イーサリアム(ETH)の開発陣は2019年2月1日開いたコア開発者会議で、ASICマシンによるマイニングをブロックする機能「ProgPoW」の実装を延期することを決定しました。実装に先立って、「ProgPoW」がネットワークにどのような影響を及ぼすかについて、第三者による検証を行うとしています。

第三者による検証を実施

2月1日のコア開発者会議には、ハドソン・ジェームソン(Hudson Jameson)、アフリ・ショードン(Afri Schoedon)、マーティン・ホルスト・スウェンデ(Martin Holst Swende)、ダンノ・フェリン(Danno Ferrin)、グレッグ・コルビン(Greg Colvin)の各氏ら著名な開発者たちが参加。ASICマシンを使ったイーサリアムマイニングを阻害する「ProgPoW」機能の実装については、第三者による検証を実施し、近日中に予定されていた実装については延期することで合意に達しました。

「ProgPoW」は、イーサリアム・ネットワークでのASICマシンのマイニング効率を引き下げて、安価なグラフィックボード(GPU)を使って採掘を行っている個人マイナーたちの競争力を維持することを目的としています。

第三者による検証は、この「ProgPoW」アルゴリズムの実装によってASICによる採掘をやりにくくする効果が出るかどうかを確認することに主眼が置かれています。

コア開発者会議では、多くの参加者が、「ProgPoW」アルゴリズムを実施するかどうかの明確な決定を行うことに反対を表明し、これが実装の延期につながりました。

1月4日の開発者会議で「ProgPoW」導入を暫定合意

「ProgPoW」については、1月4日に開かれたコア開発者会議で、イーサリアムに実装することで暫定合意していました。これは、マイニング機器メーカーから近くイーサリアム対応のASICマシンが発売されることになったのを受け、大規模マイニング事業者によるネットワークの中央集権化を防ぐことを目的としています。

イーサリアムにはもともと、ASICによるマイニングがしにくいアルゴリズムが使われていました。しかし、2018年春以降、マイニング機器メーカーから相次いでイーサリアムのマイニングに特化したASICマシンが発表されています。

2018年4月には、マイニングマシン製造の世界最大手である中国のビットメイン(Bitmain)社が、イーサリアム対応の新型ASIC「アントマイナーE3」を近く発売予定であることを明らかにしました。同年9月にも、マイニングマシン製造のベンチャー企業、リンジ(Linzhi)社が最初の製品として、「アントマイナーE3」の性能を上回るASICマシンを2019年中に発売すると発表しています。

このようなASICマシンがイーサリアムのマイニングに参入してくれば、パソコンにグラフィックボードを装着して採掘を行っている個人などの小規模マイナーが排除され、一部の大規模マイニング事業者による寡占化が進んで、ネットワークが中央集権化しかねないとの懸念が、イーサリアムのコミュニティーの間で強まっていました。

「ProgPoW」でマイナー増加の懸念

「ProgPoW」の実装を延期することになった2月1日のコア開発者会議の決定の背景には、イーサリアムで採掘を行うマイナーの増加を避けたいという思惑があります。「ProgPoW」がもし実装された場合、安価なグラフィックボードで採掘を行いやすくなるため、理屈の上では、イーサリアム・ネットワークでのマイナーの増加を許容することになります。

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の広報担当者のジェームソン氏は、第三者による検証が、イーサリアムのコミュニティーが「ProgPoW」の実装に関していまだに抱いている多くの疑問に回答を出すことになるだろうと指摘しています。

ソフトウェア技術者のフェリン氏もこれに同意し、第三者の調査が、「ProgPoW」を実装した場合にイーサリアムにどのような影響を及ぼし得るかについて、現在よりも多くのデータをもたらすだろうと指摘しています。

検証完了は3~4月ごろか

「ProgPoW」の及ぼす影響に関する第三者の検証がいつ完了するかについては、明確なタイムラインは設定されていませんが、ジェームソン氏は、3月か4月初めが現実的な目標であるとしています。

コルビン氏は、決定をなし得る時期について、もっと明確にすべきだとし、「私たちはみんなこの問題で極めて疲れ切っている。私は本日決定がなされるのであれば幸せだっただろうが、私はこの問題の専門家ではない。私は第三者調査の結果を待つことをよしとはするが、この決定が5月あたりになるようであれば幸せではない。とても多くの人々が結果を知りたがっている」と強調しています。

あわせて読みたい

イーサリアムにASIC対策機能「ProgPoW」を実装へ=開発陣が暫定合意、2~4カ月以内に導入

友だち追加