各地で採算が取れなくなっている中、同国には格安な電力料金や寒冷な気候といったマイニングの好条件がそろっており、現状でも利益を出せる数少ない国のひとつとして注目されています。

市場低迷の中でマイニングに新規参入

仮想通貨ウォレット「Ginco」を運営する株式会社Ginco(本社・東京都港区、森川夢佑斗社長)は2018年からマイニング事業に乗り出し、現在、子会社のGinco Mongolを通じて、モンゴルの首都ウランバートルで2カ所のマイニング施設を操業しています。同社がマイニング事業に参入した2018年6月時点では、既にビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨の価格下落により、世界各地でマイニング事業の収益は悪化していました。

Ginco Mongolは現在、合計600台のマイニングマシンを稼働させており、2019年第1四半期(1~3月)中にこれを1000台にまで増大させる計画です。同社の古林侑真社長は「この事業の環境はますます厳しくなっているが、当社は依然として利益を生み出すことができている」と自信を見せています。

一方、株式会社ユニメディア(本社・東京都千代田区、末田真社長)は、現地法人のUnimedia Solutions LLC(本社・ウランバートル)を通じて2018年からマイニング事業の試験運用を始めました。さらに現地のマイニングサービス提供企業iTools JSCのマイニングサービスの独占販売契約を締結し、そのサービスを日本国内で販売しています。

iToolsは2018年夏からモンゴルでのマイニング施設の稼働を開始し、仮想通貨市場の低落傾向にもかかわらず利益を上げ続けています。

今もマイニングで利益を出せる数少ない国のひとつ

2018年以降、仮想通貨マイニング事業を行っている企業にとっては厳しい状況が続いています。2017年12月に過去最高値の1BTC=約2万ドル近くにまで達していたビットコインの価格は、2018年には80%以上下落し、マイニング事業者の中には経営危機に陥って事業から離脱するところもありました。価格下落に加え、ビットコインではマイニングに必要なハッシュレートが高くなっていることも、収益性低下の原因となっています。

日本のGMOインターネットグループは2018年12月、355億円の特別損失を計上してマイニング機器の製造・販売から撤退することを発表。同社は自社マイニングについては今後も継続するとしており、マイニング拠点を現在の欧州から、より電力料金の安い地域に移転する方向で検討中としています。

2018年11月には、米国に本拠を置く仮想通貨マイニング企業のギガ・ワット(Giga Watt)は米ワシントン州東部地区連邦地裁に破産を申請しています。中国でも中小規模のマイニング事業者の撤退が相次いでいます。

しかし、こうした中でもモンゴルは、寒冷な気候や格安な電力料金というマイニングの好条件がそろっており、米国やスウェーデンとともに、現状でも仮想通貨マイニング事業者が利益を生み出せる数少ない国の一つとなっています。モンゴルに進出した株式会社Gincoは、同国がマイニングには最適な立地であるとして、以下の3点の理由を挙げています。

電力供給条件がマイニングマシンに適している

現在開発されているマイニング専用マシン(ASIC)の多くは中国製で、220Vの電圧が推奨されています。一方、日本国内での一般的な定格電圧は100Vで、中国製のマイニングマシンを使うには、特殊な工事を行うか、変圧器を導入する必要があります。

また、マイニングマシンを稼働させるためには大量の電力が必要となります。さらに、マイニングマシンは24時間365日稼働するので、マシンの冷却に別途電力を必要とします。

この点、モンゴルで供給されている電力の定格電圧は、一般で220V、工業用で380Vとなっています。このため、マイニングマシンを稼働させる上で、特殊な工事をしたり、変圧器を導入することなく、最適な電圧の供給をすることが可能です。

また、モンゴルの電力料金は1kWhあたり7円台で、日本の2分の1程度となっています。気候面でも、亜寒帯に属し、年平均気温がマイナス0.7度のモンゴルでは、年間を通して寒冷で、容易にマシンの冷却を行うことが可能です。

土地代や人件費を抑制できる

ウランバートルの家賃相場は、日本国内でマイニング施設がある金沢市と比較した場合、約2分の1で、比較的安価にマイニング施設を運営することができます。また、平均所得も低く、マシンの保守・管理に必要な人件費を抑えることが可能です。

ちなみに、金沢市ではDMMビットコインが2018年2月から大規模マイニング施設を運営していますが、収益性悪化のため事業から撤退することが報じられています。

仮想通貨に好意的な規制環境

モンゴル政府は、仮想通貨・ブロックチェーンに対して非常に好意的な姿勢を取っています。同国の基幹産業である鉱業や農業、観光の収益が冬期には減退するのに対して、仮想通貨マイニングは年間を通じて稼働できる事業として注目されています。

このため2018年には仮想通貨産業に好意的な法整備が行われました。同国最大の通信ネットワークであるモビコム(Mobicom)は、同国の法定通貨であるトゥグルグとペッグする独自の仮想通貨「キャンディー(Candy)」の創設を決定しています。

2019年1月にモンゴル政府は、大手仮想通貨取引所のバイナンス(Binance)フォビ(Huobi)などの支援を受けるブロックチェーン決済システム「テラ(Terra)」とのパートナーシップ締結を発表しました。最近の米経済誌「フォーブズ(Forbes)」の報道によると、この計画は、異なる銀行のユーザー間での送金が可能となるP2P決済システムと、モバイル決済システムという2つの特徴を持ったものとなる予定です。

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