仮想通貨ビットコイン(BTC)によって価値を裏付けられ、イーサリアム(ETH)のネットワーク上で流通する新しい仮想通貨「ラップド・ビットコイン(Wrapped Bitcoin、WBTC)」が、2019年1月30日に誕生しました。これにより、スマートコントラクトや分散型アプリの機能を備えるイーサリアムのプラットフォーム上で、仮想通貨の中で最も幅広く流通しているビットコインが活用できるようになります。

ビットコインをERC-20規格でトークン化

ラップド・ビットコイン(WBTC)」は、1WBTCにつき1BTCのビットコイン準備によって価値を担保された、イーサリアムのERC-20規格に基づくトークンです。1月30日に公式にスタートしました。

このプロジェクトは、分散型取引スタートアップ企業のカイバー・ネットワーク(Kyber Network)、リパブリック・プロトコル(Republic Protocol)および仮想通貨カストディー企業のビットゴー(BitGo)の共同プロジェクトとして2018年10月に発足していました。

同プロジェクトの公式サイトによると、WBTCの目的は「分散型仮想通貨取引所や金融アプリケーションなどを含めたイーサリアムのエコシステムに、より大きな流動性をもたらす」ことにあるとされています。

同サイトでは、仮想通貨取引の多くは中央集権化された仮想通貨取引所でビットコインとの間で行われていると指摘。こうした状況がWBTCによって変革され、ビットコインの流動性が分散型取引所(DEX)にもたらされるとともに、ビットコインがさまざまなトークンの取引に活用できるようになるとしています。

WBTCではビットコインをERC-20規格で標準化し、ビットコイン向けのスマートコントラクトを創設。これにより、ビットコインの資産移動を伴うスマートコントラクトが容易になるとされています。

BTCの安定性とETHの柔軟性を併せ持つ

ビットゴー社のベネディクト・チャン(Benedict Chan)CTOは、WBTCを「ビットコインの安定性とイーサリアムの柔軟性を併せ持つ」と形容し、この新しい暗号資産を兌換紙幣にたとえています。同氏は、ビットコインは米ドルに比べれば価値が不安定ではあるものの、仮想通貨の中では最も流動性が高く、価値が安定しており、時価総額が最も大きいと指摘し、これをイーサリアム・ネットワーク上で活用することの利点を強調しています。

WBTCは現在、仮想通貨市場情報サイト「コインマーケットキャップ」にも掲載されており、2月1日時点の価格は1WBTC=37万7213円で、ビットコイン価格の1BTC=37万6516円とほぼ同じ価格となっています。

また、WBTCの公式サイトによると、WBTCは2月1日時点でイーサリアム・ネットワーク上に72.4214WBTCが存在しており、その価値の裏付けとしてビットコインのブロックチェーン上にビットコイン72.4215BTCが担保されています。

「マーチャント」が重要な役割

WBTCには、ブロックチェーンをまたいだ仮想通貨の取引を容易にする「アトミック・スワップス(atomic swaps)」と呼ばれる技術が使われています。イーサリアムのユーザーは、マネーロンダリング対策(AML)と本人確認(KYC)の手続きを経た上で、認証を受けた「マーチャント(商人)」を通じてWBTCを入手することができます。

このマーチャントは、プロジェクトのホワイトペーパーによると、「WBTCの発行や廃棄の対象となる機関または結社」と定義されており、新しいWBTCトークンの交換や流動性に重要な役割を果たす存在です。WBTCとビットコインの間の交換を行うのもマーチャントの役割です。

現在、エアスワップ(AirSwap)、ダーマ(Dharma)、イースフィネックス(ETHfinex)、ゴーパックス(GOPAX)、カイバー・ネットワーク、プライクト(Prycto)、レン(Ren)、セット・プロトコル(Set Protocol)の8社がマーチャントとして認定されています。

仮想通貨取引所にも上場へ

既に数多くの仮想通貨取引所が、WBTCの上場に向け準備を進めており、今後はこれらの取引所プラットフォームで直接WBTCを取り扱うようになる予定です。

同様に、イーサリアム上の「bZx」「Compound」「dYdX」などの金融に特化したいくつかの分散型アプリケーション(dApps)で、WBTCが利用できるようになる予定です。

イーサリアムの創設者であるビタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、こうしたWBTCのトークン・スワップ・システムが中央集権的な性質を帯びているとして、ツイッターで懸念を表明しています。

この点について、WBTCのプレスリリースでは、WBTCの基本設計およびメンバーによるその公開性への継続的な関与が透明性のある処理をもたらすとした上、「WBTCは堅固なコミュニティー主導のイニシアティブであり続ける」と強調しています。

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