ビットコインは昨年末に、1ビットコインが200万円を超える水準まで高騰しました。現在は様々な要因があり、100万円前後の水準で推移しています。さて、このビットコインへの投資をしようとした時に、現物を購入するのは高額ということもあり少々ハードルが高いかもしれません。しかし、金融商品には現物を購入する以外、先物という手法もあります。今回は仮想通貨の先物取引について見て行きましょう。

仮想通貨の先物取引の仕組み

まずビットコインを現物取引で購入するケースについて考えてみましょう。購入する人は、将来値上がりを期待していることになります。価値が下がるものを買う人はいないですよね?しかし、先物取引の場合は、将来の価値が下がると予想した場合にも利益を出すことができます。

将来の値上がりを予想したらロングポジション

例えば、現在80万円のビットコインが半年後に100万円になると予測したとします。先物取引では、「半年後に現在の価格で購入する」という契約を結び、その契約を保証するために証拠金を支払います。証拠金を1割の8万円とすると、この段階では1/10の金額で1単位のビットコインを売買する権利を確保することができます。

半年後に予想通りに100万円に上昇していたら、その段階で残りの72万円を支払ってビットコインを購入し、取引所などで100万円で販売することで20万円の利益を確保できます。しかし、先物取引ではこのように実際に現物を取得することはほとんどありません。業者に依頼して買う契約をしているビットコインを他者に転売してもらい、その差益である20万円だけを支払ってもらいます。これを差金決済と言います。このように「価格の上昇」が期待できる時には、「買い」の契約をすることになりますが、先物ではこれを「ロング」と言っています。

将来の値下がりでも利益が取れるショートポジション

先物の場合は現物と異なり、「売り」から入る取引を組むことができます。現在80万円の価値があるビットコインが半年後に60万円に下がるという予測をした場合、半年後に「80万円で売る」という契約をします。半年後に60万円に下がっているビットコインを購入し、契約通り80万円で販売することで20万円の利益が確保できます。これも前述のような差金決済により利益だけをやりとりすれば取引は完了です。このように「売り」の契約をすることを先物では「ショート」と言っています。

先物取引の特徴

先物取引を活用することで、いくつかのメリットを享受できます。

  • 少ない元手で大きな取引を組むことができる
  • 相場が下がり局面でも利益を確保することができる
  • 現物取引と組み合わせることでリスクヘッジができる

などです。ただ、思惑が外れた場合は大きな損失に繋がることもありますので注意が必要です。

仮想通貨の先物取引

仮想通貨は現在そのほとんどが取引所を通じて取引されています。ところが、これらの仮想通貨取引所は銀行や証券会社、証券取引所など、各国政府の厳しい規制をクリアして運営しているものと比べてセキュリティが甘いという欠点もあります。日本国内でもマウントゴックスやコインチェックで起こったハッキングによる大量の仮想通貨の流失などが、そうしたセキュリティの甘さを表しています。

アメリカでビットコイン先物が上場

昨年、アメリカの先物取引所であるCBOEグローバルマーケッツにビットコイン先物が上場されました。これは政府の管理下にある正規の金融商品取引所に、仮想通貨先物が世界で初めて上場した事例です。

一週間後にはCMEグループで同じくビットコイン先物がスタートしています。政府による厳しいチェックをクリアしている正規の取引所に上場することによって、安心して取引ができるようになります。

ナスダック市場

アメリカのナスダックは、IT関係の新興企業が多く上場する株式市場です。1980年代からのIT革命を支えた多くのハイテク企業が上場していることでも有名です。このナスダックも仮想通貨先物の上場に意欲的であるとのニュースが昨年末に流れてきました。もし実現するのであれば、仮想通貨についてエポックメイキングとなる出来事と言えます。2018年に入ってややスケジュールが遅れているようですが、もうすぐ何らかの正式なアナウンスがあるのでは?と期待されています。

ナスダックに仮想通貨先物が上場した際の影響

何よりも「流動性が確保される」というのが一番のメリットです。システムがしっかりしていて、セキュリティについても堅牢な市場で安心して取引ができますので、多くの投資家の利用が期待できます。流動性が確保できることで、価格の安定が見込めますので、通常の金融商品並みに信頼できる投資先として扱われる可能性が高まります。

これまで仮想通貨の取引については、個人の投資家や仮想通貨の取引自体を目的とした新興企業がメインのプレーヤーでした。銀行や大手の金融機関、機関投資家はバランスシートに規制対象外の資産を持つことができない縛りがあります。そのため、こうした大口の投資家は仮想通貨に直接投資することができませんでした。

しかし、こうした投資家も先物契約については投資先として認められていますので、ナスダックへの上場を契機に大口の機関投資家の参入が促進され、市場が盛り上がる可能性があります。

まとめ

前述したアメリカの先物取引所では、ビットコイン以外の仮想通貨についても先物の上場に意欲を示しています。2月には米証券取引委員会(SEC)委員長や米商品先物取引所(CFTC)委員長が仮想通貨市場に好意的な発言をしたというニュースもあり、今後の展開に期待できます。実は、仮想通貨については数年前からETFの取り扱いについて、申請を却下されているという経緯があります。これも正規の取引所での取引ができないということが大きな理由でした。

しかし、ナスダックへの上場が実現すればこの懸念も薄れ、ETFのスタートに大きな弾みとなりそうです。金融商品の種類が多ければ多いほど、一般の投資家にとってもチャンスが広がりますので期待して見守りたいところですね。