ブロックチェーン技術を活用して求職者の持つスキルや職歴を客観的に証明することで雇用のミスマッチ解消に役立てようとする「SKILLCOIN(スキルコイン)」プロジェクトが始動しました。順調にいけば2019年にもこのシステムを使ったマッチングサービスが始まる予定で、これまで仲介業者頼みだった転職市場に革新をもたらす可能性もあります。ここではSKILLCOINプロジェクトについて解説します。

SKILLCOIN(スキルコイン)とは?

SKILLCOIN(スキルコイン)は、個人が持つスキルや職務経歴をブロックチェーン技術の活用によって客観的に証明する機能を持ち、信頼性の高い人材情報によって雇用者と被雇用者との間のミスマッチの問題を解決することを主な目的に発行される仮想通貨です。

プロジェクトは2018年2月に始動し、発行元の株式会社SKILL(本社・東京都世田谷区)は同年6月に設立されました。経営陣は、水谷友一社長兼CEOをはじめ、全員DeNAの社員または元社員で、早ければ2019年にもSKILLKOINを使ったマッチングサービスがスタートする予定です。

SKILLCOIN(スキルコイン)で求職者のスキルを第三者が証明

これまでの転職市場での人材ミスマッチの要因として、雇用する企業側の期待値と求職者のスキルに関する申告内容との間に生じるギャップが問題になっていることがよくありました。

これは、転職時に求職者が職務経歴書に記載して提出するスキルや経歴の情報が、あくまで自己申告であり、企業や仲介業者がそれを十分にチェックできないため、情報の確実性に欠けることが原因でした。

また、求職者が自分のスキルを企業側に十分アピールできず、企業側がスキルを見落としてしまう場合もありました。

そこで、こうしたミスマッチを解消するため、求職者が申告するスキルや職歴内容が適正であることを第三者が証明するシステムを導入しようとしているのがSKILLCOINです。

まず、求職者はサービスの利用にあたりアカウント登録し、氏名、所属企業などのプロフィル情報に加えて、自分が持っているスキルや実績などをフォームに記載します。これが職務経歴書に相当する情報となります。

求職者は記載したスキル情報について、勤務先の上司や取引先など自分をよく知る人物に証明をリクエストします。リクエストを受けた人は、ユーザー登録した上で、記載されたスキル情報の内容を確認し、問題がなければ承認します。内容に虚偽があれば承認を拒否することもできます。複数の人物から承認を受けることで承認手続きは完了し、ブロックチェーンに記録されます。

このようにSKILLCOINのプラットフォームは、求職者のスキルや職歴についてよく知る第三者が内容を保証した情報を、企業が検索・閲覧できるようにすることで、企業と求職者をマッチングさせようとするシステムです。

SKILLCOIN(スキルコイン)の分散型システムで求職者と企業を直接結ぶ

従来の人材紹介・あっせん市場では、人材情報が中央集権的に仲介業者によって管理されています。これに対しSKILLCOIN(スキルコイン)によって実現される新たな転職市場では、人材情報はユーザー同士で評価・承認される分散型(非中央集権型)の構造となります。

中央集権型から分散型に情報の管理構造が移行し、企業と求職者が直接つながることにより、転職市場の収益構造も大きく変化する可能性があります。

現在の転職市場では、複数の仲介業者がそれぞれ求職者を顧客として管理し、その情報を企業に提供することで企業と求職者の橋渡しを行い、仲介料を得ています。いわば中央集権型のプラットフォームが複数存在している状況です。

これに対し、ユーザー同士が求職者の職務経歴を承認し合うSKILLCOINの分散型プラットフォームが普及すれば、もはや仲介業者は必要なくなり、高額な仲介手数料を支払う必要もなくなります。仲介業者に支払っていた莫大な仲介手数料は企業と求職者に還元され、企業はそれだけ低コストで人材を確保できるようになります。求職者にしてみれば、従来は仲介業者の実入りとなっていた分を、企業から転職一時金として受け取ったりといった恩恵を受けられるかもしれません。

しかも、求職者のスキル情報は第三者の保証付きであるため、従来の自己申告のみの情報に比べて虚偽記載の恐れが少なくなり、ブロックチェーン上に記録されるため改ざんの可能性も小さくなります。

SKILLCOIN(スキルコイン)によるマッチングサービスは2019年にも開始

このように求職者のスキルを証明することがSKILLCOIN(スキルコイン)プラットフォームの中心的な機能となりますが、それだけでなく、SKILLCOINを決済通貨として、ユーザー同士の間で仕事を依頼したり請け負ったりといったことも計画されています。こうした取引履歴や、完了した仕事についての依頼者による請負者の評価もブロックチェーンに記録されることになります。

SKILLCOINプロジェクトは2018年中に実証実験を始め、19年にはその結果を受けて仕様の策定・開発を行い、人材マッチングサービスをスタートさせる予定です。

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