新潟県湯沢町の豪雪地帯に、世界初となるバイオマス発電と雪冷熱、河川水、外気を活用した再生エネルギー100%のコンテナデータセンター用施設が、地元自治体の肝いりで完成し、2019年5月に本格オープンします。圧倒的な電力コストの安さを売り物に、仮想通貨マイニング設備を誘致する方針で、運営元では「現在の1BTC=約39万円の相場でも、1年以上前に主流だったASICで利益を出すことが可能」とアピールしています。

再エネ100%のデータセンターは世界初

このコンテナデータセンター施設は、株式会社アオスフィールド(本社・新潟市、佐藤文則社長)が運営する「湯沢ITコンテナフィールド」で、新潟県湯沢町の支援・協力の下、町有地内に設置されています。電源および空調を再生可能エネルギー100%で稼働させるのが特徴で、バイオマス発電、雪、河川水、外気、コンテナの活用によるデータセンターは世界で初めての試みとなります。

コンテナデータセンターとは、アオスフィールドが開発した、海上輸送ドライコンテナを改造して電源・空調を内蔵したデータセンターです。1つのコンテナに19インチサーバーラック5~7台の収容(サーバーラック1台あたり30~40台のサーバー収容)が可能となっています。一体型のため簡単に移動・設置できるので、災害時に移転させることも可能です。コンテナ形式は空調・電源効率が良いため、PUE(電力使用率)の値は1.1未満を実現しています。

データセンター内には非常時に備えて、蓄電池、非常用発電機が備えられています。

将来的には、コンテナデータセンターから出る廃熱を集めて、水耕栽培や養殖などに地域の住民が活用できる設備も備えていく予定です。

電力コストを90%以上削減

2018年7月2日には泉田裕彦衆院議員(元新潟県知事)や田村正幸湯沢町長、町役場関係者らを交えて運転開所式を開催。同月から敷地内の「湯沢ITコンテナフィールド」冷房部分で再生可能エネルギーを100%活用し、空調の消費電力やCO2の大幅な削減を実現し、省エネ型データセンターを運用しています。

再生可能エネルギーとして、豪雪地帯である湯沢町の雪と河川水(用水)と冷涼な外気を組み合わせて活用することで、年間を通じて冷熱を発生させることにより、データセンターの空調の電気代を通常と比べ90%以上削減することを実現しています。

これに加えて一層の消費電力、CO2の削減を目指し、バイオマス発電の導入により、サーバーを含む全設備の電力がまかなわれる予定です。

バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称です。バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼方式」や「ガス化方式」などで発電します。技術開発が進んだ現在では、さまざまな生物資源が有効活用されていますが、この「湯沢ITコンテナフィールド」では、農作物の残りかすから抽出した天然成分油を精製し、これを使ってディーゼル発電機で発電します。発電容量は第一期で約2000KVAを予定しており、2019年度中に全体でコンテナデータセンター10台の設置・稼働を目指しています。

これによって、電源から空調まで再生可能エネルギー100%でのデータセンター運用が実現する予定です。

海外マイニング施設に対抗できる

「湯沢ITコンテナフィールド」では、こうした再生可能エネルギー100%の実現によって大幅な電力費用の削減を実現したことから、運営元では仮想通貨マイニング事業者の移転需要を見込んでいます。

2018年以降の仮想通貨価格の大幅下落により、マイニングは次第にマシン冷却などの電力コストなどとの関係で採算が取れなくなり、事業から撤退したり、より電力コストの安い地域への移転を検討したりする事業者が相次いでいます。

しかし、運営元は、この「湯沢ITコンテナフィールド」であれば、現在の仮想通貨ビットコイン(BTC)相場の1BTC=約39万円でも、1年以上前に主流だったASICマシンで十分なマイニング利益が確保できると強調。大口から小口までさまざまなマイニング事業者からの進出の相談を受け付けています。

電力コストが通常の10分の1以下になるのであれば、中国や北欧などの海外マイニング施設と比べても、十分に競争力を持ち得ることが期待できます。さらに、東京から新幹線で約1時間半、新幹線停車駅から車で約10分という至近距離にあり、緊急トラブル時の対応が可能なことや、コンテナ型のため何かあった場合にはすぐに移動できることも強みとなりそうです。

仮想通貨マイニングには莫大な電力が必要で、しかも寒冷な気候が適していることから、これまでは日本の事業者でも北欧やモンゴルなどの海外に施設を立地する例が多く見られました。こうした中で、「湯沢ITコンテナフィールド」は、再生可能エネルギーという低コストで環境に優しい発電方法を工夫することにより、日本国内でも今の市場状況下でマイニング事業を可能にする新たな取り組みとして注目されます。

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