米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が米証券取引委員会(SEC)に行っていたヴァン・エック(VanEck)版ビットコインETF(上場投資信託)の上場に関する申請を、2019年1月22日に取り下げたことが分かりました。同金融商品を企画するヴァン・エック社は、これは米政府機関の閉鎖でSECの機能が停止したことに伴う一時的な措置だとして、後日再申請する方針を表明しています。

最有望だったヴァン・エック版ビットコインETF

SECは2019年1月23日に公表した文書で、CBOEがこのビットコインETFの上場申請を、1月22日に取り下げたとしています。取り下げの理由については言及していません。

このOBOEによるヴァン・エック版ビットコインETFの上場申請は、2018年6月に提出されました。投資会社のヴァン・エック社が金融サービスプロバイダーのソリッドX社(SolidX)と提携して市場でビットコインETFのサービスを始めるというもので、そのためのSECの規則変更を求める内容でした。ヴァン・エック社は2017年に一度、SECからビットコインETFの非承認決定を受けており、これが2度目の申請でした。

このヴァン・エック版ビットコインETFは、先物を使う他のビットコインETFとは違い、現物ビットコインを使う金融商品で、ハッキングや盗難による被害も保険で100%補償されるというもので、投資家にとっての安全性を売り物にしています。

これまでビットコインETFについては、仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)を運営するウィンクルボス兄弟をはじめ、さまざまな企業からSECに申請が提出されてきましたが、まだ1件も認められていません。SECが2018年8月、3社から出されていた計9件の申請をすべて非承認と決定した際には、いずれの申請についても「連邦取引所法で要求されている、詐欺行為や市場操作行為を阻止するための対策が示されていない」ことを理由としていました。

こうした中、ヴァン・エック版ビットコインETFは、承認が最有力視されていた金融商品でした。SECはこの案件について3回にわたり決定を延期しつつ、パブリックコメントを募集したり、提案者との協議を続けたりした結果、2月27日までに承認の可否について最終決定を出すことになっていました。

国境の壁めぐる対立のあおり受け

SECの発表文にはCBOEが申請を取り下げた理由は記載されていませんが、専門家の間では、現在続いている米政府機関の閉鎖に伴い、提案されている規則変更についてSEC内部で評価できるスタッフがいなくなったため、このまま行けばビットコインETFの申請は非承認とされるのではないかとの観測が出ていました。

米国では、公約に掲げたメキシコとの国境の壁建設について予算計上を求めるトランプ大統領と、これを認めない野党・民主党の対立により、議会で予算案が期限内に成立しなかったため、米史上最長となる政府機関の閉鎖・サービス停止が現在も続いています。その余波が思わぬ形で仮想通貨業界にも及ぶこととなりました。

「取り下げは一時的なもの」

ヴァン・エック社のデジタル資産戦略部門のゲイバー・ガーバクス(Gabor Gurbacs)氏はツイッターで、今回のビットコインETF上場申請の取り下げについて「一時的なものである」と強調した上、「私たちは、ビットコインETFやデジタル資産全般のための適正な市場構造の枠組みを構築するため、規制当局や主要な市場参加者たちと活発に作業を行っている」と付け加えています。

また、同社の最高経営責任者(CEO)ジャン・ヴァンエック(Jan van Eck)氏は1月23日、米CNBCテレビの取材に対し、申請は取り下げられた上で、後日、SECとの協議を経て再提出されるだろうとした上、SECとの話し合いが政府機関の閉鎖に伴って事実上中断した状態にあると述べています。

同氏は「私たちはカストディー、市場操作、価格といったビットコイン関連の諸問題について、SECとの協議に携わっていたが、中断しなければならなくなった。そのため、私たちはこれをすり抜けようとするのではなく、申請を取り下げることにした。SECが再び稼働した時に再提出する方針だ」と述べています。

仮想通貨市場は冷静に受け止め

このように、今回のヴァン・エック版ビットコインETFの上場申請取り下げは、メキシコ国境の壁建設問題をめぐるトランプ大統領と野党民主党の対立のあおりで政府機関が閉鎖され、審査を行うSECの機能も停止してしまったことが原因のようです。

同金融商品がいずれ承認される見通しが消えたわけではないため、このニュースを仮想通貨市場は冷静に受け止めています。それでも、ビットコインETFの上場が再び先延ばしになったことは間違いありません。

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